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シャチ



登場:原作(166〜200話)TVアニメ版(125〜147話)
肩書:赤鯱の息子
流派:北斗琉拳
CV:鈴置洋孝(TVアニメ版)
   神谷浩史(真北斗無双)
   中村悠一(リバイブ)


 赤鯱の息子。北斗琉拳第4の男。15歳の時、修羅の国に攻め込んだ父・赤鯱に同行したが、軍が全滅を喫し、自らはそのまま国に取り残されることに。その後はレイア達とともに暮らし、一旦は国を出て帰ろうとしたものの、恋人となったレイアを捨てることが出来ず、そのまま国に留まる道を選んだ。

 この国の救世主となるラオウの出現を待ち続けていたが、愛を説き続けるレイアの身を憂い、自分が強くなってレイアを守ることを決意。ジュウケイから北斗琉拳を学び、修羅を喰らう鬼「羅刹」としてその名を轟かせた。

 ボロに扮してカイゼルのもとで機会を待ち続けていたとき、ケンシロウが出現。ケンを使って羅将達を倒そうと画策し、郡将カイゼルを倒してリンを奪い、羅将ハンのもとへと連行。目論見どおり、ケンに羅将ハンを倒させる事に成功した。その後、ケンより赤鯱の下へ戻るよう告げられるたが、ケンと共に行く道を選んだ

 再会したレイアから、ケンシロウとヒョウが実の兄弟である事を知らされ、二人を戦わせぬよう動いていたが、リンがカイオウに連れ去られたことを受け、ケンの後を追ってカイオウの居城へ。カイオウに敗北し、捕らわれの身となったケンを救出せんと試み、突如現れた父赤鯱の助力もあり、なんとか救出に成功。だがその中で赤鯱が命を落としてしまう結果となった。その後もカイオウからケンを守るために剛拳を全身に受けたり、己を訝しむ羅将ヒョウに片目を差し出すなどして、命を賭けてケンシロウを守り通した。

 ケンが蘇った後、ヒョウがケンの実の兄であること明かし、その宿命を乗り越えんとするケンとヒョウの戦いを見守るが、このままでは相討ちになると考え、背後からヒョウの身体を貫くという方法で勝負を決着。その罪を償うために自害しようとするが、ヒョウ自身によって咎められ、戦いの中で既にヒョウが記憶を取り戻していた事を告げられた。
 その後、レイアと共に、北斗宗家の秘拳が隠されているという泰聖殿に向け出発。しかし既にカイオウに先回りされており、左手と右足を失い死に体に。だがその戦いの中、宗家の秘拳が隠されている女人像の前へとたどり着き、その中に眠っていた北斗宗家の亡霊が己の体に憑依。死に絶えたからだとはおもえぬ力でカイオウを圧倒し、愛するレイアを守りきることに成功した。
 最後に、己の行動全てがレイアのためであったことを彼女に明かし、その生涯に悔いを残さずに息絶えた。


 TVアニメ版では、ハン戦後、ケンとは行動を共にせず、リンと二人で行動。ボロに扮してレイア達を反乱分子狩りから避難させたり、カイオウにリンをわざと連れ攫わせたりした。また、レイアからケンとヒョウの関係を聞くというシーンはカットされていることから、アニメ版のシャチは最初から二人が兄弟であることを知っていたという設定になのではないかと思われる。
 アニメではカイオウの城に駆けつけた赤鯱にレイアも同行していたため、父と恋人と同時に再会することとなった。上記の、ボロになってレイアを逃がした時、レイアはその正体に気付いており、その時にシャチの狂気が偽りの仮面である事を知ったというエピソードに変更された。
 その他、検問で黒夜叉に救われたり、北斗琉拳の修行時代に使った小屋へとケンを運んだり、ナガトの家で治療を受けたり、レイア特製のプロテクターを受け取ったりと、数多くのアニメオリジナルシーンが描かれている。


