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[第132話]
問答無用の男達!
遂に荒野の七人がケンを襲う!!


 羅将ハンを倒した男として、ケンシロウの名は既に修羅達の間に広まっていた。郡将ギャモンもまた、空白となった羅将の地位を狙い、ケンシロウ抹殺を企む修羅の一人であった。苦労しないで勝つ。その信念に従い、ギャモンが目をつけたのは、あのロックであった。部下に近くの村を襲うよう命じた、ギャモンの真意とは・・・

 愛馬の手入れをするロック達に駆け寄ってきたのは、先日ロックに助けられた少年ヨハンであった。彼もまた男として、ラオウの軍への入団を希望しに来たのである。しかし彼は闘うには余りにも幼すぎた。お前が死ねば、おまえのお袋が哀しむ。自らのその言葉を、ロックはかつての体験から身にしみて感じていた。その時、一同のもとに緊急の知らせが入れられた。西の砂漠にある村が、修羅達に襲われたのだという。急いで現場へと馬を走らせるロック達であったが・・・

 人影どころか死体すら見当たらぬその村の様子に、異様さをおぼえるロック達。その時、飛来した毒針がロックの頭をかすめた。ロックが見やったその先にあったのは、崖の上に姿を現したギャモン一味と、捕らえられた村人達の姿であった。ロック達を従わせるため、ギャモンは村人を人質にとったのである。ギャモンが提示した解放条件。それは、ケンシロウの抹殺であった。一日という期限をつけ、ギャモン達は砂嵐と共に退散。だが、ロックに然程動揺はなかった。ケンシロウはもともとこの国に来るべき人間ではなかった。そう考えるロックにとって、人質とケンシロウの命など、比べるまでも無かった。

 とある峡谷にケンの姿はあった。人質救出に燃えるロック達の攻撃に、容赦は無かった。爆撃や罠で崖際へと追い込んだケンに、とどめのナイフ攻撃で襲い掛かるロック。しかし、彼にはケンの動きを捉えることは出来なかった。だが、ケンにロックを殺すつもりは無かった。ロックの目にあるのが殺気ではなく、哀しみである事を、ケンは見抜いていたのである。しかし、ロックは引くわけにはいかなかった。ケンが崖を下り降りた瞬間、峡谷にロックの指笛が響かせた。それは、谷底のケンに向かい大岩を落とさせるための合図であった。無数に積み重なった岩を見て、勝利を確信するロック達。その模様を、ギャモン達もまた見つめていた。約束どおり村人達を返す。そう語るギャモンは、ロック達連れて秘密の砦へと向けて進み始めた。その場に残されたのは、ケンの死体確認に残された修羅二人と、ロックのあとをつけてきたヨハンの三人であった。

 砦に着いた途端ロック達は殺される。そう話す修羅達の声を耳にしたヨハンは、急いでロック達の後を追おうとする。しかし、転倒したヨハンが落とした竹槍は、派手な音を上げ、修羅達を振り向かせた。秘密を知ってしまったそのヨハンを、じわじわいたぶりながら殺そうとする修羅達。しかし彼等が止めの刃を振り上げた瞬間、その身体は断末魔と共に消滅した。やはりケンは死んでなどいなかったのである。ロックの意志になぞらい、ケンに向け竹槍を構えるヨハンであったが・・・

 ヨハンは知らぬ間に気を失っていた。目覚めたときそこにあったのは、自らを手当てをするケンシロウの姿であった。しかし、ヨハンはそれでもケンシロウを認めるわけにはいかなかった。崇拝するロックがケンを敵視する以上、ヨハンにとってもケンは敵だったのである。ヨハンは知っていた。ロックがこの国を憂い、闘い続ける理由。その切欠となった日の出来事を・・・

