発売まであと1ヶ月半に迫った
『Fit Boxing 北斗の拳』
このゲームの概要が発表されたとき、多くの者達は
ある物を連想したことだろう。
「実際にパンチを繰り出す」というシステムを今より20年以上前に採用し、その独創性と面白さから当時のゲームセンターに革命をもたらした伝説の北斗ゲー。
パンチマニアである
クソだらけの北斗ゲー史の中に燦然と輝く
正真正銘の神ゲーだ。
フィット北斗も、系統的にはこれと近いゲームになるだろう。だがキャラがトレーナーとなってボクササイズを指導してくれるというユルい内容のようだし、あくまでリズムゲーというスタンスなので、激烈なバトル感はあまり期待できない。
あとやはり「パンチマニア」というタイトルに偽りのない、
実際に殴れるというアイデンティティは、シャドーとは爽快感が違う。
主要キャラの声優がオリジンというのも魅力だ。フィット北斗は、この偉大な先人の影と戦わねばならないのである。これは大変だ。
しかし、
所詮は22年も前のゲーム。ヤ〇キーに壊されやすい筐体の上、コナミのサポートも終了しているため、今や殆どのゲームセンターからも姿を消した絶滅危惧種である。今現在switchに興じているキッズや若人達は、遊んだことはおろか、その存在すら知らぬだろう。
かくいう私も
20年近くはプレイできておらず、もはやその体験は追憶の彼方。フィット北斗をプレイするにあたって絶対に押さえておきたいポイントなのに、この色褪せた記憶だけではあまりにも心もとない。
ならもう一度やりゃいいじゃん
てなわけでやってきました
千葉県某所にあるゲームセンター。
とある筋より、この店にまだ
現役のパンチマニアが設置されているという情報を得た私は、東京旅行の合間を縫って千葉まで足を運んだのだ。
ディズニーランドでもディズニーシーでも鴨川シーワールドでも成田山でもなく、ゲームセンターにいくためだけに来たのだ。千葉に。
時刻はまだ朝の9時。
客もまばらな店内を見渡すと、直ぐにその姿が視界に飛び込んできた。
奴は、今も静かに挑戦者を待ち続けていた。
再 会
久しぶりやんけワレェ
元気しとったんけワレェ
だいぶくたびれたのう
お互い齢とったもんやで
ていうかワレ、体調悪そうやな
顔面
オレンジ色なっとんど
色褪せてもうとるが、しっかりとポップも残っとるやんけ
ゴリゴリの羽山北斗絵を見ると、2000年代を感じるのう!
ホンマにどつくゲームやさかい、怪我せえへんか心配な奴もおるやろ。
せやけどな、この
けったいなグローブをつけとったら問題あらへん。
手とグローブの間に空間があるさかい、拳には一切ダメージ無いねん。
ほんまよう考えられとんで。
ゲームが始まったら、この
赤い6つのパッドが起き上がってくんねや
それをせんぐりどついていくんやが、モグラ叩きの要領ではアカン。
パッドが完全に起き上がって赤ランプが点灯したのを見計らってどつくんや。せやないとBAD判定でこっちがダメージ受けてまう。せやから難しいねん。
ちゅうこっちゃな!!
感動の再会を河内弁で喜んだところで……
いざ手合わせと参ろう。
これが生涯最後のプレイとなる可能性も大いにあるので、今回はお店に許可を頂き、プレイの模様を録画させて頂く事にした。
撮るなら斜め後ろからのアングルがベストなのだが、一人旅なので撮影してくれる人もいないし、三脚も持って来ていない。
なので今回は
胸にスマホを張り付けるという方法でトライしました。
計らずして一人称視点となり、それはそれで趣があるのだが、当然激しく動くので、
画面はブレブレです。画面酔いにはご注意下さい。
あと暗転画面で普通にワイの顔が映ってますが、気付かないフリをしてください。
というわけで、
死闘開幕。
まずは感覚を取り戻す為に
「初級 サザンクロス編」からスタート。
ん〜〜〜
たーのしいいいいい!!!!
面白さと懐かしさが合わさって脳汁が凄いことに!
そんで、プレイしながら色々思い出してくるんですよね。パッドを叩くタイミングとか、視野を広く持たなきゃダメとか、記憶の片隅にある攻略のコツが少しずつ呼び起こされていく感覚。たまんねえな!!
しかし後で動画を見返して思ったのだが、
なんかカメラがしょっちゅう右向いてね?
原因は、おそらく私が無意識に「構え」ていたからだろう。仮にもバトルの最中にあった私は、
利き腕の方を後ろに下げる半身の構えをとってしまっていたのだと思われる。
プレイヤーに自然とファイティングポーズを取らせてしまうゲーム…すげえぜ……
では次
「中級 南斗六聖拳編」へとチャレンジ。
こちらも無事にクリアー!
