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ストーリー紹介C

第一期 1〜4話 5〜8話 9〜12話
第二期 13〜16話 17〜20話 21〜24話



第十三話「神に選ばれし民」



[ストーリー]
 四年後―――――。
 インドネシア・ジャカルタには、中華料理屋を営む玉玲の姿があった。拳志郎や青幣の者達は、戦渦の中国を離れ、この地へ避難していたのだった。だがその平和も束の間。その地を占領下とするオランダ軍が手にしていたのは、閻王・拳志郎、そしてエリカ・アレントの名が記された手配書であった。暴虐なる兵たちをまとめて瞬殺した拳志郎であったが、何故オランダ軍が己やエリカを狙うのか、その理由は未だ解らなかった。

 一方、田楽伝と河馬超の二人もまたインドネシアに移っていた。玉玲の店で蟹料理に言い掛かりをつけ、俺は閻王だと騙る田であったが、その店にいた酔っぱらいの正体が閻王と知り仰天。閻王から逃げたにも関わらず、再び逃亡先で鉢合わせてしまった不幸を嘆く二人であったが、彼らにはこの日のために用意した隠し玉が残されていた。

 エリカは孤児院にて「エリ」という名で暮らしていた。その傍には、彼女を守護するヤサカの姿もあったが、既に彼等の所在はオランダ軍に突き止められていた。

 町で噂されていた、人を浚う「吸血鬼」の真実。それは、人体実験のために現地の人々を浚うオランダ軍の仕業であった。軍所属の天斗聖陰拳の使い手、ファン・デル・コール参謀。彼の目的は、検体に「ルーアハ」と呼ばれる気を流し、「最強の兵士」の創造することにあった。遺伝子を操作され、苦痛を感じぬ強靭な肉体へと変異する検体の男。だが男は理性無く暴れた後、すぐに息絶えてしまう。すぐさま次の臨床実験に移ろうとするコールであったが、それを中断させたのは、エリカが見つかったとの一報であった。


 遂に動き出す「ジェネシス」。かつて栄華を極めたナハシュの民は、2600有余年に渡り苦渋を強いられ、散りじりに引き裂かれた。しかし予言書の通り、王・ミガドルが姿を現した今こそ、無能なる者共へ聖なる鉄槌を下す時。ミガドルの雷を手に入れ、必ずやこの世界を再創生成し得ん――――。祭祀であるシメオンの声に、沸き立つジェネシスの大軍勢。だが元老院達は、それを冷ややかに見ていた。彼らにとってはミガドルも、金儲けの道具に過ぎなかったのだった。

 再び玉玲の店へと戻ってきた田楽伝と河馬超。彼らが連れてきたのは、かつて上海で手を組んだ極十字聖拳の拳士であった。飛燕を殺したのは閻王・霞拳志郎。田の嘘を信じる拳士の、憎しみの拳が拳志郎に襲い掛かる……。


[登場した流派・奥義]
・最強の兵士を作り出す術


[注目点]
・拳志郎(変装)が読む新聞が「北斗新聞」。世界局勢が緊迫していること、政府軍が閻王や青幇を粛清し始めてから4年が経過したとの見出しが躍る。
・拳志郎の変装は、蒼天の拳46話でギーズを助けるときの格好。
・田と河馬のイチャモン内容は「上海カニの足が全部骨折しているから」。拳志郎(変装)からお詫びに皿一杯の上海蟹を出される。
・手配書のエリカの綴りは「Erika Arendt」
・拳志郎、至近距離からのマシンガンを躱して三人纏めて秘孔を突く
・エリカになついているリスが登場
・ヤサカ、ぶっきらぼうな態度ながらも孤児達から人気がある
コールの容姿や口調が漫画版と大きく異なる。軍人服にレッドベレー、全身の各部に機械をつけており長い舌を出す。口調は厭らしく、漫画版よりも下品さが増している。語尾は「にゅめ〜」
「ルーアハ」と「気」は同じ
・ルーアハをこめたコールの指先は紫色に光る
・子英が孤児院に来訪。4年経っても顔は変わらないがガタイが大人に。
・コール参謀、レコードでドヴォルザークの「交響曲第9番「新世界より」 第4楽章」を流しながら臨床実験を行っている。指揮の真似までしてノリノリ。
・コールの実験体、人間を吹っ飛ばすパワーを得て、マシンガンで撃たれてもかまわず動き続ける身体になる。ただし理性はなく、身体が徐々に変色して死に至る。兵士達が何かを被せようとしている。
ナハシュの民の起源は2600有余年
・ジェネシスの元老院達、コールの実験にも多額の金をかけている。成功の暁にはミガドルと同様に高く売れると見込んでのこと。
・ストーリー序盤で拳志郎に秘孔を突かれて「たすけてください!ひでぶぅ〜!」と死ぬオランダ軍の声は、キャイ〜ンの天野ひろゆき







