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[第86話]
燃える真紅の軍団! 
炎の涙がシュレンをぬらす!!


 ヒューイに続き、ハヤブサから伝書を受け取ったのは、真紅の服を纏った男だった。男の名は炎のシュレン。ヒューイの兄であり、彼もまた南斗最後の将を守る五車星の一人であった。ヒューイの死に涙したシュレンは、自らの城に火を放つよう部下に言い放った。その炎はヒューイの魂を静めるための炎、シュレンの怒りの炎、そして彼等朱の軍団の帰るべき場所を無くすための炎であった。風の仇を獲らんとする炎が、今打倒拳王へと動きだす・・・

 荒野を失踪する一台の車。だがその運転はお世辞にも上手いとはいえなかった。岩山にぶつかり、横転した車の中からでてきた大柄の男。彼は拳王先遣隊の隊長であるモーガンであった。自らの運転に絶対の自信を持つモーガンは、ハンドルが甘かったと難癖をつけて整備担当の部下を絞殺するのだった。

 気持ちよくバギーを運転していたバットの前に、フラフラ運転のモーガン車が現れた。天然でバギーの進路を邪魔してくるその車に苛立つバットは、アクセル全開で一気にモーガンを追い抜くことに成功。負けじとアクセルを踏むモーガンであったが、不運にもガス欠によって車はストップしてしまった。俺の前を走る奴は許せない。モーガンはバイクの部下二人に、バギーを掴まえてくるよう命令を出すが・・・

 結局バギーについていくことが出来ず、手ぶらで戻ってきた部下二人にモーガンは怒り心頭。バギーを見つけてブチ壊すまでは戻ってくるな!!モーガンの部下、壊し屋二人組の巨大ハンマーに脅える二人は、必死の捜索の結果、遂にキャンプをはるケンシロウ一行を発見したのであった。停車してあったバギーにロープをかけ、傍へと手繰り寄せた二人は、手際よくバギーのタンクに着火。ケン達が轟音に振り向いた時には、既にバギーは炎の中であった。長年連れ添った愛車を失い、号泣するバット。しかし、ケン達もこのまま引き下がるわけにはいかなかった。

 モーガンの支配する街へとやってきたケン達。だが、その街も拳王という影に覆われた死の街であった。彼等を苦しめているもの、それは街中で車を暴走させるモーガンの極度の車好きにあった。その日もモーガンは、壁に正面衝突したのを「この壁を作ったのはお前だな」と無茶苦茶な理由で村人を殺害。あまりの行いに殺生を止めるよう願い出てきた老人も、ゴミのように蹴飛ばすという暴虐ぶりを見せていた。バット達に介抱された老人は、この街の惨状、そして自分の家族もモーガンに轢き殺されたという悲劇を語る。しかし次の瞬間、今度はその老人自身が命を奪われることとなった。モーガンの悪口を話した罪としてモーガンの部下に矢を打ち込まれたのである。その男たちは、先日バットのバギーを炎上させたあの二人組であった。親玉、子分達ともに腐りきったこの集団に対し、ケンシロウは・・・

 飽くことなく暴走を続けるモーガン車の前に、悠然と立ちはだかった男がいた。かまわずアクセルを踏み、猛スピード突っ込むモーガン。だが、その男、ケンシロウの力は車の馬力を遥かに超えていた。素手で触られて車を汚されたと激怒するモーガンは、部下を招集してケンシロウ抹殺を支持。その間、のんきに車の掃除にいそしんでいたモーガンであったが、振り返った底に広がっていたのは、あっさりと全滅させられた部下達の死骸であった。

 相手があのケンシロウと知ったモーガンは、自慢の壊し屋二人にケンシロウに立ち向かわせる。だが、あっさりと巨大ハンマーを弾き飛ばされた二人は、秘孔で膨らむ頭を抑えつつ、落下してきた自らのハンマーに押しつぶされてしまうのだった。一人残されたモーガンは、そそくさと車に乗って逃走。しかし、走り去った車の車体下には、油にまみれたバットの姿があった。そしてその両手に握られていた数々の部品が、間近に迫ったモーガンの未来を示していた。ハンドルが取れ、ブレーキも利かなくなっていたモーガン車は、絶叫とともに壁に衝突し、爆音の中へと消えたのであった。

 拳王の覇権を間近にむかえ、自分達の天下にが近づきつつあることに高笑いを上げる拳王部隊。そんな彼等の笑いを打ち消したのは、突如飛来した無数の火矢であった。炎のシュレン率いる遂に朱の軍団が、遂に動き出したのである。部隊をあらかた全滅させたシュレンは、リーダー格の男達を自らの五車炎情拳にて滅殺。燐を操るシュレンの拳は、どんな相手をも炎とともに切り裂いてしまう非情の拳であった。

 拳王部隊を全滅させたシュレンの耳に、拳王の本隊がすぐ側まで来ていると報が入れられた。ヒューイの仇討ちに更なる怒りの炎を燃やすシュレンは、その自らの炎で野望もろとも拳王を灰にすることを誓うのであった。
放映日:86年8月28日


[漫画版との違い]
・拳王が、「次に動くは・・・」と考えるシーン以外全てオリジナル


・ドラえもん のび太の海底鬼岩城
愛車の炎上に、オカンが死んだときに負けぬくらいの哀しみを見せたバット。第二話から登場してきたバギーも、此処でお役御免となりました。まあ翌週からフドウが登場するからというのが理由なんだろうけど・・・いやいやしかしうまいこと廃車にしたもんだね。ただ壊れたーってだけじゃなくて、まるまる一話かけての壮大な弔いは、主役クラスの扱いと言えよう。アニメ北斗ファンにとっては少し嬉しい回だと思います。できればペルもこれくらいの別れが欲しかったもんだが・・・アイツどこいってん。
・過剰復讐
車を爆破されたバットは、お返しにとモーガンの車にこっそり細工。結果モーガンは曲がれず止まれず猛スピードで壁に衝突して爆死した。ド派手にふっとんだその炎をみて「ざーまーみろってんだ」とニヤつくバット。それに対して「やりすぎよ!」とツッこむリン。ひと一人殺すことが「やりすぎ」の一言で済まされるのもどうかと・・・更にそれに対してバットも「んなこたぁーねーよ」と完全無罪を主張。おまえら怖いよ。


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