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北斗の拳4
七星覇拳伝 北斗神拳の彼方へ










1991年3月29日にファミコン用ソフトとして発売された、東映動画制作による北斗の拳RPG第二弾。原作終了後の20XX年を舞台に、北斗宗家の血を引く主人公が、仲間と共に悪を倒していくストーリー。

 特殊だった前作のゲームシステムは改められ、街から街へと移動するにはフィールドを歩かねばならないという、極めて「普通」のRPGになった。バトル画面は一切変更無しだが、雑魚にまで巨大ドット絵を用意していたこだわりは失われてしまったため、少し物足りなさを感じる。だが結局前作はそのグラフィックで容量を全て使い切ってしまった感があり、今回はその反省を生かして、RPGゲームとしての面白さに力を注いだ・・・・と考えたい所なのだが、やはりその辺の有名RPG等に比べると極めて作りは粗いと言わざるを得ない。しかし、キャラゲーにハイクオリティなシステムを求めるというのがハナから間違っているともいえる。

 かといってシナリオが秀逸かと言われるとそれも微妙で、村行って、敵のアジトに入って、中ボス倒して、次の村行って、アジト入って・・・という展開を繰り返すパターンがあまりにも多く、非常に単調なものになっている。出てくるボスキャラが、主人公達と殆ど関係がない只の悪党であるため、ストーリーに重みが無いのだ。原作でいうなら、GOLAN編やらウォリアーズ編といった辺りの展開が、延々と続くと言った感じ。まあ主人公は「このよのあくがにくい」ので、悪党を退治し続けている人物であり、こういう展開が正解であるとも言えるのだが・・・
 ただ、設定自体は物凄く良いのですよ。なんといっても仲間となるオリジナルキャラ達が格好いい。拳士としてどこかまだ粗さのある未完成な感じが、原作キャラにはない次世代拳士的な匂いがして凄くいい。立てた襟がダサカッコイイ、南斗水鳥拳のルギー。先代に未熟とハッキリ言われちゃった挙句、その先代と同じようにやっぱり眼の光を失ってしまう南斗白鷺拳のジンギ。ファルコの息子というだけでなく、その後の細かいバックグラウンドまでしっかりと用意された元斗皇拳のミッシュ。原作でさんざんフラグを立てていながら、結局次期北斗神拳伝承者への道を絶ったラオウの息子、リュウ。「宗家の人間には従者がつく」という忘れられがちな設定を最善面に押し出したキャラ、風丸。そしてありあまる才能を持ちながら、自らのもつ剛拳の凄まじさにその心を歪めていくリュウド。そんな男達を仲間に、裏南斗聖拳や、元斗琉拳という、これまたオリジナリティ溢れる敵を相手に戦っていくわけです。もうこの設定聞くだけで、北斗の拳ファンなら血が粟立って仕方ない筈。逆に、こんな面白そうな設定を貰っておいて、それを生かしきれなかったのは本当に残念。原作を「真」シリーズで描き直すくらいなら、この未開発なストーリーのほうを作り直してほしいものである。


 他に評価が高い点として、BGMが挙げられる。中でも特にバトル時のBGMは、屈指の名曲と呼ぶ人も少なくない。未だに口ずさめるという人も多いと聞く。まあエンカウントが物凄いので、嫌ほど聞かされたからトラウマになっているだけという人もいるかもしれないが。


 あと、評価していいのかどうなのか判らないが、相当なインパクトを持っているものがある。それは、敵のかけ声だ。北斗の拳といえば断末魔の面白さが特徴だが、このゲームでは襲い掛かってきたときや、攻撃してくるときなどに発する掛け声の方が、断末魔のそれを上回っているのである。 「ぐべぼ〜」 「ぐにょろろ〜」 「ぎゃぎゅぎょ〜」 「あ〜ららららっ」 「ぶしゅしゅしゅしゅ」 「ばるらるらん」。この北斗の拳の世界観を壊しかねない意味不明なかけ声の真意は、21世紀になった今でも未だ謎のままである。物語の舞台が20XX年なので、その辺りの時代になればきっと解明されるはずだと信じている。