第十四話「義兄(あにぃ)への憧れ」



[ストーリー]
 拳志郎を「あにぃ(流飛燕)」の仇と信じ、襲い掛かる極十字聖拳の拳士。飛燕の"弟"を名乗るその者の名は、流緋鶴。八年前に飛燕と義兄弟の契りを交わした「女拳士」であった。

 かつて身寄りの無い子供であった緋鶴は、窃盗団の仕事を手伝うことで生き永らえていた。その日も旅人から鞄を盗み、主人に献上した緋鶴であったが、金目の物がないとして理不尽に暴行を受けていた。その時、アジトに踏み込んできた鞄の持ち主が、一瞬にして窃盗団を皆殺しにした。それが、緋鶴と流飛燕の出会いであった。

 生きることに絶望していた緋鶴に、飛燕は言った。強くなれば良いことの一つくらい見つかると。その後、緋鶴は旅する飛燕の後をついていき、永らく同じ時を過ごした。だがある日、突然飛燕は姿を消した。そして4年前、噂を聞いて上海を訪ねた時には、既に「兄」は死んでいた。その犯人こそが霞拳志郎……。吹き込まれた偽りの仇に向け、手刀を振るう緋鶴。だが拳志郎は、その拳を避けなかった。彼女の無念を受け止めること。それが、飛燕の朋友である拳志郎の役目なのであった。

 その頃、エリカ達のいる孤児院は、謎の男達の襲撃を受けていた。エリカに子供達を任せ、一人で敵に立ち向かうヤサカ。強靭なパワー、そして痛みを感じぬ身体を持つ相手に手を焼くヤサカであったが、エリカの叫びを聞いて、拳志郎と玉玲が救援に駆けつける。秘孔 醒鋭孔により、全身の痛覚をむき出しにされ、身悶える敵兵達。だがその痛みが、彼らに一瞬の意識を取り戻させた。頼む、殺してくれ。死を懇願するその者達に、優しく秘孔を突く拳志郎。北斗有情拳。それは苦しみを感じさせること無く、安らかな死を与える拳であった。

 突如流れ始めたドボルザークに不穏な気配を感じ、ヤサカと玉玲、そして居合わせた緋鶴はエリカ達のもとへ。一人残る拳志郎の前に、ゆっくりと姿を現したのは、ファン・デル・コール参謀。先程の兵士達を、実験により人間兵器へと変異させた張本人であった。最高の「検体」である拳志郎を臨床し、最強最高の人間兵器を創造せんと高揚するコール。だが一方で拳志郎は、激しい怒りに身を震わせていた。罪無き者達を弄び、死を望むまでに追い詰めた外道・コールに対し、拳志郎の怒りが爆発する……。


[登場した流派・奥義]
・極十字聖拳
・醒鋭孔
・北斗有情拳


[注目点]
・緋鶴、自らを飛燕の「弟」と名乗る
・緋鶴の極十字聖拳、机を切ったり拳志郎に流血させることは出来る模様
・拳志郎、「女とやりあう気はない」と緋鶴と戦わず
・緋鶴、飛燕の旅に強引に同行。ラクダで砂漠をいく飛燕の後ろを徒歩で追いかける。飛燕を撃とうとした敵にタックルするなどして徐々に絆が生まれ始める。
・緋鶴、鼻提灯で爆睡中に飛燕去る
・コール参謀、移動中もドボルザークを流しながら。
・玉玲、4年前の上海大爆撃のどさくさにまぎれて皆の消息不明を偽装。インドネシアに移住することで、政府軍やドイツ軍からの追撃をかわした。
・子英が来たのは、葉の使いで玉玲への報告のため。「ジェネシス」が武器の密売組織であるという情報。
・人間兵器たちの動き方はガニマタで横歩き。カニ。
・コール一味の襲撃の際、エリカや子供達は手際よく避難。事前にこういう事態を予想し訓練していた模様。
・玉玲、人間兵器の一人を銃撃。緋鶴も一人を切るが通用せず、拳志郎に助けられる。
・醒鋭孔は全員背中に突く。肩ポンして激痛。
・有情拳爆発しない
・エリカ達は本棚の裏の隠し通路から孤児達とともに脱出。ヤサカは残って追っ手の人間兵器二人と戦闘。







