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[第43話]
カサンドラ崩壊!
北斗の神話はぬりかえられた!!


 黒王号に跨り、漆黒の夜空を眺める世紀末覇者・拳王。寄り添う2つの星を見た拳王は、時代が動こうとしている事を予感していた・・・

 トキに振り下ろされた刃は、宙で制止していた。トキは指先でつまむだけでその刃を止めてしまっていたのだ。そしてその時、背後の壁を破ってケンシロウが登場。追い詰められた親衛隊は、再度その刀を振り下ろそうとするが、彼等の体をトキの北斗有情破顔拳が突き抜けた瞬間、勝負は決した。ありえない方向に手足の関節を曲げていった二人は、例えようの無い快感の中爆死。死ぬ直前に天国を感じる拳。それがトキの北斗神拳だったのだ。病人とは思えぬ技の華麗さに驚くレイとマミヤ。そして、遂にトキとケンシロウの2人は、宿命の再会を果たしたのだった。トキの体は、もはや長い旅路に耐えられぬほどにまで衰弱していた。だからトキはあえて囚われの身となりケンが来るのを待っていたのである。目的を達成した一同は早速城から脱出しようとするが・・・

 ケン達の帰りを待つカサンドラ兵達の顔には、不安が漂っていた。拳王決死隊・・・先程監獄塔へと突入していった彼等の強さを知るカサンドラ兵は、ケン達の身を心配せずにはいられなかったのである。ウイグルにも勝ったケン達なら勝てるかもしれない。そう言って光明を見出そうとするカサンドラ兵達だったが、その次の瞬間、突如彼等の体を巨大な影が覆った。死んだはずのウイグルが墓穴の中から起きあがってきたのだ。「カサンドラにはもう一つ伝説がある・・・最後にカサンドラは荒野に戻る・・・」そう語り終えたウイグルは、体を2つに割って再び墓穴の中で絶命。獄長の残した言葉に困惑する兵達。しかしその直前に広前と帰ってきていたライガフウガは、その伝説を知っていた。『監獄塔落ちる時、カサンドラ荒野に還り。生きとし生ける者全て無に帰す・・・』これが獄長の言う第二のカサンドラ伝説の全貌だったのた。もしかしたら拳王がカサンドラに仕掛けを施しているのではないか・・・ライガ達のその予想は、直ぐに的中した。ケン達のいる監獄塔が、突如轟音を響かせながら崩壊し始めたのだ。

 崩れ行く塔から脱出せんと、階段を駆け下りるケンシロウ達。しかしその行く手を阻んだのは、拳王のためなら命を投げ出して戦うと謳う拳王決死隊であった。少しでもケン達の脱出を遅らせようと、数任せに襲いかかる決死隊。だがカサンドラ崩壊の仕掛けに巻き込まれた決死隊は、ケン達の手をほとんど煩わせることなく全滅。残った者たちもレイの南斗水鳥拳の前に次々と肉片と化した。

 己たちの救世主を救うため、ライガとフウガは再び監獄塔の中へと向かうことを決意。親友であるカサンドラ兵・タカはその無謀な行為を制止しようとするが、己達の全てを賭けた救世主の危機を黙ってみていることなど2人には出来なかった。全てが終われば一緒にここを出よう、タカとそう約束した2人は、監獄塔へと駆けるが・・・

 ライガとフウガを監獄塔の前で待っていたのは、拳王決死隊隊長ブルグであった。トキとケンシロウを監獄塔から出してはならない。そう命じられているブルグは、ケンを助けに向かおうとしているライガ達を通すわけにはいかなかったのだ。2人が自らの命令に従わぬと知ったブルグは、壁に仕掛けられたスイッチを作動。その瞬間、塔に仕掛けられたカラクリが作動したかと思うと、ライガ達の頭上に巨大な岩の塊が降ってきた。その岩でケン達の出口を塞ごうとしたのだ。だがライガとフウガは、その自らの数十倍はあろうかという岩を受け止め、出口を守った。ミツを見殺しにしてまでも救世主に賭けた2人の信念は、自らの命をいくらでも差し出す覚悟を決めていたのである。しかし大岩を支えて動けぬ彼等には、ブルグの振り下ろした太刀をかわすことは出来なかった。容赦ないブルグの斬撃が2人を襲う。そして数分後、塔から脱出したケン達が見た物、それは大岩を支えたまま絶命したライガとフウガの姿であった。彼等はブルグの剣を喰らい、絶命しても、ケン達のために出口を死守し続けたのである。自らを救うために死んだその2人に涙したケンは、全ての元凶である拳王に死を与えることを約束したのだった。

