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[第21話]
魔宮炎上!シン!
お前まであと一歩だ!!


 焼け落ちた戦艦の上でケンを待ち続けるリンとバット。しかし、日が暮れてもケンは二人の前に姿を現さなかった。きっともうケンはサザンクロスに向かっている。あのケンが死ぬはずがない。そういってリンを励ますバットであったが・・・

 一方その頃サザンクロスでは、奴隷達を使ってのユリア像の建設が始まった。ケンシロウの死は、あらゆる者達に影響を与え、そして動かしていった。

 俺のために生き続けてくれというケンとの約束を守るため、哀しみを越えて生き続ける決意を固めるユリア。希望を捨てないユリアを見て安心したサキは部屋を後にする。しかしこれがユリアとサキの別れとなった。サキの存在がユリアのためにならないと判断したシンは、サキをユリアの世話係から解雇することを決めたのである。行く先を伝えられぬまま車に乗せられたサキは、そのままサザンクロスを追放されたのであった。

 その頃バルコムは、城の中の一室に生き残った幹部達を集め、緊急会議を開いていた。サザンクロスに厳しい規律を作り、ケンシロウを倒した事への報酬も滞っているシン。ユリアに腑抜けにされたそのシンのやりかたに嫌気が刺した面々が、自由な自分達の国を作るため、反乱を企てようとしていたのだ。皆の不満を煽り、着々と自分の野望を完成させようと企むバルコム。だが、突如幹部の一人であるナリマンが反対の意を唱えだした。ナリマンは、KINGがいなくなれば統率が崩れ、仲間同士で食い殺しあいになるだろうと考えたのだ。そして何よりナリマンは、バルコムのやり方が気に入らなかったのである。しかし、部屋を出ようとしたナリマンに対し、バルコムは突如攻撃を開始した。近いうちに此処の王となる自分にとって、ナリマンは危険な不穏分子だと判断したのだ。負けじと応戦するナリマン。しかし、ロープの先に熊手をつけた武器、そして側にあった石像での攻撃も、バルコムの肉体には全く通用しなかった。バルコムの使う泰山寺拳法の極意は、呼吸法により肉体を鋼鉄以上にすることにあったのだ。一瞬の隙をついてナリマンを捕らえたバルコムは、両腕で一気にその体を締め上げる。苦し紛れのナイフ攻撃もやはりその体には通じず、ナリマンはそのまま背骨を折られて絶命した。南斗聖拳がどれだけの威力を秘めていようと、俺には一切通用せん!己が肉体で南斗聖拳をうち破る自信を見せ、バルコムは高笑いを上げる・・・

 ケンシロウが生き埋めになったという場所をくまなく捜索するジョーカー。今まで幾多もの死地から脱出してきたケンシロウを知るジョーカーは、ケンシロウの死体を確認するまで安心することができなかったのだ。とその時、ジョーカーの耳がおかしな音を捕らえた。近くにあった大岩が、正体不明の高音の波長を発していたのだ。そして次の瞬間、大岩の前に立つジョーカーは、信じられない光景を目にした。それは、崩れ去る大岩の中から光と共に復活したケンシロウの姿であった。

 新設された宮殿でユリアがシンに見せられたものは、巨大な己の銅像であった。いずれ宝石や黄金でこの像を飾り立てよう。ユリアを喜ばさんと言ったシンのその言葉も、ユリアの哀しみを増させるだけであった。自分のために多くの人々の血が流れる・・・その現実に、ユリアの悲しみももはや限界を迎えようとしていた。とその時、シンは、その広間全体を覆う殺気に気が付いた。己に向かって放たれた無数の矢をはじき返し、姿を見せるよう叫ぶシン。その呼びかけに答えるように現れたのは、バルコムを含む、シンが築き上げた自らの大軍団であった。すでにバルコムの反KING精神は、軍全体にまで広がっていたのである。バルコムの合図と共に、数刻前まで首領であったシンに向かい、容赦なく襲いかかるKING軍団。だがシンも、上空から迫り来る己が部下達を南斗飛燕斬にてためらうことなく切り裂いていく。雑魚が束になってもシンを倒せないことを悟ったバルコムは、爆薬を使うように指示。部下達をも巻き込んだ激しい爆薬攻撃は、シンの姿を覆い隠し、バルコムに勝利を確信させた。

 シンを倒したバルコムの野望は、ユリアへと向けられた。部下を使い、ユリアを像の壇上から引きずり降ろそうとするバルコム。だが突然その部下はどこからか放たれた攻撃を喰らい壇上から落下してしまった。緊張を走らせるKING軍。とその時、今の今まで明るかったはずの広間を突如闇が覆った。正体はただの日食であった。しかしそれは、見えない恐怖を感じていたKING軍に戦意を失わせるには十分な効果であった。そして太陽が完全に姿を隠したと同時に、ユリア像の頂上からシンが登場。バルコムは再び部下達にシンへの攻撃を指示するが、すでに彼等にはシンと戦うだけの志気が残ってはいなかった。

