TOP

泰山流千条鞭
たいざんりゅうせんじょうべん



流派: 泰山流
使用: ・ウイグル (対 ケンシロウ)
 …北斗の拳(56話) アニメ版(40話)
・ウイグル (対 レイ)
 …劇場版 北斗の拳
・ウイグル(対 トキ)
 …ラオウ外伝(アニメ版)
登場: 北斗の拳/アニメ版/劇場版/北斗の拳3/
パンチマニア


 泰山流の鞭術。数十もの鞭を束ねた特殊な武器を用いる。

 カサンドラの獄長であるウイグルが、ケンシロウとの戦いの中で使用。兜の中に隠されていた特殊鞭を取り出し、打ち付けることで、ガードしたケンシロウの全身を捕縛。その後、柄の部分を地に突き刺すことでケンの動きを封殺し、蒙古覇極道を炸裂させるための布石とした。

 『北斗の拳 ラオウ外伝 天の覇王(アニメ版)』では、カサンドラへと連れてこられたトキに対して使用。しかしすべての鞭を回避された。




 流石に1000本もの鞭を束ねているわけではないだろうが、双条鞭の2本から比べると格段に本数は増えている。ケンシロウの言う通り、先端を結んだり、回避したりする事は相当難しいはずだ。しかしその威力も十数倍になっているのかと言われると、そうではないだろう。寧ろ双条鞭よりパワーダウンしている可能性が高い。


 まず鞭の速度が遅くなる事は間違いない。鞭の重さや空気抵抗の増加、あと取っ手の部分も本来は兜の角なのだから単純に持ちにくそうだ。速度は鞭にとって最も大事な要素。そこが低下するのは致命的な弱点と言える。

 またこれだけ鞭が密集していると、鞭同士が干渉しあうことも危惧せねばならない。攻撃動作中に鞭がぶつかり合えば、軌道も変わるし速度も落ちる。十分なパフォーマンス発揮できないだろう。

 なによりも問題なのは、攻撃が雑になる事だ。鞭は非常に扱いの難しい繊細な武器である。求められるのは、最も速度の出る先端部分を如何にして相手に当てるか。更にはインパクトの瞬間に引き戻すのも重要なテクニックだ。それをあのウジャウジャ生えた鞭全てに行うことは絶対に不可能であり、必ず攻撃は雑になるだろう。


 以上の事から、威力で言えば千条鞭は双条鞭よりも遥かに劣っていると考えられる。だがしかし、そんな事はウイグルも織り込み済みであろう。実際彼が千条鞭を用いた場面でも、打ち付けてダメージを与えるのではなく、最初から全身を捕縛することを狙っていたように見える。




鞭本来の攻撃を目的としたものではなく、身体を絡め取って動きを封じ、その後の蒙古覇極道に繋げるための布石。それが泰山流双条鞭の本来の役割だと考えるべきだろう。


 そう考えられるもう一つの理由として、千条鞭の収納方法が挙げられる。よくネタにされがちだが、あの数十本もの鞭を、ウイグルはどのようにして兜に収納していたのか。もしやあれはウイグルの脳をほぐしたものなのでは?とまで言われる始末だ。それくらいスペース的に無理がある。



 だがもし千条鞭が「捕縛用」なのだとすれば、不可能では無い。鞭の多くは、革を編んで縄状にしたもので作られている。硬さ、しなやかさ、重さを兼ね備えた、鞭として最も威力を出せる素材だ。しかし体を絡めとる事を目的とした鞭であるならば、それに拘る必要はない。例えば中が空洞のゴム製……長〜い指サックのようなものでも十分だろう。それつまり、かなりの圧縮が可能であるということ。千条鞭の素材が、エアバッグや救命イカダのように数十分の一まで圧縮できるのであれば、あの兜の中に収納することも可能なわけだ。同時にそれは千条鞭が威力を度外視した武器であることの証明にもなるのである。