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[第4話]
ブラッディクロスを撃て!! 
 秘拳・柔破斬


 スペード、ダイヤに続き、クラブまでがやられたとあって、殺気立つドラドの町。唯一残されたハートの軍はそのメンツにかけて必死でケンシロウ達を捜索するが・・・

 その頃、ケン、バット、リンの3人は、昨日と同じ地下室に隠れて夜明けを待っていた。どうしてもケンに会いたかった・・・。自らが来た理由をそう語ったリンは、更に此処まで連れてこられるまでの経緯を説明した。リンとぺルが乗り込んだトラックは、道中KINGの軍に襲われたのだという。そしてさらわれた人々は、一度町はずれの谷の収容所へと送られ、そこからいろいろな所へと連れていかれるというのだ。罪もなく地獄へ運ばれようとしている人々。ケンには、彼らを見過ごすことは出来なかった。

 ケンシロウを見つけられずに苛立つKING兵。その怒りは、酒場のマスターにまでぶつけられていた。理不尽な理由で痛めつけられるマスター。とその時、その暴力を制止する声が飛んだ。声の主は、KING配下の一人、ハートであった。君達は貴重な働き手だ。困ったことがあれば何でも言うがいい。悪党とは思えぬ優しい心遣いで、マスターに接するハート。しかし、彼が酒を貰おうとしたとき、事件は起こった。ハートが手をついたカウンターに、先ほどのいざこざで割れた瓶の破片が落ちてたのだ。手のひらから流れでた自らの血に、体を震わせるハート。そして次の瞬間、怒りに満ちた表情で、ハートは突如マスターの顔面を握りつぶした。ハートは、自らの血を見ると、我を忘れてしまう性格だったのである。巨体をゆすり、酒場を破壊し始めたハートには、もはや敵味方関係なかった。このままでは殺される。そう感じた部下達は、一斉に棍棒をぶつけてハートを気絶させようとする。しかし、ハートの特異なその体は、棍棒を逆に肉体の中へと取り込んだかと想うと、次の瞬間、猛スピードで部下達へ向けて弾き返してきた。そして、ようやくハートの怒りが収まった頃には、酒場は無残な死体の山が出来上がっていたのだった。

 収容所を見下ろせる場所へとやってきたケンは、リンとバットに待っているよう告げ、一人収容所へと乗り込もうとしていた。そんな事など露知らず、収容所の見張りは暇そうにアクビをしていたが、次の瞬間、彼は信じられないものを目にした。なんと目の前の崖から、巨大な岩が転がり落ちてきたのだ。なんとか寸前で避けた男達だったが、岩はそのまま収容所へと激突。その騒ぎに飛び出してきた見張り達は、岩の上にたつ一人の男、ケンシロウの姿を目撃した。大岩は、ケンの作戦だった。あらかじめ見張りの数をリンから聞いていたケンは、この騒ぎによって見張りを一堂に集め、一片に倒してしまおうと考えたのだ。北斗四方斬等によって、次々と見張りをかたずていくケン。その活躍ぶりに居ても経ってもいられなくなったバットは・・・

 バット、そしてそれについてきたリンは、裏口から収容所の中へと侵入していた。人々の捕らえられた檻をピッキングで開け、自らも手柄をたてようとしたのだ。しかしその時、その不信な音を聞きつけた見張りが、二人のもとへ現れた。ケンが全て外に誘き出したはずの見張りが、まだ一人中に残っていたのである。絶体絶命の二人。しかし、武器を振り下ろそうとしたの男は、鈍い音と共に前のめりに倒れた。寸前、ケンの投げた石が、男の首にヒットしていたのだ。身勝手なバット達に呆れつつ、ケンは鉄格子をひん曲げて捕虜達を救出。一行はさっそく追っ手達から身を隠せる場所へと移動し始めたが、ケンの頭の中には、収容所の上に掲げられたブラッディクロスの紋章が焼きついていた。

