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鮫島義山
さめじまぎざん



登場:第144〜145話
肩書:日中和平の密使

 日中和平のために北大路剛士が用意した最後の密使。若い頃に単身香港に渡って財を成し、孫文の中国革命を財政面で支えた革命の功労者。

 北大路の頼みで、日中戦争終結の密使となることを受け入れ、南京蒋介石と会うことを承諾。だが北大路との会食の直前、エレベーターに乗り込んできた劉宗武と対面。護衛を全て倒された後、自らも暗殺された。その直前、宗武が和平の道を拒む理由を聞き、その瞳に宿す虚無の色の意味を理解した。



 あのヒトラーですら小物過ぎて殺すに値しないと踏んだ劉宗武が、歴史を動かす男の臭いがするとして喜び勇んで殺害した男。つまり器という面でヒトラーを大きく超えた存在というわけやね。実際、それだけの雰囲気を醸してたよねえ。「なぜ刺客が笑みを浮かべる?」と宗武に問うていた鮫島さんですけど、逆に「なぜ今から殺される男が笑みを浮かべる?」とこっちが聞きたいくらい落ち着き払ってましたもんね。この平常心、無抵抗村長に見せてやりたい。
 実際、物語上でも可也のキーマンであった。この人が殺されたことで日中戦争の終わりが見えなくなり、蒼天の拳序盤から北大路らが唱え続けてきた桃源郷計画が完全に頓挫。いや、下手すりゃ日本が太平洋戦争で敗戦国となったのも彼の死で和平が訪れなかったのが原因とも言える。そう考えると宗武のやったことってどえらい事だったんだなあ。北斗の歴史上においても一番大きく歴史を変動させた出来事だったかもしれない。



 彼のモデルとなったのは、おそらく梅屋庄吉なる人物だと思われる。「香港で財を成した」「孫文の中国革命を財政面で支えた」という設定が完全に一致している。また鮫島初登場時の顔の角度なんかも、梅屋の代表的な肖像画にそっくりだ。晩年はもっと鮫島に近い立派過ぎるヒゲも生やしている。
 蒋介石への密使として南京に〜などというエピソードは存在しないが、日中関係の悪化を憂いて広田弘毅外相に改善の談判に赴こうとしたところで病に倒れたという最期はかなり似通っていると言えなくも無い。