 部下に頼らず自分で闘ったどうだ。そのシンのタイマンの申し込みに、マントを脱ぎ捨てて応えるバルコム。不意打ちのボウガンでの先制攻撃は通じなかったものの、その鋼鉄以上と例える肉体は凄まじかった。最強と謳われる南斗聖拳の攻撃を、正面から跳ね返し続けたのだ。しかし、その己の体に陶酔しかけたとき、その鼻からはみっともない鼻血が流れていた。どこが鋼鉄なんだ。そのシンの嘲笑う声に怒れるバルコムは、遂に最後の切り札の使用を決めた。泰山寺拳法妖鬼幻幽拳。腕を高速で上下に動かして相手を切り裂く幻幽拳の前に、流石のシンも大きな傷を受けてしまう。だがシンの顔には余裕があった。シンは1度見ただけでバルコムの拳を見切ってしまっていたのだ。バルコムの高速の拳をピタリと受け止めたシンは、その体に南斗飛竜拳を叩き込む。再び全く効かない素振りを見せるバルコムであったが、もはや既に勝負は決していた。シンの拳は、鋼鉄のバルコムの肉体にヒビを走らせていた。止めに突き入れられた拳によって、バルコムの肉体は完全消滅。その様を目撃した反乱軍は、もは完全に戦意を失い、一目散に広間から逃げ出しはじめた。KING軍完全崩壊の瞬間であった。

 復活したケンシロウとジョーカーのラストバトルが始まった。ジョーカーは得意のトランプ乱舞でケンシロウを攻撃。無限に繰り出されるトランプがケンを襲う。しかし、逃げ回っていてもキリがないと感じたケンは、発勁の方を使用し、すべてのトランプの動きを止め、叩き落としてしまった。奥義を尽くさねば勝てない。そう感じたジョーカーは、遂に自らの奥義、南斗翔天拳を発動。3体に分身したジョーカーは、ケンシロウと互角の戦いを繰り広げる。しかし、ケンシロウの身体能力はジョーカーの想像を遥かに超えていた。ケンに背後を取られたジョーカーは、得意の神速で危機を回避しようとする。だが、いくらジョーカーが逃げても、ケンシロウを引き離すことは出来なかった。ケンの素早さは、ジョーカーの動きを完全に捕らえ、そして越えたのである。得意のスピードを破られたジョーカーには、最早戦意は残されていなかった。観念したかのようにケンの北斗残悔拳を喰らったジョーカーは、シンへのメッセンジャーになれば命を助けてやるとの誘いを断り、潔い死を選択。ケンシロウ生存の報を伝達する役目をペットの鷹に託したジョーカーは、最後まで参謀としての任務を全うして死んだのだった。

 停車したトラックから降り、外の風景を見たサキは驚愕した。なんとそこは、自分が生まれ育った街の直ぐ側であったのである。サザンクロスが近々部下達の手によって滅ぼされることを感じていたシン様は、特別の計らいで、あんたを自分の街へと避難させたのだ。御者はそう語った。しかしサキは、助かった己の身よりも、そのサザンクロスに残されているユリアの身を案ずるのだった。

 お前には俺がいる。ケン、そしてサキをも失ってしまったユリアに、そう慰めの言葉をかけるシン。孤独と哀しみの中でかけられたそのシンの優しい言葉は、閉ざされていたユリアの心を溶かした。唇を重ねる2人。しかし、直ぐにその唇は鋭い痛みと共に離された。戦いしか知らず、自分の心を理解してくれないシンをどうしても愛すことが出来なかったユリアは、シンの舌を噛み、その愛を拒んだのであった。

 統率する者がいなくなったKING軍達は、サザンクロスの街に火を放ち、仲間同士での食い殺しあいを始めた。栄華を誇り、贅を尽くしたサザンクロスの街は炎の中に崩れ去り、後に残ったのは見る影もない死の世界のみ。そして運命の星は、ケンシロウとシンを宿命の戦いへと導いていくのだった・・・
放映日:85年3月14日


[漫画版との違い]
・アニメオリジナルストーリー


・ベスト・オブ・アニメオリジナル回
個人的にはこの回を「ベスト・オブ・アニメオリジナルストーリー」に選びたいです。なんともファン心理のツボをついた、まさにオリジナルならではのストーリーだと思います。原作では見れなかったシンの強さ、読み切りからの引用、北斗では珍しい接吻シーン、ジョーカーvsケンシロウ最終決着・・・いろいろありますが、自分は日食のシーンもかなり推したい。日食に怯えるKING軍団達が何とも可愛らしい。
・キスシーン
キスシーンも子供心にはけっこうクるものがありました。というか子供の頃は何故シンが口から血を出してるのかサッパリ解りませんでした・・・。しかし初キスで舌入れるシンもどうかと。
・コンドルは飛んでいく
ジョーカーが死に際にペットに託したカード。アレにはおそらく「ケンシロウは生きていた」という類のことが書いてあったと思うんですが(状況から考えても他にない)、シンはケンが城に入ってくるまで死んでいると思っていたんですよな。ということはあの鷹はカードを届けられなかったということになる。ジョーカーがあれだけ信頼しているペットなので、まさか届けなかったと言うことはあるまい。つまり誰かに邪魔されたのだ。それは・・・そう、ケンシロウである。ケンはシンへカードを運ぶあの鷹に石でも当てて打ち落としたのだろう。なんて奴だ!


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