ギサツ

登場:原作(40話)TVアニメ版(30話)
肩書:ジャギの手下
流派:ジャギから盗んだ北斗神拳 CV:広瀬正志 |
ジャギの部下の一人。
ケンシロウに対し、ジャギから盗んだと自称する
北斗神拳で挑もうとするも、全く相手にされず憤慨。背後から襲い掛かるが、ヒジを顔面に入れられてダウン。再び攻撃を仕掛けるも、今度は両こめかみに親指を突き刺され、そのまま体を地面の中に埋没。地面から顔だけを出した状態にされ、その後の処遇を村人たちに委ねられることとなった。その後どうなったのかは不明。
名前は
『北斗のONLINE』準拠。北斗の拳イチゴ味5巻のカバー裏では「ジャスティス」という名前になっている。
TVアニメ版では、他のメンバー達がやられた後に姿を現し、ジャギのアジトが南のオアシスにあるという情報をケンに提供。それによって許されようとしたが、原作同様に穴に埋められた。
また、アニメ版では「ジャギから北斗神拳を盗んだ男」が、別のメット男に変更(CV:沢木郁也)。ケンのこめかみを突き、残りの命を適当に10秒と定めてカウントダウンを開始したが、ゼロと同時に自分が爆死した。尚、ネット上では「ガイラ」なる名前だとして広まっているが、真偽は不明。
北斗四兄弟以外にも北斗神拳を使える者は幾人か登場するが、コイツもバランもアミバもバットもみんな
「盗んだ」という設定になてるんですよね。ラオウにしてもジャギにしても別に教えたっていいだろうに、そこだけはちゃんと北斗神拳の掟を守ってるんだと思うと、少しほっこりする。
まあコイツの場合は全然盗めてもないけど。
ところで彼の処遇が委ねられるこの2コマ、
北斗の拳の中でも最もギャグ漫画っぽいシーンだと思うんですよね。ケンシロウのチョイチョイ呼びとか、ギサツが大口開けて固まってるところとか、良い意味で北斗っぽくないというか。これの前の「ぱっびっぷっべっぽぉっ!」も含めて、ジャギ編はギャグ色強めで好き。
しかしこいつのギャグ度に関しては、
アニメ版はレベルが違う。北斗アニメ全編通してもトップクラスの面白コントなので、ここは細かく紹介させてほしい。
まずは登場から退場までを通して見てみよう。

「ようし!オレ様が相手だ!
オレはこいつらとは違うぜ!」

「……」

「俺はあらゆる格闘技を身に付け
最後に覚えたのがこれだぁ」

「フフッ ジャギ様から盗み取った北斗神拳!
とくと味わわせてやるわ」

「フフフフハハッ」

「んっ?」

「こっ こっ この野郎」

「ふざけやがってぇ!!」

「んんんはあっ」

「んあーっ!!」

「あちょおー!!」

「ぐあーっ!」

「かっ……!」

「ぐぬっ…この野郎」

「おりゃーっ!!」

(クルリ)

「んっ!?」

「どうした やってみせろ」

「んぎぃぃぃぃ…」

「アチョー!
アチョー!
アチョー!」

(1カメ)

(2カメ)

(3カメ)

「ヘヘヘッ やったぜ!
ケンシロウの秘孔を突いた!」

「お前はもう死んでいる」
「何秒後だ?」

「ん? フッ そうだな
10秒後ってとこかな
数えてやるぜ」

「10! 9! 8! 7!」

「6! 5! 4!」

「3! 2! 1!」

「ゼロ!」

「おもど〜〜〜」

完
素晴らしい……フリからオチまで完璧な流れだ。まさに一人舞台。主人公であるケンシロウすらも脇役に追いやる程のワンマンショーである。コントだけでこんな濃密な時間を作り出したキャラなど他に居ないだろう。
彼のどこが素晴らしかったのか。その偉業を順に解説していこうと思う。コントを解説するのは野暮かもしれないが、やらせてください。
まず
見た目から面白い。原作のモヒカンとは全然違うメット野郎って時点で「ん?」となるもんね。ジャギの拳法を継ぎし者として出来るだけ容姿を似せたかったのだろうか。
登場のタイミングも素晴らしい。原作ではノコギリ野郎が倒されてすぐの登場だったが、こいつの場合は仲間たちが全員爆散させられた後に満を持しての登場なんですよね。
ケンシロウの超人的な強さを目の当たりにしても全く己の勝利を疑っていないわけだ。どこからその自信は沸いてくるのか。
およそ北斗神拳とは思えぬ謎の型も実に良い。最後にちょこっと首を傾ける仕草も好き。おそらく歌舞伎の見得を意識したものだろう。
自己紹介が終わり、先制攻撃の機会を伺うが、
もう既に近すぎる。しかも相手は背中を向けたまま。ここで仕掛けなくていつ仕掛けるのか。
まだ反撃のエルボーを喰らってないのに、
既にマスクの部分がへこんでいる。作画ミスまで味方につける生粋の芸人である。

エルボーを喰らう前と後の襲撃シーン。よく見ると、いずれも
右手を振り上げたまま襲い掛かっている。サザエさんかよ。
そして衝撃の
アチョー三連発。徐々にズームアップしていく様とか、ちゃんと赤と黒のフラッシュ効果をつけてあげてる所にも無駄なこだわりを感じる。そう、やたらスタッフが力入れてるんですよねコイツ。


そのこだわりが一番強く表れているのが、この
多角的な映像だ。ケンシロウですらしてもらったことないよこんなの。なんか急に陰影も強くなってるし。どこに気合入れてるんだよ。
「やったぜ!ケンシロウの秘孔を突いた!」というアホ丸出しの台詞に、コイツの魅力の全てが詰まっている。北斗の拳ごっこをする小学生でももう少しマトモな事を言うぜ。
残りの秒数を「10秒ってとこかな」と適当に答えたにもかかわらず、
カウントダウンにちゃんと秒針の音が入っているのも最高。やさしみを感じる。
そして
リミットを迎えた瞬間の高速爆死。これは原作ではほぼ見られない演出だ。笑いのためにはここはスピード感ある爆死が最適と判断してのことだろう。センスがエグい。
この後、もう一人別のモヒカンが現れて、そいつが最後に土の中に埋められることになるのだが、原作ではこいつが偽北斗神拳使いも担ってるんですよね。なのに何故アニメでは二人になったとかというと、
この「カウントダウン後に爆死する」というお笑いをやるためだったんですよ。原作をちょい改変してでもコントをやりたいという、まさにスタッフの執念ですよね。