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[第9話]
悪党ども!死ぬ前に 
祈りをすませろ!!


 夜。野宿をしていたケンシロウ一行のもとに、盗賊に追われる若い男女が通りかかった。割り込んできたケンが七つの傷の男であるとに気付いた野盗は、早々に退散。助けたお礼として、バットは男女に報酬を求めるが、彼らはそんな物など何一つ持っていなかった。彼等サムとミカは、とある事情により、村を飛び出した家出者だったのだ。二人が住む村の側にある湖。その所有者であるパトラは、湖の水を村に与える代わりに、村から貢物を摂取する悪党であった。しかし村が食べ物を貢げなくなると、今度は家畜や人を連れていくようになったのだという。そしてとうとうサムとミカも貢物として送られることが決まり、二人は村を逃げ出したというのだ。とその時、ミカ達を追って村人達が現れた。二人に逃げられては困る村人達は、嫌がるミカ達を無理矢理連れ戻そうとする。その強引なやりかたを止めようとするケンだったが、その村人の中にはミカの父やサムの兄も含まれていた。肉親を犠牲にしてでも村を守りたい。そんな村人達の非情の決断の前にしては、ケンも引くことしか出来なかった。

 翌朝、走行中のバギーの前に一人の子供が飛び出してきた。彼はミカの妹、ジローであった。姉を助けてくれる強者を探していたジローは、ケンを種モミ一袋で雇おうとしたのだ。危機迫るジローを車に乗せ、一行は例の村に到着。だが、既にサムとミカはパトラの住む竜神山へと連れて行かれた後であった。哀しみに暮れ、村を飛び出すジロー。このままでは悲劇は繰り返されるばかり。そう感じた村長は、パトラ討伐をケンに依頼するが・・・

 その日の晩、突然村長はパトラからの呼び出しを受けた。すでにパトラは、不穏な村の動きを察知していたのだ。凶暴な狼に脅され、無理矢理ケンの居場所まで案内させられてしまう村長。だが、パトラ部下達がケン達の眠る小屋に火を付けたその時、村長はその危機を伝えるため、ケン達のところへと走り出した。背を射抜かれて村長は死亡したが、その心の叫びはケンの耳にしっかりと届いていた。リンとバットを抱え、ケンは間一髪炎の中からの脱出に成功したのだった。

 数人のパトラの部下をあっさりと撃破したケンであったが、後を次いで現れたのは、南斗聖拳の流れを組むという南斗蝙蝠拳の使い手二人であった。超人的なその跳躍力とスピードに苦戦するケン。しかし、激しい空中戦の末、飛鳥空斬破によってケンは勝利を収めた。

 そのころジローは単身パトラの城へと潜入していた。鎖に繋がれた姉・ミカを発見したジローは、持ってきたヤスリで鎖を切断しようとする。しかし・・・

 ジローの行方を追い、ケンはパトラのもとへと潜入。竜神山の中腹の洞穴の中、そこにパトラはいた。そしてそこでケンが見たものは、ブラッディークロスの紋章であった。パトラもまたシンの配下の1人だったのである。幻術でケンシロウを惑わせたパトラは、その隙にケンの両腕を鉄鎖で捕らえる作戦を敢行。ケンの動きを封じ勝利を確信したパトラは、用意していた催しをケンに見せた。それは、狼と一緒に檻の中に入れられたジローの姿であった。残酷なパトラのやり方に、怒り爆発させるケン。鎖をにぎる男達を一気に手繰り寄せたケンは、秘孔 断虚中穴によって雑魚を瞬殺。続いて檻を力でこじ開け、狼ぶん殴り、ケンはジローの救出に成功したのだった。

 パトラが持っていた水晶を割った瞬間、洞穴内に眩い閃光が迸った。そしてその光にケンが目をくらませている隙に、パトラはまんまと逃走してしまった。隠し階段を見つけ、パトラの後を追うケン。だが、その先に広がっていた光景に、ケンは驚愕した。そこにあったものそれは、全ての水が忽然と消え去ってしまった湖の跡であった。
放映日:84年12月6日


[漫画版との違い]
・アニメオリジナルストーリー



・祝・初アニメオリジナル回
来ました、完全オリジナルストーリー。サムとかジローとか飛鳥空斬波とかいうネーミングセンスがいかにもオリジナルですね。それにしてもアニメオリジナルの話が前後編に分かれているのってこの回だけなのよねぇ。その甲斐あってしっかりした話になってます。多分。
・キャラ
キャラもいい味出てます。北斗唯一の不細工女と言っても良いパトラ(失礼)とか蝙蝠男とかのデザインも恰好良い。そのなかで全くと言っていいほど特徴のない顔と名前で、おまけに、前後編通して全く存在感がないサム何故か彼の声が塩沢兼人なのがなんとも。なんかもったいない。


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