ザキと別れ、再びリンを探す旅へと出たケンシロウは 総督バレビが支配する街へとたどり着く。 村人 「かつて元斗皇拳といえば、伝承者のファルコさまをはじめ、ショウキさま、ソリアさまとそれは立派な拳士たちがいた。……じゃが、…もはや、元斗皇拳は地に堕ちた!この世は闇じゃ!一体いつになったら平和が来るのじゃろう…」 村人 「元斗皇拳伝承者のバレビは、中央帝都を海の沖に築き、そこから総督として命令を出してるんだ。えっ、中央帝都?…海の沖だ。街を出て東のドナポートの港に行けば見えるよ。」 総督警備隊 「おらおらぁ!俺たちは総督の警備隊だ!さからう奴はこの場で殺してやる!」
村人 「なぁ、あんた若い女を捜してるんだって?…さっき、やっぱり若い女を探してるって男がこの街に来てたけど…何か情報をつかんだのか、酒場のほうに急いで行ったよ。あっ!そうそう、今酒場に行けば、総督の部下のザノスがおもしろい事をやってるよ。酒場は街の西のはずれだ。」 |
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ケンシロウ、街の酒場へ。 中では総督軍のザノスが、手下の大男を連れて叫んでいる。 ザノス 「俺は総督の信頼を受けた部下のザノスだ。誰か腕に自慢のある奴はいないか?この男は元プロレスの世界チャンピオンだ。この男に勝ったら一週間分の食糧をやるよ。だれか挑戦する奴はいないか?」 元プロレスラーの男、チェーンを噛みちぎり、パワーを見せ付ける。 ザノス 「怖気づいたか? 挑戦する奴はいねえのか?」 ミッシュ 「俺がやろう」 ザノス 「貴様か へっへっへっへ だが、大怪我をして吠え面かくなよ?」 元プロレスラー 「ははははは! いくぞぉ」 ミッシュ 「はぁーっ!!」 ミッシュ、元プロレスラーのパンチをガード 元プロレスラー 「はっはぁ〜 どうだあ!」 ミッシュ 「おおおっ!」 元プロレスラー 「ごへっ!!」 ミッシュ、金色に光る手で攻撃。元プロボクサー爆死。 ケンシロウ 「なにっ!」 ザノス 「お・・・お前、名前はなんていうんだ?」 ミッシュ 「俺の名はミッシュ。拳法は自己流。後は何も覚えていない。俺は記憶を失った男だ・・・」 ザノス 「ミッシュ・・・? あ、ああ、ミッシュか。どうだ?中央帝都のバレビ様の所で働かないか?俺が口を利いてやるぜバレビ様のもとなら一生食い物に困らない。いい女だっているぜ〜」 ミッシュ 「いらぬお世話だ。俺は一週間分の食糧さえあればそれでいい」 ミッシュ、貰った食糧を抱えてバーを去る。 入れ違いでバットが酒場に入ってくる。 バット 「ケン!!」 ケンシロウ 「バット・・・」 バット 「会いたかったぜケン。俺も怪我が治ったからリンを探しにきたんだ。 リンは・・・リンは見つかったのか?」 ケンシロウ 「・・・・・・」 バット 「そうか・・・やはり・・・ 妙な噂を聞いた。女だけを閉じ込めた牢獄があるという」 ケンシロウ 「バット、その牢獄はどこに?」 バット 「中央帝都ってとこらしい」 ケンシロウ 「行こうバット。中央帝都に」 |
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港町へと急ぐケンシロウたち 総督警備隊 「じゃまだ!どけ、こら!俺は総督警備隊だ!」
村人 「総督のバレビは海の向うに、人工島を作り、そこを要塞にしちまった。おまけに部下の女を人質にして逆らえないようにしている。もうやりたいほうだいさ。…でも、あいつが恐れているものが二つだけある。北斗神拳伝承者と、もうひとりは…えぇと…なんて言ったかな、何とかって男……あん?…船?…船なら、人工島から日に一度来るけど、バレビの兵隊集めの船だぜ!?」 村人 「ちょっとあんたら!バレビが、元斗皇拳正統伝承者だって!?…そんなバカな!大きな声じゃ言えないけどな、あの男は昔、ジャコウのご機嫌ばかり伺ってたただの鼻たれ小僧なんだよ。ジャコウってのは、天帝を人質にして総督を名乗り、支配をもくろんだけど金色の狼ファルコさまに滅ぼされた…そう!そのジャコウさ!なあ!それより、すごい話があるんだ!いいかい、この町の北にある小さな村で診療所を開いている男が、あの北斗神拳のトキらしいんだよ。生きてたんだなぁ、あの人。」 |
