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[第85話]
死闘への序幕! 
風の男ヒューイの叫びが天にこだます!!


 突如ケンシロウの前へと現れた南斗五車星の男、風のヒューイ。彼が望んできたのは、ケンシロウとの勝負であった。真空波を飛ばしての挑発にも全く乗ってこないケンシロウに対し、先制攻撃をかけるヒューイ。しかし風のごときその動きも、北斗神拳伝承者には通用しなかった。交錯したその一瞬の間に秘孔を突かれたヒューイは、その右腕を小さく弾き飛ばされるのであった。弟シオンにより傷の手当てを受けたヒューイの顔からは、もはや戦意は消えていた。いずれ南斗五車星の誰かが貴方を迎えに来るだろう。だがそれは俺の役目ではない。そう言い残し、ヒューイは風の旅団とともに去っていったのであった。

 南斗最後の将が座を構える南斗の都。そこの総指揮を任されている海のリハクの下に、拳王侵攻隊の報告が入れられた。勢力を増し、もはや止まる事を知らぬまでに膨れ上がった拳王軍。もはや彼等がこの南斗の都にまで攻め入ることは火を見るよりも明らかであった。その拳王軍と、現在死闘を続けている風の旅団からの"ある報告"を、リハクはただ待ち続けていた・・・


 拳王軍に支配された村を次々と解放してゆく風の旅団の勢いは、拳王軍にとっては脅威の存在にまでなっていた。戦意を失い、逃亡しようとする兵まで一人残らず止めを刺してゆくヒューイ。彼等が動く理由、それは全て南斗最後の将のために他ならなかった。

 拳王のもとに、再び風の旅団の報が入れられた。自らに楯突く彼等の存在は、もはや拳王にとって無視できない存在にまでなりつつあった。しかし、それこそがヒューイたちの真の目的であった。拳王自身を誘き出すこと。そしてその果てに自分がどうなるかも、ヒューイには判っていた。

 バギーの故障で、荒野の真ん中に立ち尽くすケンシロウ一行。そこへ現れたのは、赤子を抱えた一人の女性と、それをバイクで追う拳王軍兵士2人であった。赤子が高熱を出したため、女は薬草を取りに行くために村を脱走したのである。しかし、慈悲のカケラすらない拳王軍の者達にとっては、女が村を出た理由など関係なかった。問答無用で鉄棍棒を振りかざし、親子を始末しようとする男。だが、そんな非道な行いをケンシロウが見逃すはずが無かった。奪った棍棒で身体を縛りあげ、放り投げたケンは、バイクで突進してきたもう一人も簡単に秘孔で撃退。相手がケンシロウだと知った片割れは、一目散にその場から逃げ出したのだった。更に、秘孔によって赤子の病気をも治してしまったケンに対し、女は言い表せないほどの感謝を送るのだった。「貴方はこの世紀末の救世主様です!」だが、ケンはその女の言葉を否定した。ケンが旅を続ける理由、それは打倒ラオウという北斗の歴史を守るためのものに過ぎなかった。

 計画通り拳王侵攻隊を殲滅し続ける風の旅団のもとへ、遂に拳王の本隊が姿を現した。南斗五車星。自らをそう名乗ったヒューイに、拳王は過敏に反応した。五車星は南斗極星を守る五つの星。それつまり、南斗最後の戦士が動き出したことを現していたからだ。自らの主、南斗最後の将による世を平定を成す為、凶星拳王に立ち向かうヒューイ。しかし、その実力差は絶望的であった。ヒューイの真空波をものともせず、拳王はたった一撃でヒューイを絶命させたのであった。

 兄ヒューイの死に絶叫するシオン。しかし、シオンにはまだやるべきことが残されていた。相手を誘き出し、その力を見極めること。それこそが風の軍団に与えられた真の役目だったのだ。ヒューイの凄絶な死、そして恐るべき拳王の強さを伝えるため、シオンは一人、南斗の都へと駆けるのであった。

 ヒューイからの連絡を待ち続けていたリハクの下へ、シオンが帰還した。しかし既にその身体は、瀕死の重傷を負っていた。自らの役目を終えて絶命したシオンの姿に、リハクは凄絶な風の死に様を見るのだった。
放映日:86年8月21日


[漫画版との違い]
・風の旅団が拳王部隊を襲う〜ヒューイ敗北、以外はすべてアニメオリジナル
・ヒューイの弟、シオンが登場。

・原作で最初にケンに接触した五車星はフドウで、ヒューイはその場面を目撃していたが、アニメでは最初にケンに接触したのはヒューイで、ケンシロウと戦う。
・風の旅団の役目は、原作では拳王の進軍を止めるだけだったが、アニメでは敵を誘き出し、そのの力を見極める事という役目が追加。


・正直成長してない
原作では描かれなかった、ケンシロウvsヒューイ。結果はブランカのバカ三兄弟と大差ないくらいの、一歩も動いていないケンの圧勝に終わった。その後ヒューイは拳王様と対決するわけだが、もー攻め方が一緒。とりあえずジャンプ。おまえな、それでケンに全く歯が立たんかったやんけ。それをなんでもう一回やるかな。学習せいや。
・ヒューマンらしさ
ヒューイに襲われた拳王部隊の中で、崖の上に身を潜めていた4人がこっそり逃げようとするというエピソードがある。逃げた罪で拳王様に殺されるのを恐れる3人に対し、残る一人(もち千葉氏)は「そんなの後からいくらでも言い訳はたつだろぉ〜」と不鮮明な解決策しかないまま、とりあえず逃げようとする。地味とはいえ、なんかこのシーンは好きです。この優柔不断さや、行き当たりばったり的な結論で納得しようとするところがリアル。
・ノットきゅうせいしゅ
赤子を秘孔で救ったケンは、母親に貴方は救世主!とヨイショされるのだが、ケンはこれを否定する。後にフドウにも言われるのだが、その時は物凄い不快な顔をして、何故か半ギレになる。何がそんなに嫌やねん?そんなに面倒を押し付けられるのが嫌なのか?どこまでもセルフィッシュな主人公ですね。


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