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天破の構え
てんはのかまえ



流派: 北斗神拳
使用: ケンシロウ(対 サウザー)
登場: 北斗の拳(96話)/アニメ版(68話)/
蒼天の拳/ラオウ伝殉愛の章/PS版/
審判の双蒼星/北斗が如く


 天乱れた時、天の守護神である北斗七星が天をも破るといわれる北斗神拳究極の秘奥義。南斗鳳凰拳の秘奥義である天翔十字鳳を使ってきたサウザーに対し、その礼に応えんとケンシロウが使用した。ケンシロウはこの後に奥義・天破活殺を使用しているが、この構えと関係があるのかは不明。

 『蒼天の拳』では、月氏族の墓である西域の仏塔の地下に、この構えをとる巨大な像が、置かれていた。この事から、もともとは西斗月拳に伝えられる奥義であったと考えられる。

 『北斗の拳 審判の双蒼星 拳豪列伝』では、自らの攻撃力を一定時間アップさせると共に、次の攻撃に相手の星を一つ減らせる効果を与える技として登場していた。




 正直、何のための構えなのかよくわからない。 「天の守護神である北斗七星が、天乱れた時、天をも破るといわれる北斗神拳究極の秘奥義」と言われても、という感じである。
 この構えの直後に天破活殺を使用していること、更にはどちらも「天破」がつくという点から、天破活殺と連動した奥義とも考えられるが、どうやら違うようだ。そもそも構えの状態から天破活殺を撃っているわけではないし、蒼天の拳では構えすらとらずに天破活殺を使っていた。この事から、直接的な因果関係は認められない。

 私が思うに、この構えの秘密を解く鍵は、天破活殺という奥義の難度の高さにあると思う。ケンシロウはサウザーに天破活殺を命中させたわけだが、あれは奇跡に近い出来事だったのではないか。闘気を秘孔に狙って飛ばすだけでも凄いのに、それを戦闘中の相手に向けてやるのだ。激しく動き回る相手の身体にある豆粒程度の目印に命中させねばならないわけである。しかも相手は南斗最強の男であり、更にその男が誇る最強の回避技を繰り出している真っ最中。しかもあの戦いでいうなら7発同時に当てなくてはならなかった。こんな芸当、デューク東郷でも無理だろう。そんな中でもケンシロウが天破活殺を成功させることができた理由、それこそが天破の構えという秘奥義にあるのではないか。
 優れた狙撃手に求められるもの、それはなんといっても集中力である。天破活殺の真髄がその延長線上に在るとするなら、天破の構えとは人間の潜在能力を全て引き出して行う極限のコンセントレーションなのではないだろうか。狙った箇所に正確に闘気を飛ばすための集中力。戦う相手の先の動きを正確に読む集中力。そして自らが飛ばした闘気弾が、動いた先の相手に着弾する箇所が正確に秘孔になるよう計算するための集中力。通常の脳ではとても成しえないその膨大な情報処理を、一瞬でやってのけるために必要なスパコンを起動させること。それこそが天破の構えという奥義の正体なのではないかと思う。

 無論、その能力は天破活殺の時に限らずに威を発揮するだろう。これを使えばどんな相手だろうと動きがスローモーに見えるも同然であり、戦いはグッと楽になる事請け合いだ。だがスパコンが膨大な電力を必要とするように、その消費エネルギーも半端ではないはず。かつて己に辛酸を舐めさせた南斗最強の男が、今まさに秘奥義を繰り出そうとしているという緊迫状況だったからこそ使用したのであり、常時使うにはあまりにもリスクの高い奥義であるが故に、「秘奥義」とされているのだろう。