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美福庵主/月英
みふくあんしゅ       げつえい



登場:第197話〜
肩書:拳志郎の母 泰聖院の庵主
CV:篠原恵美(ぱちんこ)

 北斗劉家拳の菩提寺・泰聖院の庵主。本名は月英。北斗劉家拳先代伝承者・劉玄信の娘。人の心を見透かす能力を持つ。かなりの高齢であるが、その容姿は未だ若さを保ち続けている。霞拳志郎の実の母親。

 かつて天授の儀のために泰聖院に訪れた霞鉄心と出会い、一目で恋仲に。しかし天授の儀を行えば、鉄心は愛する者の父(劉玄信)を殺すことになるとして、別れる事を決意した。だがその後、鉄心の子を身篭っていたことが明らかとなり、玄信の命によって阿星(後の拳志郎)を鉄心の元へと送った。

 数年後、泰聖院へと訪れた我が子・拳志郎と運命の再会。だが天授の儀を前にした拳志郎の心に波風は立てまいと、自らが母である事を名乗り出なかった。拳志郎から母を恨んではいないという言葉を聴き、心を救われるが、北斗の宿命を背負わせた償いとして、拳志郎が死ねば自らもその後を追う覚悟を決めた。その後、夏文麗と共に天授の儀を見届け、全てを知った拳志郎と改めて母子として再会。我が子阿星の名を何度も呼びながら、涙と共に息子の身体を抱きしめた。






 主人公・拳志郎にとっては、この母親と再会することが蒼天の拳という物語でのゴールであった。宗家と分家という家柄の問題で結ばれることの無かった二人の間に生まれた子、阿星。その額に七星の痣があったことから、この子が継ぐべきは北斗神拳だとして、月英はわが子を日本の鉄心の下へと送ることを決める。既に鉄心には日本で娶った嫁が居ることも知らず・・・。そして長き年月を経て、成長した拳志郎は、自らを呼ぶ声に導かれて故郷である寧波へと戻り、天授の儀の果てに遂に母・月英の正体を知ることとなった。ケンシロウでは描くことが出来なかった、親子の愛というテーマをもって、物語のラストを飾ったわけだ。

 ただ、正直な気持ちを言わせて貰うなら、とってつけた感があるなぁという印象は拭えない。ここに至るまで拳さん一言もオカンの話とかしてなかったですからね・・・。それでいきなりみなしごハッチやマルコ・ロッシレベルの親子再会されても、ちょっと伏線不足と言いますか。作品としては北斗の拳のほうがいきあたりばったり甚だしい内容ではありますが、ケンシロウ、バット、リンという物語当初のレギュラーで〆るラストは完璧であり、これと比べてしまうと蒼天のラストは若干纏め方が強引な感じはするかなぁ。設定自体は凄く上手いので、なんか一言でも途中で言及があれば違ってたと思うんですけどね。


 キャラクターとしての彼女は、拳志郎も(実の母と知らずに)言ってましたが、まさしく物の怪が如き人物でした。まずその容姿からしておかしい。こう見えて老尼の丹陽とほぼ同年齢だという。ということは、控えめに言っても60以上・・・70いっててもおかしくないということだ。一体何が彼女の若さと美貌を支えているのか。

↑ほぼ同い年↑

 そういえば、彼女の父である劉玄信も年齢に関しては異常だった。鉄心が天授の儀で訪れたときには既に老いすぎて闘える体でなかったというのに、その時点で子供だった宗武が成人するまで生きていたのである。

 もしかしたらこの親子の不思議年齢の秘密は、血にあるのではないだろうか。胡潤によると、拳志郎は「純血の北斗の子」だという。この言葉を素直に受け取るならば、父・霞鉄心が北斗宗家の血族なのはもちろん、母である月英やその父である劉玄信も北斗に関係する血を引いているということになる。この血脈の者たちが代々長寿の身体を持っていたとは考えられないか。そしておそらくその血は、北斗宗家の血とはまた少し違うのだろう。何故なら阿星(拳志郎)に七星の痣があったことで、この子は宗家の血が強いとして鉄心の下に送られているからだ。

 更に月英には、人の心を読む、拳志郎にすら気配を悟らせない、基本なんでも知ってるという凄まじいスペックが備わっている。もしかしたらこれらもやはり北斗の血のおかげなのだろうか。よく考えてみれば、北斗の血を引く女性は、北斗・蒼天を通じてもオウカ・シュメの姉妹と、この月英しか登場していない。シュメはともかく、オウカのほうはその凄絶な死に様から女人像を建立され、さらにその像を通じて現代にまで干渉してくるほどのタマシイレボリューションであった。北斗の血は、男には凄まじき潜在能力を与え、女には神秘的なまでの霊気をもたらすのかもしれない。