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[第134話]
新世紀創造主宣言!
俺の名は魔神カイオウ!!


 出陣したヒョウの親衛機甲団は、未だケンシロウの姿を発見できずにいた。このままでは埒があかないと踏んだヒョウは、城に戻り、ケンを待つことを決断するが・・・

 ジュウケイとレイア、タオの三人は、ヒョウの城を眼下に捉えていた。ケンシロウがラオウ伝説を為すためには、己がヒョウを倒すしかない。そして、自らが蒔いた北斗琉拳という名の悪種は、己の手で刈り取らなくてはならない。この国の未来のため、ジュウケイはその命を捨てる覚悟を決めたのだ。城へと向かう直前、ジュウケイはレイアに尋ねた。まだシャチを許すことはできないのかと。その問いに頷きを返したレイアであったが、彼女は既にシャチの真意に気付き始めていた。

 修羅でもない。ボロでもない。ヒョウの城に現れたその素性不明の老人は、修羅達にとってただの不法侵入者であった。羅将ヒョウに会いに来た。己達の将を呼び捨てにするその老人の言葉は、彼を処刑するには十分な理由であった。刀を振り上げ、老人へと襲い掛かる修羅。しかし次の瞬間、男の身体はこの世から消え失せていた。老人が只者ではないことを悟った修羅達は、門を閉め。入り口を封鎖。しかし、ジュウケイの前では扉など無に等しいものであった。手をかざし、呪文を唱え始めるジュウケイ。その両手に宿りし高熱は、鋼鉄の扉をいとも簡単に溶かしてしまった。仕上げに閂を吹き飛ばし、開かれた正門から、ジュウケイは堂々と入城を果たしたのであった。

 その時、時をあわせるかのように、ヒョウの親衛機甲団が帰還した。久々に再会を果たした師に跪くヒョウであったが、ジュウケイはその挨拶を遮った。今のジュウケイは、かつての師ではなく、一人の刺客としてそこに居た。ケンシロウがラオウ伝説を継承するためには、なんとしてもヒョウの記憶を蘇らせなければならない。北斗死装武衣。死を覚悟したときのみ着用するというその装備が、ジュウケイの覚悟の大きさを物語っていた。

 リンとシャチがやってきたのは、修羅と村人達の死体が散乱する村であった。それは、戦場と化した現在の修羅の国を象徴する、凄惨な現場であった。そしてその時、二人の下へ近付く巨大な黒い影があった。馬の蹄の音と共に現れた、全身に黒い鎧を纏った巨人。それは、魔神と称されるこの国の王、第一の羅将カイオウであった。シャチは、天帝の血を引くリンを差し出すため、カイオウを呼び出したのである。シャチの言葉が真実であることを、カイオウは直ぐに確信した。リンの目に宿る光。それは、まさしくこの世の全てを背負いし宿命を持つ者の証であった。リンを気絶させたカイオウは、後で城に来るようシャチに告げ、再び荒野の彼方へと消えていった。全ては自分の思い通り。そう思い、笑みを浮かべるシャチであったが・・・

 カイオウの城で目覚めたリンが目にしたもの。それは、魔闘気と呼ばれるオーラを噴出させるカイオウの姿であった。その魔闘気を憤らせていたのは、他でもない、ケンシロウの存在であった。この国の救世主と語り継がれる北斗神拳伝承者に対し、魔道と虐げられてきた北斗琉拳。2000年に渡るその屈辱の歴史が、カイオウに憎悪の魔闘気を纏わせていたのだ。だがそれもこの代で終わる。己がケンシロウを倒し、新世紀創造主となることを、カイオウは予言するのだった。

