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ストーリー紹介A

第一期 1〜4話 5〜8話 9〜12話
第二期 13〜16話 17〜20話 21〜24話



第五話「餓狼の怨念」



[ストーリー]
 郊外の廃屋にて、磔にした飛燕に拷問を開始するヤサカ。2000年に渡る西斗の苦痛に晴らすには、直ぐ殺してはつまらない。根深き北斗への怨讐を込め、飛燕の身体に針を突き刺していく……

 その頃、上海では遂に日本軍と中国政府軍の戦争が始まっていた。租界に爆弾を落とした政府軍は、その混乱に乗じて青幇の壊滅を狙い、潘光琳の屋敷をも爆撃する。拳志郎のおかげで玉玲と葉は難を逃れたが、離れた場所にいた潘光琳は、子英を庇って瀕死の傷を負っていた。「お前には辛い思いばかりをさせた」。玉玲にそう告げた光琳は、拳志郎から受け取った煙草を吸いながら、力尽きるのだった。

 教会にて潘を見送る一同。だがそこに飛燕の姿はなかった。エリカより、昨日から飛燕が戻ってこないことを知らされた玉玲は、哀しみを乗り越え、組員達に飛燕の捜索を命じる。そんな中、一番最初に飛燕の姿を見つけたのは、かつて飛燕とエリカが救ったツバメの雛、その親鳥であった。飛燕のエリカへの思いを感じたのか、ツバメは飛燕のネックレスを咥え、飛び去っていった。

 再び飛燕の前に現れたヤサカは、突如鎖を破壊し、飛燕を解放した。相手の真意を測りかねるも、次々と鋭い拳を繰り出し、ヤサカを攻め立てる飛燕。だが戦いの中で、ヤサカの受ける傷はどんどん浅くなっていった。極十字聖拳は北斗の流れを汲む。故にその間合いを見切れば、拳志郎の北斗神拳をも見切ることが出来るとヤサカは考えたのであった。

 ヤサカの拳を受けながらも、脅威の粘りで渡り合う飛燕。西斗月拳の秘奥義 相雷拳に対しても、急所を外れた相打ちに持ち込んだ飛燕であったが、次の瞬間、飛燕の身体から血が迸った。複数の秘孔を突くことで必殺の技となす。それが、戦場で磨かれた拳である西斗月拳の真髄。そしてその一撃によって、戦いは事実上の決着を迎えた。鮮血に塗れ、その場に斃れこむ飛燕。だがその頃、拳志郎の下には、ツバメからのメッセージが届けられていた。


[登場した流派・奥義]
・燕舞斬
・相雷拳
・動けなくなり全身から血を噴出して死ぬ秘孔



[原作との比較]
飛燕がヤサカに捕らえられるところから、敗北するまで(176話〜181話)ただし潘光琳が死亡するなど変更点あり。

●変更された箇所
・ヤサカが飛燕を捕らえた場に同行しているのが、杜天風から政府軍の兵士に変更。(アニメではヤサカは政府に雇われたという設定になっているため)。飛燕が指名手配リストにあった青幇の人間で無いことをいぶかしむ。
・飛燕の処刑が行われる日が二日月に(原作では新月)
・飛燕が捕らわれた後に日中戦争が始まる(原作では拳志郎と飛燕が戦っている最中に開戦)
・潘の屋敷に爆弾が落とされる理由が、「政府軍が戦争のどさくさで青幇を壊滅させたいと企んでいたから」に変更。(原作では杜天風の仕業)
・屋敷に爆弾が落とされた際、葉は拳志郎に外へ放り投げられる(原作では別の場所にいる)
・潘光琳、爆撃から葉子英をかばって死亡する。

・教会で潘光琳の葬儀を行う。その最中、エリカより前日から飛燕が行方不明であることが語られ、玉玲は悲しみを乗り越えて飛燕を捜索するよう命じる。
・相雷拳は、原作では拳を背後に隠すことで見えなくしているが、アニメでは雷を纏うほどの速度で動かすことで見えなくしている。

●アニメオリジナル要素

・ヤサカが飛燕に行った針での拷問に破裂秘孔の効果が付加されている
指令を出す。
・飛燕の最初の蹴りでヤサカの服が吹っ飛ぶ
・子英が、飛燕に助けられた子供を見つけ出し、浚われたという情報を得る。
・ヤサカの相雷拳に雷のエフェクト







