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虎背熊牙盗
こはいゆうがとう



流派: 孟古流妖禽掌
使用: カイゼル(対 シャチ)
登場: 北斗の拳(169話)/TVアニメ(126話)/
北斗の拳3/リバイブ



 郡将カイゼルが、修羅として千八百勝を積み上げるに至った熟練の拳。右手に闘気を纏わせ、そこから繰り出される早く強力な拳で敵を圧倒する。

 シャチとの闘いで使用。手の動きを封じようとしてきた際には早き拳で対応を許さず、足を狙った蹴りに対しては地を抉るほどの闘気波で迎撃するなど、格の違いを見せつけた。





 
 「味わってみるか 我が拳 孟古流妖禽掌!」と自分の拳を紹介してきたのに、その次の話でいきなり「虎背熊牙盗! 修羅として千八百勝の拳!」と全然別の名前を出してきたため、当時は混乱させられた覚えがある。が、おそらく「孟古流妖禽掌」の方がカイゼルの修得している拳法であるという認識でいいだろう。後に伐陀羅を使用した際に「孟古妖禽掌 伐陀羅」と頭につけていることからも、これが流派であることが読み取れる。


 では虎背熊牙盗は一体なんなのかと言われると、それは孟古流妖禽掌という拳法の根幹となる「型」だと思われる。


 中国には「虎背熊腰」なる言葉があり、これは虎の如き背中と熊の如き細い腰を持った逞しい身体という意味を持つ。つまり「虎背」はカイゼルの鍛え上げられた肉体。「熊牙」は、闘気を込めた手で象る熊の牙が如き手型(普通は熊爪だと思うが)。そして例の、肉体を通り抜けて骨や臓器を「盗」む技。合わせて「虎背熊牙盗」という事なのだろう。孟古流妖禽掌という異質の拳を最大限に活かすために組み上げられた、専用の戦闘スタイルなのである。





 孟古流妖禽掌の最大の武器が、あの臓器ぶっこ抜きマジックであることは間違いない。まともに決まれば羅将ですら即死させられる筈だ。だがそれだけで修羅の国で生き残ることはできない。臓器や骨を狙うという事は、それだけ攻撃箇所が限定されてしまうという事。相手が強者ならば、容易に拳筋を見切られてしまうだろう。必殺の拳を活かすためには、その土台となる真っ当な強さが必要なのだ。それをカイゼルに与えたものこそが、虎背熊牙盗なのである。

 シャチ戦で虎背熊牙盗を使い始めてから暫くは、あの体内器官を狙う技は使われなかった。代わりに使用されたのは、手に闘気を纏わせた拳。それもシャチの指の骨数本を簡単に折るほどの早さと威力を誇っていた。だが、これはあくまで「見せ技」。本命である臓器抜きに加え、この闘気の拳という選択肢を増やすことで、相手に狙いを絞らせないようにしたわけだ。どちらの攻撃が来るのか、その一瞬の迷いが相手の反応速度をコンマ数秒遅らせる。その結果、カイゼルは臓器を抜くことができるし、流川は沢北を抜くことができるのである。
 加えて、豊富な経験による攻撃の先読み、隙を瞬時に見抜く洞察力。そういった地に足を付けた強さこそが虎背熊牙盗の強みであり、カイゼルが郡将まで上り詰めることができた最大の要因であると考える。





 TVアニメ版では、手の表面に纏わせていた闘気を、攻撃を放つ直前に拳を握りしめることで大きな球体へと変化させる演出が加えられている。元斗皇拳にも劣らぬ多彩な闘気の扱いが出来ることで、カイゼルという男の底知れなさが更に際立っている。




 スマホアプリ『北斗の拳 LEGENDS ReVIVE』では、カイゼルの技の一つとして登場。ゲーム内の解説文では「手のひらで練り上げ放たれた闘気が、大きな手の波動となって相手を貫く」とあるが、これは原作の描写というより、このゲームでの演出を見て書かれた内容であると思われる。実際、漫画でカイゼルがこのような闘気の掌打を飛ばしている場面は無いわけだし。