第十五話「現実になった予言」



[ストーリー]
 最高の被検体である拳志郎を捕らえんと襲いかかるコール。他の検体と同様のルーアハでは拳志郎の動きを封じれないと悟ったコールは、手駒の強化人間達を呼び、数的有利を作り出す。しかし、兵達はすぐにその身を崩壊させて自滅した。実験は未だ不完全のまま…。だがその研究により、コールは自らにルーアハを流し、肉体を強化する術を身に着けていた。スピードとしなやかさを得た拳で、無数の突きを繰り出すコール。だが彼は、本当の"拳法"を、そして北斗神拳の神髄を知らなかった。突如腹部を破裂させ、悶絶するコール。痛みを感じぬ肉体に溺れ、拳志郎の拳を受け続けたコールは、既に秘孔を突かれていたのだった。ナハシュの民の末裔である己達の目的は、世界の再創生すること。そしてそのために必要な「ミガドルの雷」は、エリカの記憶の中に隠されている―――。自白の秘孔を突かれたコールは、そう言い残して絶命した。

 残党を片付け、外で待っていたエリカと合流するヤサカ。だがそこには、敵の首領・シメオンが待ち構えていた。始祖の拳である天斗を「原始的な拳」と煽り、戦いを挑むヤサカ。だが自在に軌道を変えられるルーアハにより相雷拳は潰され、究極奥義である残狼相雷陣も天斗白蛇襲に撃ち負けてしまう。動けなくなったヤサカにとどめを刺さんと、光の刃を放つシメオン。だがその刃は、ヤサカを庇ったエリカに当たり、宙に霧散したのだった。その後、コールがやられたとの報告を受けたシメオンは、撤退を選択。後を任されたヒムカは、気を失ってもなおエリカを守ろうとするヤサカを見て、彼を利用せんと共に連れ去るのだった。

 エリカとヤサカが戻っていない事を知り、捜索に出る拳志郎。だが戦いのあった場で臭いは途切れており、それ以上の追跡は叶わなかった。子供達を守り、敵にすら情けをかける男、拳志郎。義兄・飛燕の朋友であったというその男の器を、緋鶴は未だ図りきれずにいた。

 ジェネシスの本部。玉座に座らされたエリカの前で、シメオンが「ナハシュの予言書」を読み上げる。『ナハシュの民が滅ぼされんとするとき 選ばれし子 天上よりミガドルの雷を授けられん 過ち繰り返す愚かな者たちの頭上にミガドルの雷降り注ぐ 世は再創生され 我らが栄光の国蘇らん 約束の地はノハール・ナハ』。彼等ジェネシスは、その預言に従い世界を統べる者。そしてその頂点に立つ選ばれし子「ミガドル」こそが、エリカなのであった。

 両親、ギーズ、飛燕…。己が関わる者達が、全て死んでいく。それは自分が「ミガドル」だからなのではないかと苦悩するエリカ。そして今、拳志郎の頭上にも死兆星が煌めいていた。


[登場した流派・奥義]
・動きを封じる術(天斗)
・己の身体を強化する術(天斗)
・自白させる秘孔
・相雷拳
・残狼相雷陣
・天斗白蛇襲


[注目点]
・コール、拳志郎にルーアハを流し込み動きを封じようとするも失敗。次は限界までルーアハを注ぎ込もうとするがやはり通用せず。
・拳志郎のコールへの蔑称は「蛇野郎」
・孤児院からの抜け道は寺院に続いている
・検体たち、実験場での失敗作同様に皮膚が変色して全員死亡
・自身を強化したコール、ウネウネ動きながら連続で貫手突きを繰り出す。拳志郎の拳を受けても効かず、高速移動で回避も出来る
・西斗月拳は戦場で高められた拳。原始的な天斗聖陰拳がかなうはずがない、というのがヤサカの主張。
・シメオンの光波、一度ヤサカに躱されるも、起動を変化させてヤサカに命中させる。かなり複雑な軌道。
・シメオン、残狼相雷陣を全て回避する。愚鈍な技だと一蹴。
・シメオンが放った光の刃、エリカに当たって霧散。シメオンも仰天。
・エリカ=ミガドル
・リス、浚われたエリカについてきている
・拳志郎、死兆星を見る