第六話「旅立つ燕」



[ストーリー]
 弱りきった飛燕に、止めを刺さんとヤサカが近寄る。だがその時、飛燕の友であるツバメがその視界を遮り、同時に飛燕の拳がヤサカの脚を貫いた。ツバメですら友のために死す。そして飛燕もまた、朋友である拳志郎のため、ヤサカの脚一本と引き換えに命を捨てようとしていた。

 その時、ヤサカに向けて一台の戦車が砲撃してきた。飛燕のもとへ向かうため、拳志郎は日本軍の戦車を占拠し、戦火の中をやってきたのだった。西斗が抱く北斗への恨みを「文句」と切り捨てた拳志郎は、無数の拳を一斉に叩き込む北斗百裂拳でヤサカを吹っ飛ばす。だがヤサカは、それすらも死んだフリで油断を誘うための手段として利用してきた。勝つためにはどんな手段も厭わない。それが戦場の拳である西斗月拳であり、その名を世に轟かせることがヤサカの抱く野望なのであった。

 政府軍の攻撃に水を差され、拳志郎とヤサカの勝負は持ち越しに。拳志郎に肩を借り、エリカのもとに戻ろうとする飛燕であったが、それまで命がもたぬことは自身が良く解っていた。これ以上エリカの悲しむ顔を見たくない。死鳥鬼であった自分を人間に戻してくれたエリカ。そんなかけがえの無い存在を得た今、飛燕は初めて死を怖いと感じていた。小船で海を漂いながら、最期の時を迎える飛燕。エリカとの思い出を追想しながら、飛燕は笑顔で旅立ったのであった。

 親鳥の居なくなったツバメの雛を案じ、番をするエリカ。だが中には、親に代わって雛を育てるツバメもいるという。飛燕がエリカの父親となったように。飛燕は遠くに旅立った。そう拳志郎から聞かされたエリカは、いつかまた会えると言葉を返す。だが彼女は、全てを理解していた。いつものように口角をあげ、笑顔を作っても、溢れる涙を止めることはできなかった。



[登場した流派・奥義]
・北斗百裂拳
・痛みなく動きを封じる秘孔



[原作との比較]
作の、拳志郎が戦車で飛燕の元に向かうところ(182話)から、エリカに飛燕との別れを告げるまで(189話)。珍しくほぼ原作通りの内容。

●カットされた箇所
・ヤサカが石を投げて飛燕の状態を確かめるシーン
・拳志郎が戦車で向かう際の、兵士に強引に運転させる以外の諸々のシーン
・ノミの孔の出番
・ヤサカの名前に関する会話
・杜天風の船に関するエピソード諸々
・白居易の詩に関するエピソード

●変更された場面
・拳志郎が飛燕の最後の場面で涙を流さない
・原作では子英が「他のツバメが雛鳥を殺す」という話をしてエリカに殴られるが、アニメでは無事。

●アニメオリジナル要素
・ヤサカ、対青幇のためという理由で政府に巨大な舟を用意させる。政府軍の兵士が、ヤサカが私怨のために動いていることに気付くが、針による秘孔で動きを封じられ海に落とされる。







第七話「二千年の愛」


[ストーリー]
 ヤサカが指定した決着の地。それは、北斗の菩提寺がある寧波。青幇の用意した船に乗り、寧波へと上陸する拳志郎。だがその姿を見て、コソコソを隠れる二人組がいた。元紅華会三番頭 田学芳の双子の弟・田楽伝。そしてその手下の河馬超。二人は青幇の手から逃れるため、遥か寧波まで逃亡していたのだった。

 一方、政府軍の船を奪ったヤサカは、一足早く寧波へと上陸していた。北斗への怨讐に突き動かされるヤサカは、たまたま居合わせた北斗曹家拳に仕える僧達に因縁をつけ、一瞬にして5人を抹殺。閻王の他にも危険な男が居ることを知った田楽伝達は、すごすごと上海への帰途につくのだった。

 北斗の菩提寺に建つ「鎮魂の塔」。北斗神拳伝承者達の魂が眠るその石塔に、恨みの一撃を叩き込むヤサカ。だが塔は櫃…。遅れて現れた拳志郎は、塔の下に眠る勾玉を手に取り、ヤサカに告げた。真実はこの中にあると。勾玉に手をかざした瞬間、ヤサカの中に流れ込んできたのは、かつてシュケンが凶行に及んだ日の出来事であった。