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トキの村に急ぐケンシロウたち 子供 「よかった!もぅどっこも痛くないよ。北斗神拳は、拳法だけじゃなくて、病気もなおせるんだ!ケーラクヒコウをつくと、セーメーリョクがよみがえるんだって!」 村人 「この村でトキさまが、小さな診療所を開いてるんじゃ。トキさまに診てもらったら、ケガでも、あっというまじゃ。トキさまは、北斗二千年の歴史の中でも、もっとも華麗な技をもつ拳士じゃった……じゃが、病におかされ伝承者の道をゆずられた…」 村人 「ここが、トキさまの診療所さ!」 ケンシロウ、トキの診療所の中へ トキ 「おお、ケンシロウ・・・よく来たな」 ケンシロウ 「トキ・・・!生きていたのか」 トキ 「私は既に拳を置いた。私は今、この小さな村で子供達や病に苦しむ人たちと暮らしている」 ケンシロウ 「トキ・・・この世は再び乱世に。南斗、元斗、そして北斗無明拳が動き出した」 トキ 「なに!暗黒の北斗が!北斗無明拳はお前にとってかつてない大敵。ケンシロウ!七つの拳を会得せよ!それなくば北斗無明拳を倒す事は出来ん!」 |
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再び港へと急ぐケンシロウたち 兵隊募集係 「おっ?なんだ、バレビさまの軍隊で働きたいのか?俺は、帝都の兵隊募集係だ!いいだろう、ここでまってろ!もうじき船が…おお!? 来た来た!」 ザノス、兵隊志願者を迎えに船でやってくる。 ザノス 「兵隊になりたいやつは集まったか〜?」 ザノス 「おお! 強そうなお兄さんだな!ま!お前ならいいだろう。乗りな!」 ミッシュ 「俺も行くぜ」 ザノス 「おお!ミッシュの旦那! 人が悪いな〜バレビ様の子分になりたいならそう言えばいいのにさぁ、乗った乗った!」 乗り込こもうとしたとき、バットがザノスを船の上から蹴飛ばす。 バット 「けいっ!」 ザノス 「うあぁ!?」 ケンシロウ 「お前は乗らなくていい」 ザノス 「いいててて・・・ 何しやがる!」 バット 「フン! 誰も兵隊になるなんて言ってないぜ。船を借りるだけだ」 ザノス 「もう怒ったぞ!貴様等、俺を甘く見るなーっ!!」
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船で中央帝都へと向かう途中、ミッシュから話を聞く。 ミッシュ 「俺には記憶が無い。俺の記憶を解く鍵が、あの人工島にあるような気がする…気がついたときは、俺は一人ぼっちだった。拳法も全て自己流だ。たった一つ覚えているものは、母のぬくもり…母の名は、ミュウ!」 ケンシロウ (ミュウ・・・ ミュウとは元斗皇拳ファルコの許婚…元斗皇拳先代伝承者、金色の狼ファルコ。天帝を守るため、自らに厳しい掟を課し、壮絶に生きた男・・・ミュウは、ファルコの死後、その子を身篭ったと聞く・・・) ミッシュ 「あれが中央帝都か。何故か心が騒ぐ・・・」 ケンシロウ (やはりファルコの息子か・・・ならば今、元斗皇拳正統伝承者を名乗るバレビとは一体・・・) |
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ケンシロウたち、中央帝都へと到着。 総督バレビの元へと進む。 番兵 「ん!?まて、お前ら!ザノスさまは、どうした!」
番兵 「まて!ここは、第二の門だぞ!? お前らのような者が、うろついていい場所ではないぞ!」
番兵 「ん!ここは、第三の門だぞ!? お前たちの部隊名を言え!」
ミッシュ 「ここからは二手に別れよう。 縁があったらまた会おう」 ケンシロウ 「わかった…」 番兵 「おっと!ここを見られちゃあ、生かしてはおけん!死ね!」
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ケンシロウ、牢に捕らわれているミュウを救い出す。 ミュウ 「ケ・・・ケンシロウ様・・・ミュウです。覚えておいでですか・・・」 ミュウ 「総督バレビは、ジャコウの血筋を引く男・・・ 元斗皇拳の正統な伝承者ではありません。」 ミュウ 「先代伝承者ファルコが壮絶な最期を遂げてから暫くして、私は、ファルコの子供を生みました。その子の名はミッシュ。とても勇敢な男の子でした。」 ミュウ 「でも狡猾なバレビは、陰謀をはかり、ミッシュの記憶を奪い、遠くの地にへと追いやってしまったのです。」 さらにバレビは、ミッシュが記憶を取り戻した時を恐れて、私を人質として、永い間、この牢に閉じ込めたのです。ケンシロウ様、我が子ミッシュに力を貸してやってください!我が許婚ファルコのために!元斗の名誉のために!バレビは、この奥の階段を登ったところの部屋にいます。」 |
