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[第117話]
アイン危うし! 
愛する女に魔の手が伸びた!!


 西の砂漠に残る最後の郡都の隊長、ベロン。その男に呼ばれて郡都へと現れたのは、アインであった。ベロンは早速アインの女のためにと毛皮のコートをプレゼント。これまでにもアインに無償で数多くの物を与えてきたベロン。今回は今までの恩も含めて、アインにある死後をしてもらうのがベロンの狙いだった。アインだけでなく、賞金稼ぎ達に物や食料を与える事によって味方につけ、ときにはその力を利用するというのがベロンのやり方だったのである。そして今回アインが指名されたのは、ベロンが結成した賞金稼ぎ達の軍団のリーダーとなることであった。アイン率いるその軍団で、ケンシロウを倒そうと考えたのである。だが、アインはその申し出をあっさりと断った。徒党を組んで戦うというやり方が、アインの趣味に合わなかったのである。そしてなによりベロンのような男の下で働くような事が、己の女の望む生き方でないとアインは考えていたのだった。しかしコートだけはきっちりと持ち帰るというそのアインの身勝手な行動に、ベロンは苛つきを感じていた。

 夜、バットの姿が見えないことに不安を感じたリンは、ケンにそのことを報告。だがケンは、そんな心配など不要である事は、リン自身が一番わかっているはずだと笑って応えるのだった。

 再びケンシロウを発見したアインは、彼等を見渡せる崖の上で野宿をすることを決める。だが逆にそのアインを見つけ、姿を現したのは、北斗軍のリーダー・バットであった。バットが賞金首であり、ケンの仲間であることを知ったアインは、その拳でバットを仕留めようとする。バットの華麗な動きと身軽な跳躍の前に、拳は空を切ったが、その威力は岩をも軽々と砕くほどの威力を持っていた。アインの力を認めると同時に、その拳が賞金稼ぎというくだらない事に使用されていることを惜しむバットは、己の後についてくるようアインに指示。バットが思いついた、アインの力を活かす方法とは・・・

 アインが連れてこられたのは、あのベロンの郡都であった。バットは、今から行おうとしていた郡都襲撃にアインの拳を使わせようと考えたのである。嫌がるアインと共に高いハシゴに乗ったバットは、見張りを倒し、一気に城壁の上まで侵入。しかし見張りが死ぬ前に叫んだ敵襲の叫びによって、2人は直ぐに帝都兵達によって取り囲まれてしまった。もはや後戻りの聞かなくなったアインは、腹を決め、兵達に攻撃を開始。そしてバットもまたその華麗な体術で兵達をなぎ倒していく。だが、アインにはバット達の行動が理解できなかった。この郡都を落としてもまた次の郡都の部隊が駆けつけ、いずれは中央の兵も動く。キリのない戦いを続ける事に、アインは意味を見出せなかったのだ。だが、バットにはもはや恐れるものなどなかった。それは、誰よりも心強いあの男がついていてくれること、そして自らが愛する女のため戦うという意思が、バットの背を押してくれているからであった。

 2人に続かんと城壁を登ってきた北斗の軍達の手によって、ベロンの郡都は夜明けを待たずして陥落。何者かの手によって郡都が落とされたとの報を受けたケンは、すぐにそれがバットの仕業であることを悟ったのだった。バットの目指すもの、それは自分の愛する女のために新しい歴史を作るということ。いずれ死ぬその時まで、この腐った時代を少しでも変えてやる。その強い意志を持ったバットの言葉を聞いたアインは、賞金稼ぎを生業をとする自分の何かが変わろうとしているのを感じていた。

 砂漠に佇むベロンは、自らの郡都が炎上する様を呆然と眺めていた。今まで数多くの物を与え、面倒を見てきたアインに裏切られたという事実にベロンは激怒。その報復としてベロンは、アイン本人ではなく、アインの溺愛する女を襲うよう指示を出した。

 ベロンの指示を受け、アインのアジトへとやってきた賞金稼ぎ達。立ちはだかったアインの使用人・ジョセフを殴り飛ばし、アインの女・アスカを捕らえようとする。だがその男達が見たものは、己達の想像していたものとは全くかけ離れたアスカの姿であった。かつてアインの仲間であったレンですら知らなかったそのアスカの秘密とは・・・

 戦いから一夜明けた朝、バットはアインに野営地で手当を受けないかと声をかけた。ケンはアインに止めをささなかった。つまりそれはアインが悪い男ではないという事の証明だと、バットは知っていたのである。ぶっきらぼうにその誘いを断り帰ろうとするアインであったが、そのとき、突如傷だらけのジョセフが一同の元へと現れた。アスカがベロンの回し者によって連れ去られたと聞いたアインは、激しい怒りと共に彼等の待つ砂漠の野営地へと急ぐ・・・

 ベロンの待つ砂漠の野営地にアスカを連れた賞金稼ぎ達が到着。アスカの男のようなシルエットに驚くベロンであったが、その正体を見た途端、ベロンは全てを理解した。アスカとは、そのシルエットの主であるレンの片腕に乗るほどの、小さな少女だったのである。

