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華山獄握爪
かざんごくあくそう



流派: 華山流
使用: バスク (対 ケンシロウ)
登場: 北斗の拳(139話)/アニメ版(112話)/
北斗の拳2/北斗の拳3/パンチマニア/
メガドライブ版/リバイブ



 相手へと飛び掛り、巨大な右掌で相手の肉体を把握してドリルのように回転するという華山流の技。その凄まじい握力と回転力は敵の肉体を捻じ切り、臓腑すらも引き出す。

 帝都の郡司令・バスクが、ケンシロウとの闘いで使用。鉄柱を掴んで捻り切る程の威力を見せたが、ケンシロウの肉体を掴んでも全く回転する事ができず、逆のその腕をとられて捻り壊された。





 バスクは、北斗の拳第二部とも言うべき帝都編の最初の敵。一部でいうジードのポジションにあたる。しかしその実力は段違い。天帝軍の中でも、元斗皇拳の拳士を除けばトップクラスの実力者であろう。
 そんな彼の強さの象徴とも言えるのが、この華山獄握爪である。なんせ素手で鉄をグッチャグチャにして毟り取るのだ。握力が強いとかいう次元を超えている。そんな超人的な技であるが故に、これを全く問題にしなかったケンシロウという男の異常さが改めて顕現されることとなった。救世主伝説の新たな開幕を飾るにふさわしい、見事な噛ませ奥義だったと言えるだろう。





 この技の見所は、やはりあのドリル回転であろう。きりもみ回転の攻撃は、ベガのサイコクラッシャー、仮面ライダーV3のきりもみキック、そして1200万パワーで光の矢と化したベアークロー等、あらゆる作品で強力な必殺技として扱われている。そんなフェイバリットな技が、一瞬でギャグ技へと貶められる瞬間がたまらない。その後の「あいぎゃげへえ」「ぶげぎぃ」「ぺぶしゃ」と面白断末魔ラッシュも合わせておいしくいただきたい。


 ただ、上に挙げたようなきりもみ技と、この華山獄握爪は全く違う。ド派手な回転に目をとられた者は「ドリルのように相手を切削する技」と思うかもしれないが、それは間違いである。「獄握爪」の名の如く、対象を「掴み」、その後の回転で「捻じ切る」という認識が正しい。何故なら、もし華山獄握爪がドリルのように掘削する技だとすれば、ケンシロウに対して「回転できなかった」というのはおかしいからだ。ケンの肉体が硬くて掘り進めなかったとしても、その場合は表面で空回りするはず。あそこでピタッと静止してしまったのは、技の第一段階である「肉体の把握」が出来ず、第二段階の「回転」へと移行できなかったからなのである。





●実は象形拳?

 手のひらで敵を掴む技と言えば、プロレスのアイアンクローが思い浮かぶ。そしてバスクのモデルが、プロレスラーのハルク・ホーガンである事を考えると、原先生がそこから着想を得た可能性は高いだろう。

 だが技の性質としてもっとこれに近いものがある。それはデスロールだ。





 デスロールとは、ワニが獲物を捕えた際、回転しながら敵を水中に引きずり込む所作である。1トンを超える咬合力で噛みつかれた敵は、決してその牙から逃れることは出来ず、300キロの肉体の回転は容易に獲物の肉体を捻り切るという。まさに華山獄握爪の特徴と完全に一致している。野生の本能が生み出した最強の殺傷技を、異常な体躯と身体能力を用いて完全再現した、究極の象形拳。それがこの技に与えられるべき正しい評価であると私は思う。

 そういえば、同じ華山流である華山群狼拳も、狼の集団をモチーフとした戦法であった。もしかすると華山流には動物由来の拳法が多いのかもしれない。




 尚、ゲーム作品の中では、スマホアプリ『北斗の拳 LEGENDS ReVIVE』での再現度が大変すばらしい。実際に決まっていればこれほど格好いい技なのかと感嘆するほどの出来である。必見。