 数年前、まだ若さの残るロックのもとを訪れたのは、修練場から逃げ出してきた少年であった。修羅の道に耐え切れず、村へと逃げてきたのである。だがその時、追っ手である巨漢の修羅が、二人の前へと姿を現した。修羅の前に立ちはだかり、ロックは言い放った。自分達は戦わないことに誇りを持っている。戦わないほうが立派なのだと。だがその言葉は仇となった。ロックをかばうように現れた母親を、修羅は突如槍で貫いた。母を殺して怒らせる事で、戦いを否定したロックに剣を握らせようとしたのである。しかし、それでもロックは動かなかった。己を腰抜け呼ばわりし、悠々と少年を連れ帰っていく修羅の背を、ロックは悔しさを堪え見つめていた。だがその時、ロックは誓った。いつかこの手で修羅の国を覆す。伝説のラオウが訪れたその時、己の剣をこの国のために振るうことを。

 ヨハンにとってロックは、この国に残された最後の希望であった。ロックが死んだとき、この国の未来も閉ざされる。そのためにもヨハンは、今すぐにでもロック達の後を追わねばならなかった。しかし、ロックを死なせてはならないという思いは、ケンもまたおなじであった。

 ギャモンの砦に着いたロック達は、その周囲を円状の鉄柵に覆われていた。まず逃げ道を奪い、中で全員を取り囲んで抹殺する。それがギャモンの用意した罠だったのである。しかし、ロックとてギャモンの言葉を信用していたわけではなかった。いつの間にかその鉄柵の向こう側は、弓を構えた村人達によって取り囲まれていた。ロックには、常に彼を支持する民衆の力がついていたのだ。だがギャモンにとって、彼等は戦いを拒んできた無力な存在でしかなかった。彼の尾から放たれた無数の毒針は、援軍達を一瞬にして葬り去ったのであった。一気に勝負をつけんとするギャモンは、部下達による奥義・呪龍羅斬陣を発動。連続する肩車により、巨大なムカデと化した修羅達の刃が、村人達を襲う。もはやロックは、これ以上村人達に血させるわけにはいかなかった。俺ひとりの命で許してくれ。そう言って頭を下げたロックであったが、ギャモンはそのような約束を守るような男ではなかった。捕らえられたロックに修羅の刃が迫る。だが次の瞬間、その修羅は横っ面を蹴り飛ばされていた。巨大ムカデを一撃で地に伏させたその男は、ロック達が殺したはずのケンシロウであった。四方を取り囲む呪龍羅斬陣を旋風脚で一掃したケンは、残されたギャモンと対峙。全身に生やした毒針を一斉に飛ばす奥義、剛牙鉄条刺を繰り出すギャモンであったが、ケンの闘気をそれを全て止め、そして跳ね返した。自らの毒針に全身を突き刺した後、ギャモンはその身を崩壊させたのであった。

 礼を言ってきたロックに対し、ケンは言った。村人達のためにも、そして土に染み込んだ母の血のためにも、お前は死んではならないのだと。去り行くそのケンの背に、ロックはやっと己の進むべき道を見出していた。帰る途中、出会ったヨハンから事情を聞いたロックは、更にその確信を強めた。ラオウ伝説を継ぐのは自分ではない。ケンシロウであるという事を。
放映日:87年9月24日


[漫画版との違い]
・呪龍羅斬陣が登場する以外は全てアニメオリジナル
・呪龍羅斬陣を使うのが、カイオウ滅殺隊から、ギャモン配下に変更。旋風脚で倒された後に粘りを見せるソーンは削除。


・村人になれば戦わなくたっていいんだぞ
ってロックさんはいってますが、え・・・・そうなんですか?
この国の男児は15歳になったら修羅を目指さなきゃだめなんじゃ・・・
んー、
村人になるにはチ○コ切らなきゃだめとか、そういうのなのかな・・・
・デコ助野郎
ケンに助けられた瞬間から「さん」付けにする、超わかりやすい男ロック。
しかしまだ
「様」じゃない分、ラオウ様よりは評価は下・・・なのかしら。


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