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[第69話]
北斗最強の時代!
遂に動きだした宿命の3兄弟!!


 朽ち果てた木々の奥に眠る一本の巨木。その下で座禅を組むのは、コウリュウという名の老人であった。コウリュウが危惧するのは、あまりにも巨大な力、ラオウという名の巨星。その動きを把握せん為、コウリュウは自に仕える忍・ゼンギョウに、ラオウ監視の命令を出した。南斗乱れるとき、北斗現れり。北斗の運命が、また乱を呼ぶ・・・

 硫黄の煙が立ち昇る人里離れた場所。そこにある洞窟の前には、黒王号がいた。ラオウは、自らの傷を癒さんが為、洞穴の中で高温の温泉を右肩に浴びせていたのだ。マミヤの村でケンシロウに受けた不覚の傷。天を握るに不可欠なその傷の回復は、未だ完全には癒えなかった。拳王復活の時をただ待ち続けなければならない現状に、歯痒さを覚えるラオウだが・・・

 謎の高熱にうなされる少女、ユリ。彼女の容態を見守る母親と村人達の元へ、吉報が届いた。かつて一つの村を救った奇跡の男・トキが、その家へと訪れることになったのである。早速その治療法を調べんと、ユリの体に触れるトキ。その優しき兄の背を見るケンの顔には哀しみが漂っていた。技のキレ、流れ、速さ。どれをとっても非の打ち所のないトキこそが、北斗神拳伝承者になるべき筈だった。その運命を狂わせた核戦争の日。自らとユリアを救うため、トキが死の灰を浴びたあの日のことをケンは思い出していた。だが、トキには悔いなど無かった。トキが目指すのは、あくまで北斗神拳を使っての医療・・・現代医学で治せぬ病に苦しむ人々を救う事。そのためになら、北斗神拳伝承者という肩書きなどトキには必要なかったのだった。絶望の中、旅に出たトキが出会った村、奇跡の村。病人達が捨てられていくだけのその死んだ村を、トキは生き返らせた。村はアミバの手によって再び死に絶えたが、その村との出会いが、トキに再び自らの生きる道を示してくれたのだった。

 その後わざと拳王軍に捕まり、カサンドラにてケンシロウを待ち続けたトキ。ケンと再会したトキは、その時はまだ、残り少ない命を人々の命を救うために費やしたいと考えていた。しかし、ケンの戦いを見続けるうち、トキの中にもある変化が起こっていた。血が燃える・・・。かつて拳法家を目指した男の本能が、再びトキを戦場へと駆り立てようとしていた。

 食糧を運んでいたトラックを襲撃し、奪った食糧をむさぼる野盗達。そんな彼等の前に姿を現したのは、巨大な馬に跨った巨大な男、世紀末覇者拳王であった。相手はたかが一人。その拳王の容姿に内心恐れながら、食糧を差し出すよう脅しに入る野盗。無ければその馬でもいい。それも嫌ならお前を食う。身の程を知らぬ台詞をはき続けるその男たちを、拳王は殺す価値も無いと判断した。闘気だけで野盗達を黙らせ、その場を去る拳王。その一連のやり取りは、ゼンギョウによって全てを目撃されていた。

 コウリュウの元に帰って来たゼンギョウは、拳王の復活が近いこと、そしてその行く先が此処であることを告げた。拳を捨てなかったラオウ。かつてリュウケンに北斗神拳の用途を問われた時、その目的を覇天と答えた時から、ラオウの野望は始まっていた。神をも倒し、権力の座に座らんとする野望。その野望故、伝承者争いに敗れた無念。コウリュウは、そのラオウの気持ちをよく理解していた。コウリュウもまた、かつてリュウケンと共に北斗神拳伝承者の座をかけて争った男だったのだ。

 北斗神拳伝承者の座をかけぶつかり合う、若き日のリュウケンとコウリュウ。二人の拳はほぼ互角だった。しかし、相打ち覚悟で相手を倒したとしても、相手は同じ兄弟弟子同士。共に拳を競い合ってきた兄弟と、何故こんな過酷な戦いをしなければならないのか。伝承者を巡る戦いに、二人は意味を見出すことが出来なかった。その葛藤の果てにコウリュウが出した答え。それは、自らが身を引き、リュウケンに伝承者の座を譲ることだった。

 ラオウの無念はよく解る。だからこそラオウの拳は、自らが封じねばならない。それが、かつて北斗神拳伝承者を目指した男の宿命。伝承者争いに敗れ、一度は捨てた拳を、コウリュウは今再び蘇らさんとしていた。

 既に南斗六星のうち、五星はこの地に散った。いずれ訪れる残る一星との闘いも、また北斗神拳伝承者としての宿命。そしてトキにもまた、宿命の時は近付いていた。生涯の敵、ラオウ。トキには、自らの拳でラオウを倒さねばならないある理由があった・・・
放映日:86年3月27日


[漫画版との違い]
トキがラオウと戦う決意を固める以外はほぼアニメオリジナル
・ゼンギョウが普通の人から忍者みたいな男に変更

総集編詳細
総集編である今回流されたシーン

・マミヤの村でのケンシロウとラオウの闘い
・トキが核シェルターの外で死の灰を浴びるまでのシーン
・核戦争前、北斗神拳を医療に使いたいとケンに話すシーン
・トキが奇跡の村を救うシーン
・トキがカサンドラで拳王親衛隊を倒すシーン
・北斗神拳の使い道をリュウケンに聞かれたラオウが、天と答えるシーン


・こいつらをおぼえとけ!
愚かにも拳王様から食糧を巻き上げようとした馬鹿野盗達。とてつもなく派手なのでまあ結構印象に残るほうなんですが、彼らのことはしっかりと覚えておいていただきたい。なんとこいつらは76話で再び出てくるのだ。しかも村ひとつを支配する野盗達として!こういう所に気がついてくればあなたもアニメ北斗通の仲間入りです。
・コウリュウ版のあたたたは
「はととととととととととと」


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