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[第114話]
また一つ暗殺拳!
その名は元斗皇拳!!


 中央帝都の地下にある発電作業場に、更なる光を求めるジャコウの放送が入る。ジャコウを怯えさせているもの、それは快進撃を続ける北斗の軍と、それを率いるケンシロウであった。ゲイラの郡都を含む西の郡都をほぼ陥落させた北斗の軍の勢いは、もはや無視できないほどにまで成長していたのだ。ケンシロウをなんとかしなくてはならない。そのためにジャコウは、誘導作戦にてケンを討つ事を決めた。その作戦の場所として選ばれたのは・・・

 かつての女戦士・マミヤは、自らの村にある墓地へと訪れていた。ケン達が光を取り戻したこの世を、再び闇が覆おうとしている。その戦いの炎がこの村にまで届かぬよう、マミヤはレイの墓に祈りを捧げていたのである。その時、レイの妹・アイリがマミヤの元へと駆け寄ってきた。マミヤの横で同じくレイに祈りを捧げたアイリは、喜びのニュースを報告。なんともうすぐケン、そしてリンやバットがこの村にやってくるというのである。バットとリンは今、北斗の軍の戦士として戦っている・・・。その事を聞いたマミヤは、レイの戦う勇気が二人に受け継がれていることを知り、心の底から喜ぶのだった。2人は早速その知らせを持って、長老の元へと赴くが・・・

 長老は、村の外れの洞穴の中でノミを叩いていた。ラオウ、トキ、そして南斗六聖拳の男達・・・世紀末の世を闘った英雄達の歴史を後世に残すため、その男達の顔を岩壁に彫り込んでいたのである。しかしそのモニュメントは、突如訪れた紫色の光を放つ男によって破壊されてしまった。男の名は紫光のソリア。彼は、天帝により、北斗南斗に組みする者を抹殺するため送られた、天帝直属の拳、元斗皇拳の戦士であった。更にソリアは、この南斗にゆかりのある村の長という理由で、長老の処刑も決定。駆けつけたアイリとマミヤが見たものは、眩い光と共にその命を奪われた長老の姿であった。天帝の、そして元斗皇拳の時代の到来を、ソリアは高らかに宣言するのだった。

 同士が待機する西の最後の郡都へ向け、歩を進ませる北斗の軍。郡都を落とした後に訪れる予定になっているマミヤの村を遠くに見やり、心躍らせるリンであったが、ケンはその村の異変に気が付いた。民家を焼く黒煙が、村のいたるところからから巻き上がっていたのである。しかし、バットには村を助けに行く事はできなかった。救援に向かえば、軍の仲間達は本隊の到着を待たずに郡都へと特攻し、皆殺しにされてしまうからである。バットの苦悩を察したケンは、一時的に軍から離れ、単身村へと駆けつけることを決断した。黒王号にて豪快に崖を駆け下り、村へと疾走するケン。その模様を遠くから見つめていたアインもまた、ケンの実力を見んがため、村へと向かう・・・

 天帝部隊の攻撃に、なす術なく攻め落とされてゆくマミヤの村。だがマミヤには、レイの眠る地を捨てて逃げることは出来なかった。レイの墓石の下に隠していた娥媚刺とヨーヨーの封印を解き、再びその手に武器をとろうとするマミヤ。しかし、マミヤに襲い掛かろうとしていた帝都兵の攻撃は、寸前で止められた。過去何度もこの村を救ってきた男、ケンが再び村へと帰ってきたのである。直ぐに村を去れと忠告するケンであったが、帝都兵達の顔には、笑みが浮かんでいた。ケンシロウがこの村にやってくることは、すべて彼等の作戦通りだったのである。現場へと訪れたソリアは、ケンシロウを誘き寄せるため、ケンにゆかりのあるこの村を襲ったことを告白。くだらない理由のために村一つを壊滅させた彼等のやり方に、ケンの怒りは頂点に達した。

 元斗皇拳。それは闘気を巧みに操り、相手の細胞を滅殺するというかつてない拳法であった。闘気の刃を作り出す元斗流輪光斬で先手を取ったソリアは、次々と闘気の弾をケンへと発射。今までにないその拳の威力に、ケンはたまらずに吹っ飛ばされてしまう。自らの闘気でケンを焼き尽くさんと、ソリアは更なる攻撃を開始するが・・・

 無事に郡都を落としたバットの元に、地下の特別房にまだ囚人がいるとの報が入った。日の当たらぬその地下の牢獄にて、体をコンクリート詰めにされ、落ちてくる水滴を頭に受けるという拷問を受けていたその2人は、前科750犯とも言われる凶悪犯、ハズとギルのハーン兄弟であった。助けるべきか否か、助けるにしてもどうやってコンクリートを破壊するのか、バットは思案に暮れる。結局バットの出した答は、何かに役立つかも知れないから連れていく、というものであった。再び行進を開始した北斗の軍の最後尾には、コンクリートに詰められたままトラックに引かれ、喚き散らすハーン兄弟の姿があった。