第十六話「ミガドルの雷」



[ストーリー]
 義兄・飛燕の仇、拳志郎。だがその男の生き様を見るなかで、緋鶴の憎しみは揺らぎ始めていた。そんな彼女に、玉玲は遂に真実を明かした。飛燕の仇は拳志郎ではなく、ヤサカ。だがそれは、哀しい宿命に翻弄された結果なのだと。だが緋鶴には理解できなかった。そんな男と、拳志郎が共にいること。そして飛燕が最期に残した、復讐など忘れろという言葉の意味も。

 浚われたエリカ達の情報を求め、コールの基地へと乗り込んだ拳志郎と子英であったが、配下の者達から目ぼしい情報は得られなかった。そこに現れた緋鶴は、真の仇であるヤサカへの復讐を果たさんと、その居場所を問う。そんな彼女に拳志郎は言った。復讐を果たし、それで飛燕は喜ぶのかと。今自分はするべきことは何なのか。緋鶴にはもうわからなかった。

 捕らわれのエリカの元に現れた、ジェネシスの元老院四人衆。彼らの目的は、「ミガドルの雷」を手に入れること。エリカは、そのための「鍵」を持っていた。彼女の父、ロバート・アレント博士が開発した核分裂装置。その設計図は、エリカの記憶の中にのみ存在していたのだった。

 かつてロバート・アレントは、この世で初めて核実験を成功させた。この力は世界を変える……故に彼は、それが悪の手に渡ること危惧していた。その不安はすぐに的中した。研究所は、「ジェネシス」の襲撃を受け壊滅。なんとか逃げ延びたロバートであったが、邸に戻ったとき、そこには駆けつけた飛燕、エリカ、そしてドイツ軍に殺された妻の姿があった。ロバートは、エリカに飛燕と共に逃げるよう指示し、一人で邸に残ることを選んだ。残る研究資料を全て破棄すれば、設計図はエリカの記憶にのみ残ることになる。いつか信じられる人が現れるまで秘密を守り続ける。それがエリカとロバートが交わした約束であった。旅立つエリカが最後に目撃したのは、父の部屋から漏れる赤い光。それが父の死を意味することに、彼女は気づいていた

 ジェネシスもまた独自に核の開発を行い、あとはエリカの持つ設計図があれば完成を迎える所までにきていた。全ては世界平和のため。列強各国がミガドルの雷を持つことで戦争の抑止力となる―――。そういって設計図の情報を引き出さんとする元老院達であったが、エリカは頑として聞こうとしなかった。父の発明を戦争の道具に使わせぬために……。

 緋鶴に嘘がばれたことで、再び青幇壊滅の手立てを失った田楽伝と河馬超。そんな彼らが次に選んだ作戦は、まさかの青幇との結託であった。ジェネシスに大きな顔をされるのは気に食わない。共にエリカを探そう――――。彼らに別の魂胆があることは明白であったが、今は人手が欲しいと、玉玲はその申し出を受諾する。田達の真の狙いは、玉玲を取り入ったフリをして寝首をかくこと。だがそれは、緋鶴にすらバレバレの作戦であった。田達を使い、ヤサカの捜索へと乗り出す緋鶴。悩むよりも自分の思い通りにやる。それが緋鶴の選んだ答えであった。

 リスがエリカのもとに届けたのは、ヤサカの服の切れ端であった。大切な人の命が、また一つ失われようとしている。その事実に耐えられなくなったエリカは、自らをヤサカのもとに連れて行くよう願い出る……。


[登場した流派・奥義]
・特になし


[注目点]
・玉玲、飛燕殺しの本当の仇を明かす。拳志郎は自分から言わないから。
・緋鶴、己に嘘をついていた田楽伝と河馬超に激怒。しかし突き飛ばすだけ。
・子英、緋鶴のことが少し気になり始める
ジェネシスが「ミガドルの雷」と呼ぶのは、エリカの父 ロバートアレントが開発した核分裂装置。しかしその力が悪しき者に渡ることを危惧したロバートは、エリカの記憶に設計図を記憶させ、いざと言うときは全ての設計図を破棄しようと考えた。
・核研究所の襲撃にシメオンやヒムカも同行
・ロバート、ジェネシスの野望やナハシュの予言の事も知っていた。
・ロバートが家に戻ったのは、飛燕とエリカが始めて出合った直後
・ロバート、エリカに飛燕と旅立つよう次げ、一人残って全ての設計図を焼き捨てる。その後、部屋に現れた何者かによって殺される。



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