 乱世に平和を齎すため、西斗月拳の使い手全てを抹殺する。それがシュケンに与えられた使命であった。だが、その一人であるヤーマは、シュケンの子を身篭っていた。永久の平和のため、自らの命を捧げる事を決めたヤーマは、手を下せぬシュケンを慮り、自ら崖に身を投げる。だが白狼によって一命を取り留めたヤーマは、その後シュケンの子を出産。逃亡の末、ヤーマは自らの命と引き換えに我が子を守り、そして赤子は狼の乳を飲んで生き永らえた。シュケンとヤーマの血を引くその子の子孫が、ヤサカなのであった。

 ヤーマはシュケンの事を憎んではいなかった。だがヤーマの哀しみも、愛も、全てシュケンへの憎しみにすり替えられ、ヤサカを滾らせていたのだった。偽りの怨念により、ギーズを、そして飛燕を手にかけた己の愚かさを、涙を流し悔いるヤサカ。だがそんなヤサカに、拳志郎はただ一言告げた。

「さあ、死合おうか!」


[登場した拳法・奥義]
北斗曹家拳(名前のみ)


[原作との比較]
拳志郎とヤサカが寧波に渡るところから、勝負開始まで

●カットされた箇所
・美福庵主、丹陽、胡潤等、原作で寧波に登場したキャラクター、及びエピソードは全てカット
・天授の儀、及び関連するエピソード全て
・北斗神拳の歴代伝承者の回想
・シュケンとヤーマが出合った時の回想
・拳志郎が女人像の腕でヤサカを攻撃するシーン。


●変更された箇所
・ヤサカ、政府軍から奪った船で先に寧波へと渡る(原作では普通の航路船に乗り、拳志郎の後に上陸)
・原作で拳志郎が寧波に渡るのは、仏像を運ぶ船に同行するという形だが、アニメでは自分がヤサカとの決着をつけるためにわざわざ青幇の船を出してもらう。葉と子英も同行する。
・葉と子英は船着場で拳志郎の帰りを待つ
・鎮魂の塔が最初から姿を晒している(原作では女人の像の中から現れる)
・ヤサカが勾玉から見る映像が、原作で拳志郎が見た映像(シュケンの凶行〜狼が赤子に乳をあげるまで)に変更
・ヤーマを追ってきた月氏族の部隊が4人に減っている。(原作は20人超)
・ヤサカが勾玉から記憶を見た後、勝負を申し込むのがヤサカからではなく拳志郎に変わっている

●アニメオリジナル要素
・玉玲やエリカは大切な人を失った悲しみを見せず、気丈に孤児たちの世話をする。葉はお手玉を披露して子供達を和ませる。
・エリカが弱った蝶を手に乗せて祈りを込めると元気にとびたっていく
・紅華会元三番頭田学芳の双子の弟、田楽伝。その舎弟の河馬超というアニメオリジナルのコンビが登場。いつか紅華会を再興するという夢を持っている。
・田楽伝が被る鉄のヅラは兄の遺品。(ただし以前のアニメで田学芳が被っていたのはゴールドだったが、今作ではグレーになっている。)
・ヤサカ、寧波にて北斗曹家拳の星々5人の姿を発見。北斗の関係者であるという理由から因縁をつけ、5人をまとめて抹殺。それを見て田楽伝らは恐れ戦く。(原作の五叉門党のような頭の星は無し)
・崖から身を投げたヤーマが地に激突する前に、白狼が跳躍して背中に乗せる形で受け止める
・勾玉から真実を知ったヤサカが、北斗への怨念が虚構だった事、そしてギーズと飛燕を殺した後悔に咽び泣く。







第八話「宿命の死合い」



[ストーリー]
 恨み続けた北斗の血が己の中に流れていた。その事実に絶望すら覚えるヤサカであったが、その憎しみが拳を磨き上げた事もまた事実。歪められた歴史に翻弄された屈辱、そして怒りを拳に込め、ヤサカは拳志郎との死合いに臨む。

 その頃、上海では、希望の目録を狙うドイツ軍がエリカのもとに迫っていた。エリカを連れて大新世界の中へと逃げ込んだ玉玲は、巧みな銃さばきでドイツ兵を撃退。だが敵の隊長に不覚をとり、追い詰められたその時、突如現れた一人の少年が、玉玲たちを救った。名は霞羅門。拳志郎の弟である彼は、強敵との戦いを求め、上海へと訪れたのであった。父・鉄心の了承を得ずに…。

