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[第48話]
奥義爆裂! 北斗二兄弟の宿命は
憎しみをも越えた!!


 俺が恐れたのは唯一、トキの拳のみ。無敵のラオウをも恐れさせるトキの拳の秘密とは・・・

 村へと向かい荒野を急ぐマミヤとトキ。ケンはまだラオウと戦うときではない。ケンの拳は激流、ラオウの拳もまた激流。激流にぶつかった激流は砕け、飲み込まれる。その激流を制することができるのは静水しかない。ケンが勝てない理由、そして唯一拳王を倒しうる己の拳の性質をトキはそう例えた。と、その時、トキは突然マミヤに距離をとるよう指示した。出てくるがいい。そうトキが言った瞬間、二人の前方の壊れた車両の中から、大男が現れた。男は、拳王がケンシロウを倒すまでトキを村に入れぬよう命じられた刺客であった。トキを闇討ちしようと潜んでいたのだが、知らぬ間に発していた強い殺気をトキに感付かれてしまったのである。トキの踊りのような構えを一笑し、己の必殺技、烈闘破鋼棍にて襲いかかる大男。しかし静水と化したトキの体に棍はあたらず、逆に己の力を利用され吹っ飛ばされる始末。男はめげずに棍をふりまわすが、トキにいなされた己の腕は、まるで自分の体に巻きつくかのようにくっついたまま、動かなくなってしまった。去り行くトキの背に情けなく助けを求めるその男の姿が、トキの静水の拳の威力を物語っていた。

 ラオウがケンとトキの再会を阻んだ理由、それはトキの拳をケンシロウが体得することを恐れていたからであった。トキが来るまでになんとかして勝負をつけようとするラオウ。しかしレイは、黒王号の突進から身を呈してケンを守るなどして、徹底的に二人の勝負の実現を阻もうとする。二人の拳は同質。ぶつかれば例え相手を倒しても自分も死ぬ。トキが見抜いていたケンシロウ敗北の理由を、レイもまた見抜いていた。そしてケンとの旅は、レイにもう一つの事実を目抜かせていた。ケンはこの時代に必要な男・・・リンやバット、そして全ての人のために生きねばならない。ケンシロウこそが唯一この世を拾うことが出来る救世主であることを、レイは悟っていたのだった。

 たとえ99%勝ち目が無くとも、1%あれば闘うのが北斗神拳伝承者の宿命。そう言って再び拳王の前に立ったケンは、再度拳王を乗せて突進してきた黒王号の横っ面を殴打した。いよいよ激化しようする二人の戦い。しかしその時、何者かの気配を感じたラオウが舌打った。遂にトキが村の広場へと到着したのである。レイと同じく自分を止めようとするトキに、ケンは再び北斗神拳伝承者の宿命を理由に拳王との戦いを所望するが、トキの口からもたらされたのは、今のケンでは1%の勝ち目も無い、という信じがたい現実であった。リンを殺せる非情さがあれば、ケンはラオウに勝てる・・・。ケンはシンやレイとの非情の戦いで闘気を纏った。しかし拳王は、彼等北斗四兄弟の義父、リュウケンにまでその手にかけた。ケンとラオウは同じ激流でも、纏う闘気の非情さにおいては果てしない差が広がっていたのだった。

 北斗神拳の伝承者がケンシロウに決まり、リュウケンの元を去ろうとするラオウ。リュウケンは伝承者争いに敗れた者の宿命である北斗神拳の使用禁止を命じるが、覇天を目指すラオウにとって2000年の掟などゴミに等しいものであった。己が育てた最強の男。その男が描く恐ろしい謀略を阻止せんがため、ラオウの拳を封じようとするリュウケン。かたや先代伝承者を倒し、自分が最強の男になろうと企むラオウ。それぞれの想いを胸に対峙する2人。最初に動いたのはリュウケンであった。北斗神拳奥義のひとつ・北斗七星点心。人の動きの中にある七つの死角、その死角が描く北斗七星をたどる動きは、ラオウですら見切ることが出来なかった。どこから来るともわからぬ攻撃をしこたま喰らい、戦闘不能寸前にまで陥るラオウ。殺しはしない、その拳だけ二度と使えぬようにするだけだ。そう言ってとどめの一撃を繰り出そうとするリュウケン。だが、悲劇は突然訪れた。リュウケンが煩っていた心臓の病が、突如症状を表したのである。父の発作、だがそれはラオウにとってはただのチャンスに過ぎなかった。全身から血を噴きながら起き上がってきたラオウは、病で苦しむ父に向け、その非情の拳を振り下ろしたのだった。

 父の本当の死因を知り、ラオウへの怒りを更に増幅させるケン。トキの登場によって黒王を降りたラオウに向かい、再び挑もうとするケンであったが、トキの手はそれを制した。見ることもまた戦い。私の戦法がいずれ役に立つときが来る。その言葉から、ケンはトキが死をもって己の拳を伝えようとしていることを悟った。そして次の瞬間、トキの手がケン左胸を捕らえた。トキは、秘孔 新壇中を突いてケンの動きを封じ、己の死を賭けた戦いをケンの目に焼き付けようと考えたのである。静と動の戦い・・・秘孔縛で動けないケンシロウの目の前で、もう一つの北斗の宿命の戦いが、幕をあげた。

 ケンとトキの拳の違いは。バット達の目にも明らかであった。対峙する二人。しかし先ほどのような空気の乱れは全くといっていいほど起きてはいなかった。トキの静水の動きは、ラオウが放つ激流の闘気を完全に受け流し、飲み込んでいたのである。詰めるラオウ。引くトキ。受けの拳であるトキが初めて前に出たのは、ラオウの先制攻撃が放たれた時であった。ラオウの拳に空を切らせ、一気に間合いを詰めたトキは、その首筋に鋭い突きを一閃。寸前でガードされたものの、そのトキの強さは早くもラオウを恐れさせていた。だが、更に攻めに転じようとしたトキを空高く放り投げたラオウは、黒王の鞍に隠していた剣を手に取り、自らも宙へと飛んだ。劣勢を感じたラオウは、己の有利な状況に持っていくために戦法を変えたのだ。空中で交錯する二人。その衝撃でバランスをくずしたトキを追うかのように着地したラオウは、即座にトキの足を踏みつけ、そのまま己の足ごと剣で貫いた。ラオウは、病のトキと持久戦にもちこむため、トキの動きを封じたのである。達人同士の戦いはにらみ合うだけでも体力を消費する。更に流れ出る血は、病のトキの体力をどんどん奪っていく。お前が見た死兆星の使者は、病ではなく俺だ。勝利を確信し、高笑いをあげるラオウ。トキを救える唯一の男・ケンシロウは、その模様を歯がゆい思いで見つめていた。リンの涙ながらの声を受けても、トキの秘孔縛は一寸たりともケンシロウを動かせてはくれなかった・・・

放映日:85年10月24日


[漫画版との違い]
・烈闘破鋼棍の男が、己の勢いを利用されて壁まで飛ばされるシーン追加
・烈闘破鋼棍が烈斗破鋼棍に変更


・色
二人の足に突き刺した剣。その剣の色が、黒王から取り出したときは、刺した時にに変わっています。いや、いいんです。こんなのは良くあることですから。ただねぇ、次の49話でも金とか銀とかコロコロかわってるってのはどうよ(48の動画を使いまわしているのではなくて、新たな絵で)


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