……と、一見順調なようだが、ここで気付いた事がある。
「こんなに難しかったっけ……?」
なんか、めっちゃ難しいんですけど。二十歳の頃の私なら中級如きで苦戦することなど無かったし、連打以外なら片手でもイケるくらいだったのに。
ブランクと……齢かなあ。
それを踏まえてもう一つ。
「こんなにしんどいっけ……?」
いや、それは解ってた。
こいつの消費カロリーが異常な事は覚えてた。
しかしここまでとは……
実はパンマニをプレイしにいくことが決まってから少し鍛えたんですよ。連打が一番キツいということで、仕事中に人気のない所で
エア百裂拳をやるなどして、この日に向けて備えてきたんですけど……全然だね……
こ…これ何ステージまであるんだっけ…
初級と、中級×3、あと上級と最上級か。
更にキツいのがあと4ステージもあるの……?
倒しても倒しても強大な敵が現れる。
少年漫画かよ。
少年漫画だったわ。
いや……うん……
今回が
人生ラストのパンチマニアという覚悟で来たんで、もちろん全ステージやるつもりだったんですけど……
ちょっと方針を変えます。
必ずまたどこかでプレイするので
今日は勘弁してください……
このあと横浜まで移動してライブやねん…
ここで死ぬわけにはいかんのよ…
というわけで、今回はレイが主役の
「南斗六聖拳・義星編」はパスさせてもらって……
最後の中級である
「世紀末覇者・拳王編」にチャレンジだ!!
負けた
ここにきてラストの100発はキツいて……
既に体力は枯渇。腕もパンパン。
だが
上級編だけは絶対にやらねばならない。
何故ならここには
リュウガがいるから。
上級編のステージ4に登場する
天狼星のリュウガ。
その強さは、あまりにも強大……
原作のイメージからは程遠いその極悪な難易度の前に、何度辛酸を嘗めさせられたことだろう。当時の若さと体力をもってしても勝率は3割に満たなかったと記憶している。
まさに天敵……
俺にとってのパンチマニアの歴史とは、リュウガとの闘いの歴史と言っても過言ではないのだ。
正直言って、衰えた肉体と、体力ゲージゼロの今の状態では、とても勝てる相手ではないだろう。
ならばせめて、
あの宿敵と今一度拳を交えたい。
しかし、リュウガの前に登場する
トキも相当強かった記憶がある。
奴に辿り着く事すら困難だろう。
だがそれでも!
北斗神拳に絶望は無い!!
残る全ての力を用いて……
俺は必ず奴の前に立つ!!
うおおおおお!!!!
トキどころか
トキの偽物にすら勝てなかったよ
ていうかパンチマニアのアミバって目の周りが黒くないから、すげえパチもん臭いんですよね。もう
トキの偽物の偽物なのよ。逆にトキなんよ。
今なら鋼筋分断脚を喰らったブロウの気持ちが良く解る。
もう両腕上がらん。
というわけでここでゲームセットです。
お疲れさまでした。
今回の目的は、あくまでフィット北斗発売を受けての
パンチマニアの記憶喚起であった。
無事そのミッションは達成されたわけだが、残ったのは悔しさ……。
これを最後にするわけにはいかない。
今回プレイできなかった
残り2ステージへの挑戦。そして
中級の全クリと、
リュウガとの再戦という新たな目的を達成するため、俺はいつかまた帰ってくる。
再戦がいつ何処になるのかはわからない。
だがそれまで絶対にくたばるんじゃねえぞ……
というか
佐久市あたりが文化財保護の目的で一台保有しといてくれ。
検討をお願い致します。
【総括】
元々自分の中でも評価は高かったけど
それを上回る程の面白さだった。
思い出補正とか全然ないの。あの頃遊び尽くした最高の強敵は、20年後も最高に面白くてエキサイティンなゲームのまま俺の前に現れてくれたよ。
体感ゲームを据え置き機と比較するのもおかしいけど、細けぇ事を抜きにして
「一番楽しい北斗ゲー」を挙げろと言われれば、間違いなくパンチマニアがダントツでしょうね。やっぱ実際に殴れるっていうシステムは強いよ。コントローラーやスマホタッチで操作するだけでは絶対に辿り着けない領域だもんね。
ていうか、
これが100円で遊べてたってのは贅沢すぎ。もうちょい難易度を下げて7〜10分のプレイ時間が確約されてれば、今の体感ゲーム施設に400円で置いてあっても全然通用するレベルだと思う。だからコナミは今でも余裕で新作出せばいいと思う。そう思う。
はてさて、この偉大なる先人にフィット北斗はどこまで迫れるのか……。正直、今回の結果を受けて
「パンチマニアをそのままswitchで出せばよくね?」という思いは更に強まってしまったわけだが、そこはもう現代技術の意地を見せてもらいたい。ラオウがエチエチなだけじゃないぞ!って所を証明してもらいたい。
たのむぞ。期待してるぞ。