 かつて勇敢な戦士として戦っていたアインは、大きな傷を負い、追われる身となったことがあった。その時、アインに一杯の水と温かい寝床を与えた女、それがアスカの母親だったのである。彼女の看護により日増しにアインの傷は癒えていったが、ある日その女はアインの目の前で刺殺された。アインを追ってやってきた悪党達が、無防備に立っていた彼女に理由もなく剣を突き立てたのだ。母の死を察して泣き続けるアスカを抱えながら、アインは怒りを乗せた拳で悪党達を撲殺。こうしてアインは、アスカの父親として生きることとなったのであった。

 いつかアスカを飛行船に乗せ、戦争のない南の楽園へ連れていく。それが生まれ変わった賞金稼ぎ・アインとしての夢であった。そんなアインに惹かれ、アスカの面倒を見ながら一緒に旅を続けてきたジョセフ。彼が2人を思うあまりに流した涙は、ケンの心を動かした。

 万全の体勢でアインを待ち構えていたはずのベロンであったが、それはアインの奇襲によってあっさりと崩された。ベロンの護衛についていた賞金稼ぎ2人を殴り倒したアインは、ベロンを捕獲。首を締め上げアスカの返還を要求する。だが、逆にそのアスカにナイフを押し当て、ベロンの解放を要求してきたのは、アインと同じ賞金稼ぎの仲間であるレンであった。中央を敵に回したアインは、すでに彼等賞金稼ぎに命を狙われる賞金首へと変わっていたのである。解放されたベロンは、レンに渡された鉄棍棒にて復讐を開始。アスカという人質によって手を出すことが出来ず、ただ殴られ続けるアイン。あまりなそのやり方にキレたアインは棍棒を受け止め、ベロンに怒りの目を向ける。しかしアスカという人質が居る限り自分は大丈夫だ、そう思ってレンへと目をやったベロンは、驚きと恐怖に包まれた。アスカを抱えるレンの背後には、すでにあのケンシロウの姿があったのである。ケンは、アスカに突きつけていたナイフをレンの額に押しあて、助かりたいかと問う。しかし、どう答えようともケンが非道なその男を許すはずはなかった。深々と頭にナイフと突き入れられ絶命したレンの手から、アスカはケンの腕の中へと助け出されたのであった。後ろ盾がなにも無くなってしまったベロンは、アインに言われるがままに棍棒を譲渡。アインの怒りを乗せた渾身の一振りは、ベロンの頭蓋骨を粉砕した。

 アスカを再びその手に取り戻したアインは、何故自分を助けたのかとケンに問う。愛する女のために戦う気持ち、その気持ちを忘れぬなとだけ告げ、ケンは再び仲間達の元へと帰っていった

 去りゆくケンを見送ったアインは、飛行船での旅が延期になったことをアスカに告げた。自分の好きな女のために歴史を作る、そう心に決めたアインは、賞金稼ぎではなく、かつての勇敢な戦士へと戻っていた。

放映日:87年5月14日


[漫画版との違い]
・ベロンの立場が、A級反逆者収容所所長から、バットとアインで落とした郡都の長に変更。
・原作では「最後の郡都」だが、アニメでは「西の砂漠最後の郡都」に変更
・原作では郡都を落とした後、バットを探しにリンが郡都まで来るが、アニメでは来ず。
・原作でアスカを拐おうとした賞金首が、ベロンに雇われた賞金稼ぎに変更。原作では失敗するが、アニメでは成功する。
・アスカが捕われた理由が、レンの裏切りから、アインに復讐するためにベロンがレンに拉致させたに変更
・アスカが人質とされた場所が、A級反逆者収容所から、砂漠の野営地に変更
・アスカを守っていた者達が、アインの仲間の若い男達から、ジョセフ一人に変更
・原作ではレンも棍棒を借りてアインを殴るが、アニメではベロンだけ。
・ケンがアインを救った理由が、死ぬには惜しいと思ったというものから、愛する者のために闘う気持ちを教えるために変更。


・元気だな
原作は
全ての郡都と市都陥落  ファルコによって北斗の軍半壊 → 中央帝都へ

という流れになるのだが、アニメでは
ファルコによって北斗の軍半壊  ベロンの郡都おとされる  中央帝都へ
となる。
うーん、なんとなく気持ち悪いなあ。全ての郡都市都が落ちたから元斗が出てきたってのがいいんだけどなあ。北斗の軍がファルコにメタメタにやられたあとに、何事も無かったかのようにまた郡都落としを再開してるってのは、なんかなあ・・・。そりゃファルコも責任問われるわって思う。
・緑の地
アインが飛行船で行こうとしている場所の事。遥か南の地にあるらしく、飛行船でもないといけないような場所らしい。
本当にそんな場所あるのか?
オーストラリア辺りか?
・これは



レンに連れ去られた際にアスカが抱いているこれは








このときアインが持ってる飛行船の完成図・・・なのか?


なんか説明あったほうがいいと思うのだが・・・


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