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ミッシュ、一足先にミッシュの部屋へ。 バレビ 「よ、よく来たなミッシュ!私が総督のバレビだ!おぼえているか?お前の父、ファルコより元斗皇拳伝承者を受け継いだ・・・」 ミッシュ 「・・・・・・」 バレビ 「どうやら、まだ記憶を取り戻していないようだな・・・ミッシュ!これがわかるか?」 バレビ、元斗の紋章が描かれたマントをミッシュに投げ渡す。 ミッシュ 「こ、これは!?」 バレビ 「お前の父ファルコが私にくれたものだ。伝承者として指名した証になぁ・・・」 ミッシュ 「こ、これが父の・・・我が父ファルコの・・・」 バット 「嘘だ!騙されるなミッシュ!」ファルコがお前みたいな奴を伝承者に指名するはずがない!」 ケンシロウ 「やめろ、バット」 バット 「し、しかし・・・」 バレビ 「へははははは!ひ〜〜ははははははは!ついでに教えてやろう!お前の父ファルコを殺したのは、そこにいるケンシロウだ!」 ミッシュ 「な、なにぃ! ケンシロウ!貴様が、俺の父を!」 バット 「ミッシュ!違う!違うって!」 ミッシュ 「戦え!ケンシロウ」 ケンシロウ 「いいだろう。受けよう、お前の拳を」 バット 「ケン・・・!な、何故・・・」 ケンシロウ 「ミッシュ・・・お前の記憶を元に戻す手立ては一つ!俺の拳で、お前の闘いの本能を目覚めさせる事だ」 ミッシュ 「ほざくな!覚悟しろ!」
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ケンシロウとミッシュ、戦いを中断する。 バレビ 「どうした!何故攻めぬ! 早く、早くケンシロウをやっちまえ!」 ミュウ 「ミッシュ!」 ミッシュ 「は、母上・・・ですね!」 ミュウ 「ミッシュ、記憶を取りもどしたんですね・・・」 ミッシュ 「はい!」 ケンシロウ 「ミッシュ・・・・戦うことによってお前の父ファルコの血が目覚め、お前の記憶が蘇ったのだ。」 ミッシュ 「俺の母はミュウ・・・父はファルコ・・・俺こそ元斗皇拳正統伝承者の血筋・・・」 ミュウ 「そうです。あなたは誇り高き金色のファルコの子。戦うべきはあの王座に座っている偽の伝承者、バレビです!」 ミッシュ 「バレビ・・・!お前だけは許さぬ!我が元斗皇拳の名誉のためにも!父の無念のためにも!」 バレビ 「あぁあ・・・近付くな! こら、近付くな!俺はいずれおまえに伝承者の座を譲ろうと思っていたんだ!だから助けてくれぇ」 バレビ、玉座のスイッチを押して仕掛けを発動。 無数の針(ニードルナイフ)がミッシュの身体に突き刺さる。 ミッシュ 「うぐっ!」 バレビ 「ひっはっはっはっはっは!!」 ケンシロウ 「なにぃ!」 バット 「ミッシュ!」 バレビ 「へはははははは! バカめ! 誰がお前などに伝承者を譲るか!」 ミッシュ 「まだお前は、元斗皇拳正統伝承者の重みをわかってないようだな。この程度の傷で、俺の肉体は滅びぬ!」 ミッシュ、筋肉の膨張させ、すべての針を抜く。 続けざまにバレビの顔面を掴み、闘気を込める。 バレビ 「あ、アチィ・・・!」 ミッシュ 「死ねえ!」 バレビ消滅 バット 「やった!」 ミッシュ 「父よ・・・! 我が父、金色のファルコよ!元斗皇拳、このミッシュが伝承しました!」 ケンシロウ 「見事だ、ミッシュ!」 ミュウ 「ケンシロウ様、リンという女の子は、一度確かにこの帝都に運ばれてきました。でも、修羅の島に移されたと聞いています。」 ケンシロウ 「そうか・・・」 バット 「おのれ・・・!」 ケンシロウ 「リン・・・必ず俺が探し出す!」 第三章 完 |
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