 KINGの居城。そこで、眩い朝日を眺めながら涙していたのは、シンの横でハープを引いていた女、ユリアであった。ケンが生きていた。それが何よりも彼女にとって嬉しい知らせだったのだ。そんなユリアに対し、KINGが持ってきたのは、きらめく宝石の山であった。これが似合う女はお前だけだ。そう言ってユリアの機嫌を取ろうとするKING。しかし、逆にユリアは、KINGに軽蔑の目を向けた。数々の血を犠牲に集められたその宝石に、ユリアは人々の哀しみしか見えなかったのだ。力こそが正義。その自らの信念を理解しないユリアに、苛立ちを募らせるシン。とその時、シンは自らの背後に気配を感じた。その正体は、シンの参謀、ジョーカーであった。谷の収容所がケンの手によって潰されたことを報告しに来たのである。すでにハートが向かっていることを告げられたKINGは、ジョーカーにも赴くよう指示を出した。

 ケンと捕虜達は、ひとまず身を隠せる岩山へと向かって歩き続けていた。途中、歩けなくなった老人の足に秘孔を突いて痛みを消すなどしながら、なんとか岩山の目前まで到着。だがその時、突如ぺルが何かに気付き、吠えだした。遂にKING軍の追手がやってきたのだ。捕虜達を先に岩山へと向かわせ、ケンは単身追っ手を迎え撃つが・・・

 何とか岩山を登り終えた捕虜達。しかしその頂上で待っていたのは、ハート率いるハートの本隊であった。追っ手達は、ケンと捕虜達を引き離すための囮だったのだ。KING軍の投げた棍棒によって、次々と殺されてゆく捕虜達。生き残ったリンとバットに対し、残る全ての棍棒が放たれる。だが、間一髪到着したケンによって、二人は再び命を救われたのだった。罪のない捕虜達を虫けらの如く殺したハート達に、ケンは怒り爆発。雑魚を北斗百方斬にて殲滅し、ハートの前へと立つケン。しかし、ハートは何を思ったか、突如自らを殴るよう指示してきた。言われるまでもないとばかりに、その拳を突き入れるケン。だが、その拳は、ハートの腹に突き刺さったまま抜けなくなってしまった。ハートの体は、どんな攻撃をもやわらかく包み込んでしまうという特殊な肉体だったのだ。動けぬままハートの張り手を喰らい、地に叩き付けられるケン。私に勝てるのはKING様の南斗聖拳だけだ。ケンを見下ろしながら得意げにそうつぶやくハート。だがその言葉が、逆にケンに闘争心を蘇らせてしまう結果となった。南斗聖拳、それは北斗神拳と対を成す必殺拳。その拳を使うKINGこそが、自らの追い求める男であることを、ケンは確信したのだ。ジョーカーのトランプによって出血したハートは、我を忘れて突撃するが、最早覚醒したケンシロウの敵ではなかった。激しい蹴りの連打でハートの脂肪をかき分けたケンは、そのまま秘孔へ一撃。北斗神拳 北斗柔破斬によって、ハートの肉体は醜くはじけ飛んだのであった。

 南斗聖拳の使い手、シン。その男こそが、ケンの追い求める男であり、そしてKINGと呼ばれる男の正体であった。ケンを死の淵から蘇えらせた、シンに対する怒りの正体とは・・・
放映日:84年11月1日


[漫画版との違い]
ハートがバーで暴れるシーンと、VSケンシロウ以外は全部アニメオリジナル。


・アジトに大岩衝突させて見張り誘き出し作戦
一見効果的のようにも思えるが、もし人々が捕らわれている牢屋が入り口近くにあったらどうすんねんって気もする。大岩直撃の際に村人全滅なんてこともあったはず。結局ケンシロウってあんまし深く考えてないで行動してるって事なのか。もしかしたら村人達の命よりも己の派手な登場シーンを創り出すことの方が大切だったのかも。
・ダイヤモンド破壊
これが南斗聖拳の底力rなのか、今回シンはダイヤモンドを指二本で潰すという荒業をやってのけました。
ダイヤモンドが最も硬いと言われるのは「硬度」であり、これは傷がつきにくいという事。衝撃などにはダイヤは弱いのです。かといって、指でギューとやって壊れるものかといわれるとそうではない。うーん、結局どれくらい凄いことなのか、私にはよくわかりません。


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