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[第10話]
烈火逆流拳!
死すべき奴らが多すぎる!!


 湖が干上がったのはパトラの呪いだ、そう言って、恐怖と絶望に震える村人達。しかし、一度引き受けた以上、ケンもこんな所で引くわけにはいかなかった。全ての真相を究明すべく、ケンは竜神山の頂上へ・・・

 道中、ケンは湖底の割れ目にある仕掛けを発見した。やはり湖が消えたのは、人為的なものだったのである。そしてケンが更に上流へと登ったその時、突如干上がった川に、轟音をあげて水が流れてきた。間一髪かわしたケンであったが、その明らかに不自然な現象に、ケンは更に疑心を強めるのだった。

 枯れ木の森にさしかかったケンに、突如、何者かが襲い掛かってきた。言葉すら喋れぬその獣人は、手裏剣、鞭、手留弾、短剣、と多彩な攻撃でケンを攻撃。しかし、その獣の身体能力をもってしても、ケンシロウには何一つ通用しなかった。秘孔 竅星によって腕の動きを奪われた獣人は、結局ケンの案内役として使われてしまうことになったのであった。

 険しい崖道にまでやって来たケン。だがその時、突然案内役の獣人の体が炎上した。獣人はそのまま無残に崖下へと転落。ケンの目が一瞬だけとらえた犯人は、その体に青い炎を纏っていた。

 山の頂上には城がそびえていた。ケンは夜を待ち、城の中へと潜入。中は薄暗く、とても人のいるような雰囲気ではなかった。しかし、次の瞬間、ケンは激しく驚愕した。その城の一室に、ユリアの肖像画が飾られていたのである。それはKING様が描かれたもの。そう言って、突如一人の男が暗闇の中から現れた。彼はドラゴンと名乗るKING配下の一人であった。しかし、彼は戦おうとしないどころか、シンがサザンクロスなる場所へ向かったという情報を話し、果てはユリアを奪われた哀しみに同情するとまで言ってきた。

 美しき女達の踊る食堂で、ケンと共に食事を愉しむドラゴン。彼が持ち掛けてきたのは、お互いの協力であった。二人が力をあわせればこの世を支配することが出来る。自らシンを裏切ることを約束し、そうもちかけるドラゴン。しかし、当然ケンがそんな話に乗るわけが無かった。麓の村から摂取したものでこんなハーレムを作り上げたドラゴンに、ケンは怒りすら感じていたのだ。だがそれもドラゴンの計算のうちであった。炎と共に姿を消したとドラゴンは、ケンを殺すための仕掛けを発動させた。その仕掛けとは、部屋を密室と変え、さらに巨大な針を生やした天井を床へ下ろしていくというものだった。だがケンは慌てなかった。ドラゴンが逃げた隠し穴が必ずどこかにあると確信していたのだ。そして念入りに室内を調べた結果、なんとか間一髪、ケンは床の抜け穴を見つけ出したのであった。

 その頃、ドラゴンの城の外では、奴隷たちの競りが行われていた。その競りの進行を務めるのは、あのパトラであった。パトラは麓の村などから連れてきた男女などを、此処で奴隷として売りさばいていたのだ。そしてそこには、サムやミカの姿もあった。パトラの幻術で正気を失ったまま、競りの壇上へと立つミカ。装飾品で彩られたそのミカの美しきに興奮する購入者たち。恋人が今まさに奴隷として売られようとしている・・・そんな地獄のような光景に、サムは黙っていることは出来なかった。突如へと壇上へと駆け上がったサムは、ミカを連れて逃亡。しかし、ドラゴンの放ったナイフは、的確にそのサムの背中を捕らえた。重傷を負い、地に伏すサム。そのショックでミカは正気に戻ったものの、騒ぎを起こした彼らをドラゴンが許すはずは無かった。二人に弓を射るよう指示を出すドラゴン。だが、ドラゴンの兵士達が、その矢を放つことはなかった。駆けつけたケンにより、彼等は既に秘孔を突かれて、死んでいたのだった。

 ドラゴンの手下を一掃したケンは、ミカとサムに奴隷達の先導を任せ、城から脱出させることに成功。競りをぶち壊されて激怒するドラゴンとパトラは、二人のコンビ技、南斗竜神拳にて襲い掛かってきた。ドラゴンの発火能力と、パトラの幻術。幻覚と現実の入り乱れる炎の攻撃に、苦戦を強いられるケン。しかし、それを破ったのは、ケンの心の目であった。目を閉じ、心眼で相手の気配を感じ取ったケンは、パトラの剣を交わすことに成功。逆に両目にネックレスの球を埋め込まれたパトラは、視界を失い、炎に焼かれて谷底へと落ちたのだった。相棒を自ら殺してしまったドラゴンに、もはや戦意はなかった。烈火逆流拳。秘孔前頂を突かれ、体内の炎を逆流させられたドラゴンは、全身から炎を吹き出し、爆死したのだった。

 ドラゴンの体から飛び散った炎により、城は炎上し、崩れさった。そしてそれは、麓の村がパトラの呪縛から解放されたことを意味していた。水が戻った村で、笑顔で畑仕事に励むサム達。その人々の幸せな顔に、満足感を覚え、ケンは再び旅へと出たのだった。

 南斗竜神拳の敗北は、流石のシンにも動揺を与えていた。そしてその苛立ちは、いつもは心地よいはずのユリアのハープの音さえも忌々しくさせていた。しかし、そんな日に限って、ユリアはハープを弾くのを止めようとはしなかった。ケンが近付いてくる・・・自らの心に帰来するその予感に、ユリアは心躍らせていたのだ。そして、砂漠を行くケンの耳にも、聞こえないはずのそのハープの音が届いていた。ケンとユリア。引き裂かれた二人の距離は、着実に縮まってきていた。
放映日:84年12月13日


[漫画版との違い]
・アニメオリジナルストーリー



・乳首
北斗のアニメで女性の乳首が拝めるのは、マミヤのバスタオルを剥がす回と、マミヤの服を水鳥拳する回、ジュウザが風呂場で女を追う回、そしてこの回の4回のみ。よって・・・だから・・・とにかく非常に重要な回です。
・謎の10日間
シンはサザンクロスへと向かう際に、このドラゴンの城に立ち寄ったらしい。そんでユリアの肖像画を描いてます。シンが大人しく絵を描いてる姿を想像するとちょっと面白いなぁ。しかし何が楽しくてこんな山奥の城に…車も通れないし…しかも10日間も居たという。シンも早くユリアにサザンクロスの都を見せたかったろうに、何故こんなところに長い間駐在していたのか?まさかシンも女性のちく(略
・コンビネーション
注目したいのはドラゴンとバトラのコンビネーション。ハッキリ言って強い。幻術で相手の目に幻覚を映し出し、なおかつ強烈な炎による遠距離攻撃。完成された攻撃と言っていいでしょう。なのに何故非力なパトラが剣で突進したりするのか。ずっとそのコンビ技使ってればいいじゃん。洞窟での太陽拳ばりの眼くらましとか、炎の投げナイフとかも駆使したらもといいとこまでいけたはず。


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