 ジュウケイとヒョウ。生死を賭けた師弟対決の幕は切って落とされた。しかし打って出るヒョウに対し、ジュウケイは全く反撃しようとはしなかった。ジュウケイの狙いは、ヒョウの記憶を呼び覚ます破孔ただ一つ。そして、その偽りの仮面を剥がすための準備は、既に成されていた。ジュウケイが呪文を詠唱しはじめた瞬間、ヒョウの身体は完全にその自由を奪われていた。記憶を奪われる際、ヒョウはその身体に呪醒文を埋め込まれていたのである。ジュウケイがそれ程までに拘る、ヒョウの記憶。そこに隠されているのは、真の北斗を呼び覚ます封印。それこそが、ケンシロウがカイオウを倒すための唯一の道なのだと、ジュウケイは語った。

 ケンシロウの後を尾ける妖しい影。崖の上から様子を伺うその男は、ケンの命を狙う修羅の一人、ガメレオであった。とうの昔から尾行に気付かれていたガメレオは、ケンの呼びかけに応え登場。空白となった羅将の地位を射止めんと、自慢のハンマーを振りかざす。だが、振り下ろす度に手刀で切断されたそれは、いつの間にかバトン程の大きさにまで成り果てていた。しかし、ガメレオにはまだ秘拳が残されていた。彼の特殊装甲は、パネルを裏返すことにより、周囲の岩肌に紛れ姿を隠せるようになっていたのである。全身見事な土色へと変化したガメレオは、粉塵を巻き上げ、その姿を消失。意に介さずといった様子で再び歩き始めたケンであったが、ガメレオはその前方の岩肌へと身を潜めていた。近寄ってきたケンを仕留めんと、息を殺すガメレオ。だが、あと少しというところでケンはその歩を止めた。姿は消えても、その強い殺気は、明確にガメレオの位置を示していたのである。やぶれかぶれで襲い掛かるガメレオであったが、もはや勝ち目などあるはずもなかった。

 秘孔を突かれたガメレオは、その効果により、羅将の城の位置を喋り始めた。だが途中で、彼の身体は宙へと四散した。既にガメレオは、シャチによって破孔を突かれていたのである。帰ったと思われていたシャチの登場に驚くケン。しかし、シャチは更なる驚きの知らせをケンに伝えた。リンもまたこの国に留った事。そして彼女は今、魔神カイオウに捕われている事。リンを取り戻したくば、カイオウのもとへ行け。シャチのその言葉なくとも、ケンの心は既に決まっていた。ケンシロウとカイオウ。北斗の頂点を賭けた宿命の戦いは、間近にまで迫っていた。
放映日:87年10月8日


[漫画版との違い]
・ジュウケイが、レイアにシャチのもとへ行くよう言う台詞削除
・ジュウケイに襲い掛かった門番は、原作では顔と四股は残るが、アニメでは全部ふっとぶ。
・原作ではジュウケイは玉座のヒョウまで進むが、アニメでは外出中だったため、入り口のところでヒョウと会う。
・アニメのヒョウはジュウケイに会った時跪く。
・原作ではリンはいきなり連れ去られるが、アニメでは滅んだ村に訪れた際にシャチに差し出される。
・ヒョウに術をかけるジュウケイに、飛び掛った修羅が吹き飛ばされるシーン追加。
・ケンvsガメレオ追加
・原作ではリンが連れ去られた事をレイアとタオが伝えるが、アニメではシャチ


・単細胞
前話でケンに怒り狂って出陣させた親衛機甲団ですが、今回ケンが見つからなかったって事であっさり引き返してしまいました。・・・一体なんだったんだろう・・・。怒りで冷静さを欠いて、何も考えずに軍を出動させてしまったのだろうか。で、ケンがどこかわからないから、やっぱり城で待とうと。だとしたらあまりにも単細胞すぎる。まあもともとヒョウってあんなカイオウを信じきっていたほどのアホなんで、仕方ないっちゃないのかも。ピュアとアホは紙一重ですな。
・うしろ髪ひかれ隊
今回の話だけ、リンの後ろ髪がやけに長いです。原作でもブロン倒した後くらいから急にリンの髪が伸びるんですが、アニメじゃ基本的に最期までそんなにかわんないんですな。でも今回だけ伸ばさえちゃってるので、なんか違和感が・・・。


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