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拳盗捨断
けんとうしゃだん



流派: 北斗神拳
使用: ケンシロウ(対 カイオウ)
登場: 原作(208話)/アニメ版(152話)/
北斗の拳3/北斗の拳4/北斗の拳5/
ONLINE


 「戦場の中では打ち出される拳にこそ隙がある」という考えに基き、敵の拳そのものを破壊することを目的に繰り出す奥義。顔の前で合掌した後、渾身の手刀を振り下ろし、相手のガードを誘う。だが手刀はそのガードを透り抜け、防御した両腕は秘孔によって破壊される。
 ケンシロウカイオウとの戦いの中で使用し、カイオウはそれをとっさにそれを防御しようとしたが、手刀はまるで霞のようにカイオウの拳を透過。その瞬間、秘孔の効果によってカイオウの両手は激しい痛みに包まれて使用不能になった。その後、なんとか力を取り戻さんとするも、力を込めた右腕は逆に折れ曲がり、骨を粉砕された。

 『北斗の拳3』『北斗の拳4』『北斗の拳5』といったRPG作品の中では、敵の命中率を下げる技として登場。ボス戦などにおいて頼りになる存在となっている。4では主人公リュウリュードといった拳士たちが使用可能となっている。

 『北斗の拳ONLINE』の中では単なる攻撃技になってしまっており、岩山両斬波のように頭部へと振り下ろしていた。



 シャチはカイゼルとの闘いにおいてこう口にした。「油断すれば不意の攻めに無防備な受けの構えに転じスキを作る!」。これを実践し、シャチはカイゼルの古傷を狙うことで隙を作り出し、それを勝利へと結びつけた。拳盗捨断のくだりもこれと同じだ。なかばヤケクソぎみに殴りかかってきたカイオウに対し、ケンシロウは「喝!」と合掌した後に渾身の手刀を繰り出した。ただでさえ後出しという不利な条件であるのに、「喝!」なんて余計な動作を挟むのは全く意味が無いように思えるが、おそらくこれが拳盗捨断の肝なのだろう。「喝」は禅宗において、僧侶が声がかすれるほどの大声で相手を叱るときに用いる叱声である。ただでさえ追い詰められた状況にあったカイオウは、この声で威嚇されたことで完全に萎縮してしまった。その次のコマでケンシロウが手刀を繰り出した際、あのカイオウの巨体がケンシロウより小さくなってしまっているのが良い証拠である。その結果、先に攻撃を出していたにも関わらず、カイオウは防御体制をとった。いや、とらされたのだ。相手の全身が急所である北斗神拳にとって、その十字受けは無防備も同然。ケンシロウは余裕をもってその動かぬ的に秘孔を突いたことだろう。戦いの中で秘孔が突けぬなら、相手を誘導して好機を作り出せばいい。己より強い男達との闘いを潜り抜けてきたケンシロウだからこそ可能な、熟練の技なのである。