 ソリア、そして元斗皇拳の強さを認めた上で、ケンはソリアに死を与える事を宣告。ケンの言葉を一笑に付すソリアであったが、ケンの強さは彼の予想を大きく越えていた。拳のぶつかりあいで放った元斗皇拳破の輪を正面からうち破られ、左腕は崩壊。残った右手で尚も攻撃を続けるが、最後の全力の拳もかわされ、首元に秘孔を突かれた時点で勝負はついた。激しい連撃を浴びせられ、吹っ飛ぶソリア。元斗は必ず北斗を抹殺する、そう言い残し、ソリアの体は肉片と化して宙に消えた。無関係な者を巻き込んでまで、あくまでも北斗を滅殺しようとする天帝。悪は倒す・・・例えそれが天帝であっても、ケンの思いは変わらなかった。

 紫の光・ソリアが倒れたとの知らせは、すぐに中央帝都へ入れられた。ソリアの受けた天帝の勅命、北斗抹殺を遂行せんがため、残る赤、青、緑、そして金の光の戦士達が動きだす・・・
放映日:87年4月9日


[漫画版との違い]
ケンがマミヤの村訪問、ハーン兄弟救出、ケンvsソリアといった原作のイベントがあるものの、その目的、場所、時期などが原作と大きく異なる。

>マミヤの村訪問

・原作ではA級反逆者収容所を襲った後だが、アニメではゲイラ郡都を落とした後(マミヤの村に天帝軍が攻めてきた時)
・ケンが訪れた理由が、アスカを預ける為から、行軍中に黒煙が見えたからに変更。
・天帝軍が攻めてきた理由が、北斗南斗を語り継ぐのを阻止するためから、ケンにゆかりのある村を襲っておびき出すために変更。またそのため、原作では長老を殺しただけで帰ったようだが、アニメではケンをおびき出すために天帝軍が暴れる。
・長老を殺したのが、ファルコからソリアに変更。
・原作では長老の墓にマミヤ等が祈っているが、アニメではこの世の平和を願ってレイの墓に祈っている。

>ハーン兄弟救出
・原作ではA級反逆者収容所の地下に捕らわれていたが、アニメでは西の最後の郡都に変更。
・助け出したのがケン+アインから、バット+北斗の軍の男に変更。
・故に、アインが二人の事を語るシーン、斧で切りつけてきた男を吐かせるシーン、助け出された二人がケンにファルコの事を語るシーンなどは削除。
・原作ではケンが手刀でコンクリートを壊したが、アニメではコンクリを破壊しないまま車で引きずっていく。

>ケンvsソリア

・原作ではバット達のもとへ向かう道中に闘うが、アニメではマミヤの村で闘う。
・ケンから最初のダウンを奪うのが、ケンの蹴りをガードした後の一撃から、闘気連打を浴びせてに変更。
・ファルコの事には一切触れず。片目を奪われたエピソードや、その命をファルコに捧げたという場面もなし。
・破の輪で潰されるのが右手から左手に。また、原作では二つに裂かれるが、アニメでは根元から無くなる。
・故に、連打を食らう前にケンに掴まれる腕が左から右に変更。


・タイムライン崩壊
今回から帝都編は、原作と比べてえらくイベントの順番がかわります。それはまあいいんですが、一体なんのためにそんな事をしたのかがイマイチわからんのですよなあ・・・。女戦士マミヤ復活!みたいなのを少し描きたかったとかいうのならわかるんですよ。それならこのタイミングでマミヤの村に行ったのもうなずけるし、私も見たい。でも、武器手にとってオロオロしただけだったしなあ。まあヨーヨーと娥媚刺が出てきただけで若干テンションあがったけど。
・伝導体
ネズミ顔の帝都兵、鉄球をふりまわしてマミヤねらう → ケン、鉄球掴む → かえせといわれてかえす → キャッチしようとしたら腕が破裂。
・・・何がおこったっすか?クサリを通してケンが気を送ったんすか?その気で経絡の操作を?それとも天破活殺っすか?
・水滴
18650767回目をバズが数えてから、18650769回を数えるまでが50秒。つまり1滴垂れるのに25秒ということになる。その日の湿気等によって間隔が変化することもあろうが、これを平均として換算すれば、彼等がどれくらい長くこの拷問を受けていたのか、導き出すことが出来る。

25秒×18650767回466269175秒
466269175秒
7771152分55秒
129519時間12分55秒5396日15時間12分55秒
14年と282日15時間12分55秒


うそだろ!?


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