蒼天の拳リジェネシス
27話・28話
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2020年3月30日 |
リジェ感想、続き
ヤサカに狙いを定め、飛び立つ極十字の拳士。
その背に纏うは、無数の手刀が形作る
蝶の羽。
極十字聖拳 天舞凰蝶斬
数百の突きが一斉にヤサカ向けて放たれる。
西斗月拳初となる連続拳奥義、
相雷焦裂拳で渡り合うヤサカであったが、勢いの差は歴然。体勢を崩したヤサカに、極十字の刃が迫る。
だがそれを止めたのは、
"格が違う"と言わんがばかりの、拳志郎による圧倒的な掌の壁であった。
北斗千手羅漢掌!!
かつて流飛燕が披露した「千の手」。
闘いの中でそれを会得した拳志郎が、北斗流に昇華させた攻防一体の奥義。
それが千手羅漢掌。
辻先生によると、ネーミングと構えには
北斗羅漢撃のイメージが用いられており、
ジャギの羅漢撃はこの技の派生亜流という脳内設定があるとのこと。
正直、あのブオガガガがこの神域の奥義の亜種と言われてもピンとは来ないのだが、ジャギには「北斗千手殺」という奥義もある。ネーミング的に言うなら「千手殺」「羅漢撃」の二つが合わさって初めて「千手羅漢掌」となるとしたほうが収まりが良い気がする。ジャギは未熟者故、「千手羅漢掌」の技術面である「千手殺」と、精神面である「羅漢撃」を融合させることができず、個別でしか使うことができなかった……という設定はどうでしょう先生(何様)
鉄壁のはずの掌の障壁の隙間を縫い、拳志郎の服(2話前に敵からパクったやつ)を引き裂く極十字の拳士。
露になった背の十字傷を見て、凄まじい咆哮と、殺気を帯びる極十字の拳士。
その瞬間、拳志郎の十字傷が
赤き血を流し始めた。
それはまるで、飛燕が泣いているかの如く。
かつてサウザーの死に呼応したシュウの血が、聖碑から流れ出た時のように。
目の前の相手が「霞拳志郎」であると知るやいなや、更に強い殺気を纏い襲い掛かる極十字の拳士。
その速さ、手数、しなやかさに加え、あらゆる体勢から繰り出される無形の拳が拳志郎を攻め立てる。
そしてその怒りはヤサカにも。
「北斗…北斗は殺す!」
ブーメラン炸裂!
かつてヤサカが飽きるほど唱えていたその言葉が、長い時を経て今ヤサカ自身に突き刺さる!
怒りで切れ味の増した極十字聖拳に、とうとうその身を裂かれるヤサカ。
かつて飛燕との戦いで極十字聖拳は完全に見切ったはず。そのヤサカに拳が届いたということは、今目の前にいる男の拳が、飛燕の間合いを超えてきたことを意味していた。
果たしてその正体は……?
まさかまさかの飛燕なのか?
それともアニメと同じアイツなのか?
その答がついに明らかになる!!
相手を羽交い絞めに捉えたその瞬間、
拳志郎の腕に走る、
やらこい感触!
ということは、やはり、おまえは
流 緋鶴!!!!
…えっ、これが緋鶴?
俺が知ってる緋鶴って
全体の5割がギャグ、4割がヒステリックで構成されてるようなキャラだった気がするんだが……もう完全に別人の様相じゃないですか。
髪型もドレッドじゃないし……
といった所までが先月号まで。
今月号は、その新生緋鶴の回想から。
どうやら漫画の方でも、窃盗団にコキ使われる孤児という設定は同じ模様。
仕事中に銭を5枚も落としたと、張兄弟にボッコボコにされる幼女緋鶴。
ていうかこの兄弟の手前の方、どう見ても
ケンコバさんだよなぁ……と思って呟いたら、辻先生からYESとのリプをいただきました。なんて良き時代。
後ろの兄貴のほうは増谷キートンかな?と思ったのですが、『パイレーツ・オブ・カリビアンシリーズ』に登場する
キャプテン・バルボッサに
ピース又吉と
ルー大柴を混ぜたような感じらしい。ルー要素どこ…?
