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[第150話]
最終章 残り3回!
これが北斗宗家2000年の血の歴史!!


 魔闘気で足元を切り崩され、地下の空洞へと落とされたケンシロウ。そこで彼を待っていたのは、辺り一面に噴き出した毒ガス、硫摩黄煙であった。呼吸困難と全身の麻痺が、ケンの動きを鈍らせる。対照的に、カイオウの身体には何の変化も無かった。カイオウは無呼吸状態で闘うことのできる奥義を持っていたのである。しかし、ケンの受難はこれだけではなかった。ケンの動きを妨げていたもの、それはこの洞窟に生えた幾本もの石柱であった。ケンの移動を封じるかのように生えたそれは、まるでケンの動きを呼んでいるかの如くであった。しかし、それは偶然ではなかった。拳を極めた北斗神拳継承者がとるという、北斗七星の動き。この石柱の並びは、正にその北斗七星の形だったのである。打倒北斗宗家の陣、北斗逆死葬。それは北斗宗家への憎しみが生み出した、カイオウの一族に伝えられる秘奥技であった。そしてカイオウが死を宣告してきたその場所は、死兆星と呼ばれる星の位置する場所であった。

 眠れるリンを取り囲み、その目覚めを待つサモト達。だがその時、一同の元に更なる吉報が飛び込んできた。目の前のこの女は、目覚めたとき最初に見たものを愛する破孔、死環白を突かれた女だと言うのである。それを知ったサモトに、もはや目覚めを待っている余裕など無かった。目覚めの破孔に狙いを定め、指を振りかざすサモト。だが彼は気付かなかった。既にその場はただならぬ気配に包まれていた事に。そしてその気配に、部下達の身体が消し飛ばされていた事に。振り下ろされた指が貫いたのは、サモト自身の胸板であった。リンの危機を聞いて駆けつけたヒョウが、間一髪リンを救い出したのである。襲い掛かってきたサモトを一蹴したヒョウは、リンを起こさぬよう注意しつつ、再びケンシロウ達のもとへと急ぐ・・・

 全身麻痺で立つ事すら出来ないケンに、カイオウは短剣を投げ渡し、自決を求めた。ケンシロウはカイオウに怯え、自ら命を絶った弱者。そう後世に伝える事で、北斗宗家の歴史を踏みにじろうと考えたのである。だが当然ケンがそんな言葉を飲むはずはなかった。そしてケンは、この状況を打破する秘策を既に用意していた。止めを刺さんと歩み寄ってきたカイオウに向かい、ケンは密かに「何か」を飛ばした。それは、勝利を確信していたカイオウの笑顔を一瞬にして苦悶に歪ませた。この酸欠地獄内での活動を可能にしていた無呼吸闘法が破られたのである。指先では突けないという、無呼吸闘法を破るための破孔。ケンはそこに自らの髪の毛を射つ事で、刺突を可能としたのである。慌てて地上へと脱出したカイオウに続き、ケンもまた地上へ。秘孔安騫孔で毒気を消し去り、反撃へと転じようとするケンシロウであったが・・・

 カイオウが新たに繰り出してきた拳。それは、生まれ持った時よりカイオウに備わっていたという不敗の拳であった。しかしカイオウは知らなかった。それが北斗宗家のみに伝えられている拳であることを。それは、カイオウもまた北斗宗家の血を引きし男であることの証であった。ケンは言った。お前の額にある北斗七星の痣が何よりの証拠だと。女人像に隠されていた北斗宗家に纏わる哀しき悲話を、ケンは今語り始めた。

 およそ二千年前、世は狂乱の戦国時代と化していた。統一を図らんとする北斗宗家の守護僧達は、無敵の暗殺拳を生み出せる北斗宗家の男を切望していた。だが、天は彼らに試練を与えた。北斗宗家の血を引く姉妹、オウカとシュメが、同日に二人の男児を産み落としたのである。このままでは天は二つに割れる。そう考えた守護僧達は、二人を飢えた狼の前に晒し、天の声を聞くことを決めたのだった。

