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[第56話]
美しき拳士レイVSユダ!
男の花道に涙はいらぬ!!


 ダム破壊という策略によってレイの動きを封じたユダは、水面に衝撃波を走らせる技・南斗紅鶴拳奥義 伝衝裂波にて攻撃を開始した。動くことすらままならないレイは、ただガードすることしか出来ず、次々とユダの技に切り刻まれていく。このまま水量が増え続ければレイの戦況は悪くなるばかり。そう感じたケンは、レイの戦いを見守る一同の前から姿を消した。

 ダムの上で村の様子を一望するコマク。部下にもダムの上へと登ってくるよう声をかけるが、その部下達は驚愕の表情を浮かべていた。コマクの直ぐ背後にはケンシロウが迫っていたのである。ケンに首元を捕まれて放り投げられたコマクは、華麗な身のこなしで着地し、鉱支猫牙拳にて反撃開始。ネコの如き素早い動きでダムの上を飛び回り、ケンに攻撃を仕掛ける。しかし突如コマクの三半規管が狂い始めた。ケンはコマクを捕んだ時に既に秘孔を突き、体のバランスを失わせていたのだ。立つ事すら出来なくなったコマクは、そのままダムの下へと落下し、爆死。続いてケンはダムの下へと降りたかと思うと、襲い掛かろうとしているユダの部下達を無視し、突如側の崖に手を突き入れた。そしてそのまま力任せに崖の一部を切り取ったかと思うと、自らの数百倍はあろうかというその大岩を抱き上げてしまったのだ。ユダの部下達を巻き添えにしながら豪快に放り投げられたその大岩は、見事にダムの穴を塞ぎ、水の流れを塞き止めたのであった。

 止め処なく繰り出されるユダの攻撃の前に、為す術なく切り刻まれるレイ。あと一歩近づいた時が最後となるだろう。そう予告し、ユダがその歩を踏み出そうとしたまさにその時、いままで激しく波打っていたはずの水の流れが止んだ。ケンがダムの穴を塞いだ事によって、浸水が止まったのだ。その事に気付かぬまま、ユダは止めとばかりに奥義 血粧死を発動。だがその拳がレイを捕らえる事は無かった。レイは、静かな水面に手をつくことで水から体を抜く事に成功し、再びその身を宙へと羽ばたかせたのである。華麗に舞うレイの姿を見たユダの動きが一瞬止まる。その隙をレイは見逃さなかった。そして、レイがユダの体に南斗水鳥拳奥義 飛翔白麗を炸裂させた瞬間、遂に宿命の戦いは決着したのだった。

 ユダは昔のあの時と同じく、レイの動きに目を奪われてしまった。本当に美しいと認めた者の前では無力になる、それがユダの弱さであった。自らの敗北を認めたユダは、己に突き刺さったレイの腕を引き抜き、再度自分の胸へと突き入れ、自ら止めを刺した。そして己がこの世でタダ1人認めた男の胸の中で、ユダはその命を絶ったのであった。

 将の敗北を見て、ユダの部下達は一斉に退散し始めた。また1人、孤独な戦士となったユダを弔ったレイは、愛するマミヤの元へと歩み寄ろうとする。だがその笑顔は無残にも弾け飛んだ。既にレイの肉体は、限界を迎えていたのだった。今すぐにでも抱きしめたい筈のマミヤに背を向け、その場を去ろうとするレイ。マミヤはその背を追いかけようするが、レイ自身がそれを制した。マミヤにだけは己が惨めに弾け飛ぶ様を見せたくはなかった。激しく右肩が弾け、血に染まった肩当が宙を舞う。幸せにな。それがレイの、マミヤへの最後の言葉だった。

 時代は北斗神拳、そしてケンシロウを必要としている。涙を笑顔を変えるために生き続けろ。それが、死に行くレイがケンに命じた、救世主としての生き様であった。全員に別れを済ませ、死に場所として選んだ小屋の中へと歩み寄るレイ。リンの泣き叫ぶ声を背に1人小屋へと入ったレイは、静かにその扉を閉めた。そしてマミヤは、レイが残した血染めの肩当を抱きながら、己の為に生きてくれた男の最後に号泣するのだった。

放映日:85年12月19日


[漫画版との違い]
・ユダが血粧嘴を出す寸前に、水の流れが静かになるというシーン追加
・コマクが鉱支描牙拳をつかって戦ったり、バランスを失う秘孔を突かれたりするシーン追加
・原作のコマクは水に毒を流そうとし、それをケンに飲まされて死ぬが、アニメでは毒は使わず、ケンと戦って死んだ


・前話までのあらすじ
を冒頭で紹介している時、前話のユダが「所詮義の星は屑星(略」とか言いながらマントを脱いでいるシーンの背景が、なぜか町の外からマミヤの町の全景を望むシーンになっててちょっと変。まあどうでもいいけど。
・血粧嘴
アニメでもどんな技かサッパリわからなんだ・・・
・できれば
今回は全話通した中でもかなり泣ける回でしょう。塩沢氏が亡くなった日もこの回見て泣きました。
でも正直いって、
この回でレイ死んでいてくれたほうがもっと泣けた。次話でレイの総集編を流してからでないと死なせてくれないんだもの。しかも次回は回想しながら部屋の中でブシューブシュー血を吹いてもなかなか死なないから、なんか悲壮。はやく死なせてあげて・・・


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