役立たずの緋鶴を殺そうとする張兄弟であったが、その瞬間、2人は「あばお」「あくうっ」とガンダム芸人として面を見せながらその身を切り刻まれた。
殺ったのはもちろんこの人
飛燕!!
幻影とか空に浮かぶ顔とかじゃなく、輪郭のハッキリした飛燕が遂に登場!!
俺たちのミスター不器用が帰ってきた!
北平漂局(飛燕の雇い主)のナワバリでオイタが過ぎる張兄弟を始末するためにやってきた飛燕。そこに居合わせた緋鶴にも手刀を突きつける飛燕であったが、死を目前にした緋鶴は笑みを浮かべていた。死ねば母に会える。もう一人でいることに耐える必要もなくなると。
この虚無の瞳は、本家にはない辻先生の表現力って感じがしますねぃ
興が削がれたと立ち去る飛燕に、緋鶴は己を殺せと懇願する。
だがそんな彼女を吹っ飛ばし、飛燕は告げた。
そんなに死にたいなら、強くなって己を殺しに来いと。
これはつまり、 天涯孤独である緋鶴に、飛燕が「つながり」を与えたということですよね。死によって独りぼっちからの脱却を望む彼女に、己という目標を与え、新たな絆を作ることで、生きる道を照らしたということでしょう。
あいかわらず不器用な男だな!!
その後、飛燕の行く先々で襲撃をかけては蹴散らされる日々を送る緋鶴であったが、やがてその拳は飛燕に認められるまでに成長。肩を並べて拳を磨き、時には修業をつけてもらう、師弟関係となっていく。
その様子が数ページに渡って描かれてるんですけど、これがね、メッチャ良いんですよ……。
二人が並んで中華まん食ってるとことかね……すっごい好き。
なんかさ、ここ暫くずっと
コッテリした絵面だったでしょ。天斗はみんな仮面がやかましいし、シャムコムもバラオンも無駄にでけーし、人がゴミみたいに死にまくるし、ちょっと胃もたれする展開が続いたじゃないですか。そこに差し込まれたこのホンワカしたワンシーンが、実に良い清涼感になってるんですよね。
その後、飛燕と別離した後も一人修行を続けた緋鶴は立派に成長。
立派に成長したなぁ…
あ、いや、広背筋の話ね。
一部の層に大変需要の在りそうな恵体女子へと変貌した緋鶴。
だがある日、彼女の前に現れた紅華会の黄玄栄は、迫真の土下座をかましながら彼女に告げた。
流飛燕は俺をかばって死んだ。
やったのは閻王……北斗神拳の伝承者 霞拳志郎であると。
といった所で今月号はここまで。
【感想】
遂に緋鶴さん登場、ということで……
初登場したとき、明らかにガタイが男だったんで「あれ?」と思ったんですが、きっとこれはレイの逆だと。女装したらガタイまで小さくなるレイに対し、緋鶴は脱いだらスレンダーになるんだと、そう思ってたんですけどね……。まさかそのままの
マッチョメン女子が出てくるとは見抜けませんでしたよ。お見事です。あの強さにも説得力が出ますしね。
キャラクター的にもアニメ版より相当いい感じで(というかアニメ版の彼女にほぼ魅力を感じない)、ガチで強いのもそうだし、普通にべっぴんさんだし。今後拳志郎への誤解が解けた後のキャラ変にも大いに期待したい所です。アニメじゃ素直に恋路を諦めてましたが、漫画の彼女だったら唇くらいは奪ってくれそうじゃ。
しかし思ったより登場が遅かったですね。アニメじゃ緋鶴の精神的成長というのも見所の一つだったと思うのですが、漫画でここからそれを描ききれるのかどうか。なんか今の展開が佳境なのか、まだ全然序盤なのか、サッパリわからないので予想がつかない。
展開でいうと、緋鶴の後はバラオン様が待ち受けているわけで、下手すりゃそのままシメオン戦までもつれこみそうな勢いですね。いやー、連戦が続きますねえ。いくら拳さんが強いっつってもこれだけの猛者相手に不眠不休で戦い続けるというのはハードモード過ぎでは。読者視点でも疲弊が溜まるような展開なので、どこかで休ませてあげてほしいなあ。……無理かぁ。