 その夜、妹シュメは姿を消した。息子シュケンへを助けにいったのである。だが彼女の逃亡劇は、高僧達の手によってすぐに終わりを迎えた。シュメを動かしたもの、それは彼女の身体に巣喰う病魔であった。彼女の命はもう長くは無かった。ならばせめて息子だけには生きて欲しい。その思いが、シュメを狂わせたのである。シュメの行為を重く見た高僧達は、オウカの息子リュウオウを伝承者と決定。しかし、それに異を唱えたのはオウカであった。シュメの我が子への愛の深さに、オウカは心打たれたのである。伝承者はシュメの息子シュケンに。そう言い残し、オウカは崖に身を投げたのだった。命を賭したそのオウカの願いを受け、高僧達は確信した。オウカとシュメ、二人の母の愛を背負いしシュケンこそが、真の伝承者となるであろう事を。


 北斗宗家の伝承者となったシュケンは、二人の母の愛を背負い、北斗神拳を完成させた。一方リュウオウは野に下り、北斗琉拳を作り上げた。しかし、母の愛を知らぬリュウオウの一族は、愛に彷徨う事となった。リュウオウと同じ北斗七星の痣は、カイオウが彼の子孫である事の証だったのである。愛を失った彼等に、拳を持ってして愛を説くこと。それが、北斗神拳伝承者としてケンに課せられた宿命なのであった。
放映日:88年2月4日


[漫画版との違い]
・原作で硫摩黄煙のことを話すのは北斗逆死葬を語った後だが、アニメでは落下してすぐ
・原作ではサモトがヌメリに殺され、そのヌメリがリンに目覚めの破孔を突こうとするが、アニメではヌメリは登場せず、そのままサモトが破孔を突こうとする。(サモトの容姿は原作のヌメリ)
・リンが死環白を突かれた女である事を、サモトが部下から伝えられるシーン追加
・サモトの部下を殺すのが、ヌメリからヒョウに変更
・ケンが右手の指で髪の毛を飛ばすシーン追加
・シュケンを継承者にしても、リュウオウを殺さないで欲しいとオウカが頼むシーン追加
・飛び降りる直前、オウカが自らの髪止めをはずすシーン追加
・アニメでは高僧達が涙を流さない
・リュウオウが野に下り、北斗琉拳を作ったというエピソード追加



・ヌモト
目の前で部下が消し飛んでるのに、「うるさい静かにしろ」って・・・
リンへの性欲で周り見えて無さすぎ!!
もはやおまえの目には俺しか映らぬって言ってるけど、むしろあんたのほうが映ってないだろう。
・オウカさま・・・
今回の名場面は、オウカ様の髪止めが外れるシーン。原作での突然の身投げは、なんかタミフル服用した人的な怖さがあるのに対し、アニメでのこの演出は鳥肌モノの荘厳さがあります。シュケンに譲った後に、リュウオウを殺さないで欲しいと頼む台詞も良い。原作のあれじゃ、我が子への愛はどうなってんという印象を受けてしまう。そりゃリュウオウも歪むわと思わせるほどの放置ぶりだったのが、若干緩和された気がします。あれ?それじゃ駄目じゃないか。
 北斗宗家の悲話はもともと16ページでおさまるような話ではない。それを無理矢理まとめているため、原作の展開では少し不自然に感じる部分があります。今回はそれを補完できた、アニメの良い部分がでた回と言えるかと。
・リュウオウにもっと光を
原作では名前だけで1コマも登場しなかったリュウオウ様。まあ厳密に言えば赤子としては登場してますが、成長したその御姿は拝見できませんでした。しかしアニメでは見事に登場!台詞こそなかったものの、その御姿は見事にあのラオウ、カイオウ兄弟にそっくりなシルエット。正式に北斗琉拳創始者という経歴ももらい、彼もまたアニメで花開いたと言ってもいいでしょう。しかし、個人的にはこれでも正直物足りない。シュケンが蒼天の拳でスポットを浴びたのなら、リュウオウだって劉家拳の創始者としてその話を描かれても良かったはず。愛を見失った北斗宗家の男。その強さも折り紙つきだし、是非ともいつかはこのリュウオウで外伝を作られることを祈っています。


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