[解説]
 シャチは相当恵まれたキャラクターである。設けられた出番も多く、その中で素晴らしい活躍を数多く残した。あのバケモンからケンを奪還し、ケンのために目を失い、ヒョウ戦の決着をかっさらい、最後は霊を憑依させての圧倒劇。本来それほどストーリーに絡んでこれるほどの実力も無いのに、話が進むにつれてどんどん重要な役割を与えられていった。修羅の国後半戦でいうなら、主人公よりも目立っていただろう。活躍の度合いでいえばレイすらも凌駕する。ある意味弱い故に縛りがないのが良かった。なにかの伝承者でケンと同格のように振舞うのではなく、ケンに仕えるという従者的なポジションとなることで、ケンのために仕事をさせやすいキャラとなったわけだ。それでいてバットなんかよりは大分強いのだから、そりゃストーリーにも絡みやすいというものである。

 ただその割にはイマイチ存在感は薄い。原因は、彼が強敵ではないからだ。ケンと拳を交えていないが故に、かつての敵が仲間に〜という王道パターンを完全に踏襲しきれていないのである。まあ強敵で無いなら無いで目立つ事も可能なのだが、彼の容姿はどう見ても一戦士であり、戦士である以上は強敵でなければやはり目立てない。前述したとおり、彼は黒夜叉にかわるケンの従者的存在である。しかしそのビジュアルは、従者という地味なポジションにマッチした容姿とは言えない。フドウや黒夜叉のように、地味な役には地味な容姿が備わってこそ初めてその存在感は出るのだ。いぶし銀と呼ばれる俳優達にイケメンが多くないのと同じように、彼は従者として活動するにはあまりにもカッコ良過ぎたのである。

 しかし強さが微妙だの従者だのと言ってはいるが、その才は凄まじい。彼が北斗琉拳を学ぶ事を決意した時の容姿、そして北斗琉拳を会得した時の容姿。二つを比べてみても、然程歳の差あるとは思えない。推測するに、彼の修行期間は、長くても3年未満くらいだと思われる。彼はその短期間で、あれだけの強さを手に入れたという事になるのだ。伝承者と呼ばれる者たちは皆、幼少時代から常軌を逸した修行を行い、その果てに拳を会得する。そんな中シャチは、既に体が出来上がってしまった歳になってから拳を習い始めたにも関わらず、経絡破孔をも操り、闘気の弾を飛ばせるほどにまで拳を体得してしまっているのだ。まさに天才。あと数年拳を磨いていたら、ハンやヒョウくらいは超えていたかもしれない。多分あれだ。拳王様にあたまを撫でてもらった時、潜在能力を引き出してもらったのだろう。

 原作とアニメのシャチで大きく違うところといえば、ハン没後からカイオウの城までの行動であろう。原作ではハン没後に己の力不足を認識し、事実上ケンの下で動くような形になった。対してアニメではケンとは行動を別にし、リンをカイオウに攫わせ、ケンをカイオウの城へと誘導した。このシャチの行動を疑問視する人は多い。何故そんなリンを犠牲にするような狂気の行動をとったのか。シャチの目的がよくわからないのだ。だがこれは単に説明が不足しているだけで、明確な理由が存在している。実はアニメのシャチは最初からケンとヒョウが兄弟であることを知っていたのである。原作ではレイアからそっと教えられるのだが、アニメではそのシーンがない。しかしその後、シャチはきっちりケンにその秘密を打ち明けていた。その間シャチが二人の秘密を知る機会がないことを考えても、アニメ版のシャチは、修行時代にジュウケイから秘密を聞いていたという設定だったとしか思えないのだ。そう考えればシャチの行動も納得が行く。要するにシャチは、ケンをヒョウと戦わせたくなかっただけなのである。原作でいうところの、シャチがわざとケンをヒョウの城と別方向に連れて行こうとするシーンにあたるわけだ。狂気を演じてはいても、根っこのところでは原作と同じ、ケンの想っての行動だったのである。「まだシャチを狂気の男としておきたい」というのがアニメの狙いであり、この時点でシャチの本心を明らかにすることは出来なかった、というのが本音だろう。しかしその後も説明が無かったため、単にリンを酷い目にあわせた行動にしか受け止められなかったのだ。これで少しはアニメ版の彼の誤解を解け・・・・ていればいいのだが。