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[第60話]
南斗白鷺拳シュウ!お前は
この世紀末に何を見るのか!!


 危険な旅と知りつつケンを追ってきたリンとバット。身勝手な行動を怒られるのではとばつが悪そうな二人であったが、ケンの笑顔が、再び二人の旅の同行を許したのだということを表していた。とその時、シュウの部隊の一人が、近くに聖帝部隊が現れたとの報をもって来た。あなたにはまだ話せばならないことがある。再びケンと会うことを約束し、その現場へと走り去っていくシュウ達。その背を目で追うケンの中には、あるひとつの思いが走っていた。自分は過去に、あの男と出会っているかもしれない・・・

 矢を放ち、剣で切り裂き、次々と村人達を殺してゆく聖帝部隊。彼等の狂気が子を守ろうとする母親達にまで及ぼうとしたその時、彼等の前に立ちはだかったのはシュウのレジスタンス部隊であった。聖帝部隊の隊長ベルガは、標的をシュウ一人に絞るよう指示するが、南斗六星拳士に敵うはずも無く、部隊はほぼ全滅。最後の手段として子供を人質にとり、抵抗を止めるよう命じたベルガであったが、その作戦も背後から現れたケンシロウによって潰されてしまった。シュウとケン。二人の超人に挟まれたベルガ達は一目散に退散。結果はシュウ達の圧勝に終わった。がしかし、それでも全ての子供達を守り通せたわけではなかった。まだ先程の部隊は近くに居るはず。子供達もそこに居る事は確かだが、その場所を突き止める術は無い。一同が悩む中、声を上げたのはリンであった。バットと共に囮となって聖帝部隊を誘き出し、シュウ達にアジトの場所を突き止めさせるという作戦を提案してきたのである。その危険性は誰もが懸念するところであったが、しかし今のシュウには他に頼るものもなかった。ケンの承諾を得、さっそく作戦は実行へと移されるが・・・

 荒野にそびえる廃墟と化した野球場。そこが、ベルガ達聖帝部隊のアジトであった。ベルガは次の作戦の計画をため、ただ待っていた。他の聖帝部隊が別の村を襲えば、シュウの部隊もそちらへと赴かざるをえない。その隙を突き、再び先程の村への襲撃をかけようと企んでいたのだ。そんな時、その球場へと連れて来られたのは、リンとバットであった。砂埃舞う砂漠をバギーで彷徨っていた二人を、ベルガの部隊の者達が捕えて来たのだ。だが、ベルガの部下の一人は、リン達の顔を覚えていた。先程の村でケンと一緒に居たところを見られていたのである。二人から怪しい空気を感じ取ったベルガは、即座に二人を殺すよう指示。二人の頭上に、正規兵の刃が迫る。だがその寸前、刃を振り上げた男の視界を、バギーに置いてあったシートが覆った。バギーの後部座席に潜んでいたケンが、作戦通り、二人を救うために現れたのである。たった一人で何ができる。そう言って部下達をけしかけるベルガだが、無論敵うはずもなし。完全敗北を悟ったベルガは、部下達を煽ってけしかけた後、たった一人で逃げだしてしまう。しかし、その仲間を捨てての逃走劇も、出口をシュウ達に固められ、終了を迎えたのだった。今より輝こうとする子供達の光を奪う事など許せん。ベルガを切り裂いたシュウのその怒りの言葉に、ケンは強く反応した。遠い昔、ケンは前にも一度、その言葉を耳にしたことがあった。

 南斗の修練場。その中で行われていたのは、南斗の拳士10人と戦い勝ち抜かねばならぬという南斗10人組手であった。敗北は死。その非情の掟にたじろぐ事もなく、この日10人組手に挑戦していたのは、幼き頃のケンシロウ。そしてその模様を見守るのは、若きラオウ、サウザー、そしてまだ光を失ってはいない頃のシュウであった。ケンを10人組み手に挑戦させたラオウの真意に、興味を示すサウザー。一方シュウは、既にケンに漂う只ならぬ光を感じ始めていた。とその時、9人目と戦っていたケンが、突如相手に背を向け、シュウに鋭い視線を送った。シュウの送った気に反応したのである。背を向けたままあっさりと9人目を倒したケンに、10人目として名乗りを挙げた者、それはシュウであった。

