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[第13話]
羅漢仁王拳!動きだしたら 
もう止まらない!!


 ジャッカルとジョーカーは、とあるビルの屋上にいた。ジョーカーがジャッカルを助けた理由、それは、このビレニィプリズンに捕らえられている超A級囚人、デビルリバースをケンシロウと戦わせるためであった。ジャッカルの演技力ならば、デビルをも手懐けられるであろうとジョーカーは考えたのだ。しかし、ジャッカルはその命令に難色を示した。悪魔の化身を相手にすれば、自分にも身の危険が及ぶことを承知していたからだ。しかし、ジャッカルに迷っている暇は無かった。ジョーカーは、ジャッカルを追い込むため、二人のいる場所をケンに教えていたのである。命令に従わねば、ケンとKING軍の両方を敵に回すことになる。そう告げられたジャッカルには、もはや選択権は無かった。デビルの母の写真が入ったペンダントを受け取ったジャッカルは、とりあえず迫るケンシロウから逃げようとするが・・・

 ビルから降りて逃げようとするジャッカルであったが、既にそのハシゴの下にはケンシロウが到着していた。ハシゴごと引っぺがし、ジャッカルを地面へと叩き付けるケン。やはりこの化物を倒すには、悪魔の力を借りるしかない。腹を決めたジャッカルは、一路監獄へと向けて走り出した。見張り番達から無理矢理鍵を強奪し、デビルの牢の前へと立つジャッカル。堅く封印された扉を火薬を使って爆破し、ついにジャッカルはその悪魔の封印を解いてしまった。過去700人を殺し、死刑執行されること13回。だがそのこと如くを生き延びた、悪魔の化身・デビルリバース。その男の正体は、人間の常識を遥かに超えた巨人であった。

 長い牢獄生活により、デビルの心は憎悪とかたまりと化していた。自らを闇に閉じ込めた男に対する恨みが、今のデビルの全てであった。目の前で震えるジャッカルをその犯人と定め、握り潰そうとするデビル。そんなデビルに対し、ジャッカルはジョーカーから貰ったペンダントを見せた。懐かしき母の姿に、デビルの動きが止まる。後はもう完全にジャッカルのペースであった。俺はお前の兄だ。閉じ込められたお前を助けに来たのだ。得意の演技を披露したジャッカルは、続け様にクラッカーで天井を破壊し、牢の中に光を招き入れた。数年ぶりに身を照らしたその光に、感動を覚えるデビル。そして、自らを解き放ってくれたその"兄"に、デビルはもはや何の疑いも持ってはいなかった。

 ジャッカルがデビルへの洗脳を完了させたその時、ケンが監獄の中へと現れた。あの男こそがお前を閉じ込めた張本人だ!その"兄"ジャッカルの言葉を鵜呑みにし、ケンへと襲い掛かるデビル。身の丈10倍以上あろう敵を前にしても何一つ臆した様子を見せないケンであったが、デビルの強さは本物だった。デビルは、そのパワーだけでなく、意外なまでのスピードと身のこなしを供えていたのだ。五千年のインド拳法、羅漢仁王拳。デビルは、禁じ手とまでされたその殺人拳の使い手だったのである。一方、相手がただのデカブツでないことを知ったケンは、自らも本気で戦うことを決意した。北斗神拳奥義 転龍呼吸法。人間の潜在能力を全て引き出すその奥義は、ケンを闘神の化身へと変えた。

 羅漢仁王拳奥義 風殺金鋼拳にて、ケンを壁へと吹き飛ばすデビル。しかし、呼吸法によって鋼鉄と化したケンの体には、傷一つ負わせることは出来なかった。両手で握りつぶしたはずのケンに、逆にその手のひらを破裂させられたデビルは、そのまま奥義・北斗七死星点を喰らい、敗北。肋骨を内側にへし折られた悪魔の化身は、その巨体を地に伏したのだった。

 よくぞこの悪魔を倒してくれた!追い詰められ、見苦しい言い訳をのたまうジャッカル。どこまでも汚い男に、ケンはもはや自らの手を下す気も起きなかった。助けを求めてきたデビルに体を握られ、動けなくなったジャッカルを、ケンは兄弟仲良く爆死させたのだった。

 サザンクロス。ユリアは、床石の隙間から顔を出した花を見つめていた。どんなことがあっても生き続けてくれ。たくましく生きる花を見て、そのケンの言葉を再度自らに誓わるユリア。しかし、その光景を見つけるシンは、寂しさ覚えていた。自らには一度として見せたことのないそのユリアの笑顔。それをどうすれば手に入れられるのか、シンにはわからなかった。とその時、ジョーカーがデビル敗北の知らせを持ってきた。以前より確実に強くなったケンに苛立ちを覚えるシンは、新たなる南斗の使い手を送り込むことを決定するのだった。


 数日後、トヨの村に一台のトラックがやってきた。子供達は降りてきた男に向かって、バットから受けた戦闘術で、一斉に襲いかかる。だが、そのトラックに乗っていたのは、村の大人達であった。村に水が出た事を知った大人達が、子供達の所へ帰ってきたのである。そしてそのトラックには、ケンも同乗していた。一同は、ウォリアーズが壊滅し、村に永久の平和が訪れたことをトヨに報告するのであった。
放映日:85年1月17日


[漫画版との違い]
・ラストにジャッカルを爆破したダイナマイトは、ジャッカルの顔に導火線をこすりつけた摩擦で点火するシーン追加。
・バットが村の子供達に戦い方を教えるシーン追加
・トヨの村に大人たち&ケンが戻ってくるシーン追加


・ジャッカルの利用価値
アニメにおけるジャッカルは、一度ケンに追い詰められるも、ジョーカーによって救われ、デビルを操るという命令を与えられる。これはナイスな人選だといえるだろう。彼以外にデビルを操れそうな人物など考えにくい。その演技力もあるのだが、なまじ強ければ、きっとデビルが襲ってきたら戦うという方法を選ぶはず。ジャッカルの微妙な弱さもポイントなのだ。流石ジョーカー様。お目が高い。
・尽きたはず
たしか前回でダイナマイトは全て尽きたはずなのに、何故デビルの牢を開けるときの火薬とか、ラストでケンシロウにセットされたダイナマイトとかがあったのでしょうか。これもまたジョーカー様の優しきお心遣いだろう。これから(デビル任せとは言え)ケンシロウと戦うというジャッカルのために、わざわざKING軍ナンバー2ともあろうジョーカー様が武器を調達なさったのだ。流石ジョーカー様。しかしあまりジャッカルのようなゲスにかまっていると貫目が下がりますのでおやめください。


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