 完全に崩壊したカサンドラの瓦礫の中から、トキは一枚の壁を指した。その壁は、拳王によって殺された武道家達の血が滲んだ悲劇の証であった。ジャギ、アミバ等を操り覇天を目指す拳王。トキはその正体をケンに明かそうとするが、既にケンはそれを悟っていた。世紀末覇者拳王、その正体は、ケンやトキの兄、北斗の長兄ラオウ。父リュウケンに北斗神拳の使用法を問われたとき、天を目指すと答えたラオウなら、この時代に天を握ろうと動き出すことは容易に想像できたことであった。

 一緒にカサンドラを出よう、そう約束したはずのライガ達の死を知り、悲しむタカ。その哀しみを嘲笑うかのように、カサンドラの出口には、既にブルグと拳王決死隊達が陣取っていた。何人たりともカサンドラからの出獄を許してはならぬとの命を受けている決死隊達は、拳王という恐怖の存在に後押しされ、ケンシロウ達に突撃を開始。しかしケン、レイ、マミヤ、そしてタカ率いるカサンドラ兵や囚人まで加わった大人数の前に歯が立たず、あっと言う間に残るはブルグだけとなってしまった。ブルグの渾身の太刀を片手で防いだケンは、そのまま連撃を炸裂。しこたま殴られた上に動けなくなる秘孔を突かれたブルグは、タカの怒の刃を喰らい、絶命したのだった。

 すさまじい轟音を上げて崩れ去る監獄煉。伝説の通りに荒野と化したカサンドラからは、あの忌まわしき鬼の哭き声が消えた。しかしケンの耳にはまだ鬼の哭き声が響き続けていた。拳王の元で苦しむ人がいる限り、世の中から哭き声が途絶えることは無かったのである。救世主と成りてその声を止ませられるのはお前しかいない。トキはそう言ってケンに己の使命を悟すのだった。

拳王親衛隊、そして拳王決死隊が全滅したとの報は、すぐに拳王の元へと伝えられた。宿命の星が出会ってしまった今、天が乱を、そして拳王を呼んでいた・・・
放映日:85年9月12日


[漫画版との違い]
・ライガ達大岩を支える、ウイグル再起動、壁の血のシミを見せるといったシーン以外はほぼアニメオリジナル。
・トキが、周囲の壁に滲んだシミをケンに見せ、崇山通臂拳の男を例に拳王の暴挙を話すシーンは削除。
・↑のかわりに、監獄塔が崩れ落ちた後、廃墟の中の壁の一部を指して似たようなシーンが追加。
・ウイグルが墓穴から起き上がるイベントは、原作ではトキを助ける前だが、アニメでは後。
・ウイグルが起き上がった時に喋る台詞が「トキとケンを会わせてはならぬ」から、カサンドラが荒野に返る伝説に変更
・ライガ達が大岩を支えるのが、トキの牢への通路確保から、脱出口の確保に変更。
・岩を落としたのもザルカ達からブルグに変更。
・拳王がラオウと判明したとき、リュウケンの問いにラオウが天と答えるシーンが登場。原作では虎殺しの試験後。



・武士だけに
ブルグは自らの命を捨ててまで監獄塔の出口を塞ごうとしたのに、どうしてケン達が出てくる頃には監獄塔の前から立ち去ってしまったのか?ライガ達が死しても岩を支え続けたために、作戦が台無しになったからだろうか。否、私は、ブルグはライガ・フウガの義侠心に打たれたのだと思う。おそらくブルグの太刀なら、死んだライガとフウガの体を切り裂き、岩を落とすことが出来ただろう。怒りで鋼鉄と化したケンの体に刀を食い込ませるブルグなら、ライガ達ごときのの手足など切り落とせるはずだ。なのにそれをしなかった理由、それは己たちの命を捧げてまで通路を守った2人の義侠心に打たれ、彼等の死に免じ、ケンシロウと正々堂々闘おうと決意したからなのだ。武士道。
・過大評価
ケン達の身を案じて待ち続けるカサンドラ兵たち。そんな彼等が吐いた台詞「いくらケンシロウっていったって拳王決死隊には敵わねえよ」。・・・マジか?ウイグルを倒したケンシロウでも勝てぬと思っていたのか?どんだけフシ穴やねん。っていうかお前等後でそいつ等に勝ったやん。
・NG
獄長!!墓から起き上がったときに千条鞭のツノがついてます!NGです獄長!
・NG2
トキさんピカー
出るぞ出るぞ。ビームでるぞ。
・・・ん?あれ? 鉄輪どこにいったの?
とか言ってたらパキーンて壊れました。今頃。
まあ、ちょっとした作画ミスだよね。気にしない。
・・・って言ってたらまた鎖復活してる!
繋がっとる!未だ拘留中!拘留ビーム!
けど次の瞬間には消失!釈放!釈放ビーム!
いろんな意味で縛られない男!ミスターアンチェイン!

こちらのツッコミは、きのぷー殿から提供していただきました。ありがとう御座いました。




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