 先制攻撃のケンのとび蹴りを難なく交したシュウは、そのまま腹部へ一撃。あっけないほどに勝負は一瞬で決した。敗北したケンに待つのは、掟による死。サウザーの、止めを刺せとの指示が飛ぶ。だが、死を目前に控えたケンがシュウに述べたのは、感謝の言葉であった。最後の相手が貴方でよかった。拳の厳しさを教えてもらった、と。その言葉を聞いた瞬間、眠っていたシュウの仁星の星が目覚めた。シュウは、ケンを殺さなかった。それどころか、ケンに槍を突きたてようとした他の拳士たちを静止し、ケンを守ったのである。この少年は誰よりも強く激しく光る可能性を秘めている。その権利を奪う権利は誰にも無い。定められた南斗の掟に反抗するシュウが、ケンの代わりに差し出した光、それは、己の両目の光であった。痛々しい両目の傷をまるで無いものかのように、ケンシロウの体を抱え、修練場から退場するシュウ。燻っていたシュウの仁星を目覚めさせたケンに、サウザーとラオウは果てしない脅威を感じるのであった。


 全てを思い出したケンに対し、シュウは自分の行動がやはり正しかったことの喜びを顕わにした。強く激しく光り始めた、ケンシロウという名の光。それはシュウにとって、己の光の代償としては十分過ぎるほどの結果であった。

放映日:86年1月23日


[漫画版との違い]
・原作でケンがリン達がついてきた事を許すのはアジトへ向かう途中だが、アニメではシュウとの闘いの後直ぐ。
・原作のベルガ部隊との戦闘には、シュウがケンを助っ人に呼ぶが、アニメでは待っているよう言う。
・リンとバットが囮になってベルガのアジトをつきとめ、そこで再びベルガ部隊と戦うイベント追加
・原作のベルガは襲った村でシュウに殺されるが、アニメでは村からは逃げ出し、アジトの野球場で殺される。
・原作では敗れた少年ケンを殺そうとした南斗の者達をシュウが蹴散らすが、アニメではただ制止しただけ



・スタジアム
ベルガ様がアジトにしてらっしゃるこの球場、何処よ?それがわかったら聖帝十字陵がどこら辺にあるのかっていうヒントになるんだがなー。どなたかわかる方は管理人のほうまで!!
・その頭にあるのは飾りか?
 ← もっすごい砂嵐の中、バギーを走らせるバット

あんたこういう時のためにゴーグルを常着してるんじゃないの?

今使わないでいつ使うの!!
・むかしむかし
シュウが自ら名乗り出てケンを倒して、そいで自分の目を潰して結局ケンを助けたという意味不明なこの一連の行動。これは誰もが首を傾げた場面だと思いますが、アニメではケンが「拳法の厳しさを教えてもらいました」と言っているので、多分まあ南斗の誇りのためにやったことなんではないかと推測されます。
しかしアニメでは他にもう一つ注文すべき発言が。シュウの強さをラオウに問われたサウザーが一言
「この道場で奴と互角に戦えるのは俺だけだ」
互角!?サウザーさんは後におっしゃっています。敵は全て下郎!と。ここまで自信過剰気味なサウザーさんに互角と言わしめるシュウの強さはやはり本物。でも現代での戦いはとても互角とは思えなかったし、サウザーも完全に見下ろしてる感じ。つまり
盲目になってしまった事が相当シュウの実力を奪ってしまったのだと考えるのが妥当ですね。でもって盲目前のシュウはかなり強かったと。


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