 互いに奥義を応酬する死闘を繰り広げる拳志郎とヤサカ。だがそのヤサカの表情には、以前のような憎しみは無かった。西斗月拳究極奥義 残狼相雷陣。全身に雷を纏うほどのスピードで飛び交いながら、次々と拳志郎に攻撃を叩き込むヤサカ。だが拳志郎は、最後の一撃を迎撃し、倒れたヤサカに対して言った。死んで罪を償おうなどぬるすぎる!ギーズと飛燕を殺した落とし前として、ヤサカは最初から拳志郎に殺されるつもりであった。だが、飛燕はそれを望んでいなかった。北斗神拳は人を生かす拳。その拳を怒りや憎しみで怪我して欲しくない。それが、拳志郎が朋友と交わした最後の約束なのであった。

 北斗の勾玉にはシュケンの魂が。そしてヤサカの勾玉にはヤーマが。二人が二度と離れることのないよう、勾玉を預かる役目を、拳志郎より託されるヤサカ。だがその前に、ヤサカはエリカに会わねばならなかった。彼女にとっての「父親」である飛燕を殺した罪……その赦しを得られなければ、己に生きる資格はない。自らの生死をエリカに委ねるため、ヤサカは拳志郎とともに上海への帰途につくのだった。

 そんな二人のやり取りを、隣の山から見つめる集団がいた。「ミガドル」なる神を信奉するその者達は、いずれ訪れる北斗の、そしてこの世界の終わりを予見していた。



[登場した拳法・奥義]
・相雷拳
・北斗百裂拳
・西斗月拳究極奥義 残狼相雷陣



[原作との比較]
拳志郎とヤサカの死合い開始から決着まで。ただしバトル内容が増量されているほか、霞羅門が上海に現れるなど、アニメオリジナルの内容がかなり増えている。

●変更された箇所
・ヤサカが拳志郎と闘う理由が、憎しみ続けた北斗の血が自分に流れていたという絶望、そして歪められた歴史によって二千年に渡って翻弄され続けた屈辱、怒りをぶつけるためというものに変更(ただし本心は原作同様死で罪を償うため)
・ヤサカの相雷拳、もはや拳を隠す要素なし

●アニメオリジナル要素
・拳志郎とヤサカの対決内容が増量
・ヤサカが先制攻撃の連続突きで拳志郎の服を切り裂く
・拳志郎、間合いが伸びる一撃で相雷拳と打ち合う。クロスカウンターとなり、両者派手に吹き飛ぶ。
・ヤサカ、拳志郎の北斗百裂拳を掻い潜り、飛燕同様に両脇腹の秘孔を捕らえる。しかし膝蹴りで脱出される。
・ヤサカ、西斗月拳究極奥義 残狼相雷陣を慣行。何度か拳を当てるも、最後の一撃を裏拳でカウンターを取られ敗北。以降は原作の決着後の話へ。

・羅門が上海に現れる
エリカを追ってドイツ軍がやってきたため、玉玲は車を運転して大新世界(廃墟)へと突入。銃で兵士達を倒すも、隊長(橋の上で待ち構えていた隊長)に銃を弾かれピンチに。しかし駆けつけた霞羅門が隊長のマシンガンを蹴り飛ばし、サマーソルトキック→膝蹴りで倒す。羅門が中国に来たのは、なかなか帰ってこない兄を心配してという理由と、中国には強い拳法家がいると聞いていたため。しかし反対する父を押し切ってきたため、玉玲が助けてもらったお礼を添えて手紙を送ることに。そしてその一連の流れを見ていたドイツ兵(シャムラ)は、急いで報告に走る。

・田楽伝と河馬超、上海行きの船に潜り込もうとしている時に葉親子の姿を発見。先刻見かけたヤサカが閻王と敵対していることを知り、紅華会再興のために利用しようと画策する。
・葉と子英、モヤモヤしながら港で拳志郎を待つも、結局我慢できずに寺院へ。到着したとき、既に拳志郎とヤサカは戦いを終え帰途につこうとしている。
・拳志郎らのいる泰聖院を、隣の山から眺める一団が登場。当主であるシメオン・ナギットが、北斗の時代が終わり、ミガドルの世界が訪れることを宣言する。




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