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カサンドラ編
(52話〜60話)

 ケンのために各地で情報を集めたマミヤは、トキがカサンドラなる場所に捕らえられていることを突き止める。そこは、かつて鬼と恐れられた凶悪犯達が収監された監獄であり、出獄を乞う囚人たちの慟哭が響き渡る事から、「鬼の哭く街」とも呼ばれる死封の監獄島であった。だが、そこがどんな不落の監獄であろうと、ケンシロウはどうしてもトキに会わねばならなかった。本来、北斗神拳の伝承者となるのはトキの予定であった。だが核戦争が起こったあの日・・・ケンシロウとユリアを庇ってシェルターの外に残ったトキは、死の灰によって病を負い、伝承者への道を断念することとなったのであった。

 カサンドラの主門の前でケンシロウ達に立ち塞がったのは、ライガ・フウガの兄弟であった。二身一体の拳、二神風雷拳で襲い掛かってきた二人を制したケンシロウは、その瞳に宿る哀しみを見抜く。彼らは、弟ミツを人質にとられて従わされていたのだった。この男なら不落のカサンドラ伝説を破れるかもしれない。そう感じた二人は、閉ざされた門を力で押し開け、ケンシロウの為に道を開いたのだった。

 囚人たちの担ぐ神輿にのって現れた、白い髭の巨漢の男。彼こそがこの監獄の獄長ウイグルであり、不落のカサンドラ伝説を作り上げた張本人であった。泰山流の鞭術を繰り出すウイグルと互角以上に渡り合うケン。しかし数十本の鞭を絡められ動きを封じられたケンは、強力無比な体当たり・蒙古覇極道を受け、大ダメージを負ってしまう。しかし、再び繰り出された覇極道を、今度は指六本で受け止めてみせたケンシロウは、そのまま北斗鋼裂把で肩の筋を引き裂き、勝負を決したのだった。無数の拳を叩き込まれ、ふっとばされたウイグルは、ケンシロウのために掘った墓穴の中に小さく畳まれるようにして死亡したのであった。

 カサンドラが陥落したことで、囚人達の嘆きの声は歓びの声へと変わった。だが、ある男達の登場によって、歓声はすぐに絶望へと変わった。拳王親衛隊。彼らは、世紀末覇者を名乗るこの世の支配者「拳王」の近衛兵であり、このカサンドラがまだ拳王の支配下にあるという事を囚人たち知らしめる存在なのであった。彼らの目的は、トキの牢への道を塞ぐこと。そう察したライガとフウガは、ルートの確保に向けていち早く走り出す。だが既にその行く手には、拳王親衛隊が仕掛けた罠が待ち受けていた。後を追ったケンたちが目にしたもの・・・・それは、巨大な石塊を支えながら絶命した二人の姿であった。己の為に命を捨ててまで通路を護った二人の死に様に、ケンシロウは涙するのだった。

 監獄塔に立ち塞がる拳王親衛隊を蹴散らし、遂にケン達はトキと再会する。北斗有情拳―――。自らに剣を振り下ろしてきた男達に対し、トキが放ったその拳は、痛みを感じることなく、死ぬ間際に天国を見るという奥義であった。だが、トキの体を蝕む病は、確実に彼の命を削っていた。故にトキは、このカサンドラにてケンシロウが来るのを待ち続けていたのだった。そしてもうひとつ、トキがケンシロウに見せたかったのは、カサンドラに染み付いた多くの血の跡であった。それは、拳王の為に殺された武道家やその家族の血・・・・。拳王の暴虐を止めぬ限り、人々の哭き声が止む事が無い事を、ケンシロウは知っていた。そしてその拳王の正体が、己の兄・ラオウであるということも。



・カサンドラの変移
ラオウ外伝によると、カサンドラは十数年前に龍帝アモンが作った要塞都市であるらしい。しかし敷地内にある高層ビル群はどう見てもオフィス街の跡であり、軍閥が作った物とは思えない。この世界は核の炎以前から各地で紛争が起きており、あの土地は既に廃墟と化していたのだろう。そこをアモンが占拠し、中央の高層塔と円状の壁を築いて要塞都市とした。その後、ラオウ達がアモンを倒し、不落の要塞は不落の監獄へと生まれ変わり、鬼の哭く街と呼ばれるようになった・・・という感じだろう。アモン時代より壁が5倍くらい高くなっているので、そこも増設したものと思われる。
・シェルター
ケン、トキ、ユリアがシェルターに駆けつけたとき、中は既に避難した子供たちでスシ詰め。そして中の女性は言った。「ここはもうひとり・・・いえ・・・どうつめてもふたりまでです!」。結果、トキはケンとユリアを中へと押し込み、自らは外に残って死の灰を浴びることとなった。しかし描写を見る限りでは、まだスペースに余裕があるようにみえる。というか天井が高いのだから、子供を肩車すれば良かったのではないか、と人は言う。
しかし、多くの人は勘違いをしている。
ケン達が入ったのはシェルターではない。シェルターへと通じる巨大エレベーターなのだ。核シェルターは普通地下深くに作られるものであり、あそこに居た人々は、これからそのフロアへと降りていく所だったのである。その場合、「どう詰めても2人まで」という台詞と矛盾するように思えるが、それは先入観が生んだ誤解である。よく見ると、女性は「どうつめても」と、平仮名で言っている。彼女が言ったのは「詰めても」ではなく、「積めても」だったのだ。つまりあと大人2人分の積載量が限界だと彼女は言っていたのである。
もう一つ、あそこがシェルターではないという根拠としては、あの空間が狭すぎるという事である。ケン達は2週間シェルターの中で過ごした。もしケン達が入った
あの部屋がシェルターの中なのだとすれば、中にいた人たちは2週間ずっと立ちっぱなしで過ごした事になる。描写を見る限り、避難していたのは大半が幼い子供であった。とてもそんな過酷な生活に2週間も耐えられようはずがない。つまり彼らはあそこで2週間を耐えたのではなく、エレベーターで行った先のもっと広いフロアに避難していたと考えるの妥当なのだ。
3つ目の根拠は、トキがあの場所で被爆していたことである。通常、核シェルターというものは二重三重の扉になっているものだ。ということは、
トキが閉めた扉の先にも最低もう1つは扉があり、その先がシェルターでないとおかしいのである。
・ライガ・フウガの見分け方
アゴにヒゲがあるほうがフウガです。
アニメではパンツが紺色がライガ、深草色がフウガです。

【TVアニメ版での主な変更点】
アミバ撃破後、一旦マミヤの村へと戻る(リンやバットを送り届けるため?)
トキの行方を追うマミヤが、奇跡の村の生き残りである占い師の老婆から情報を得るシーンが追加
崇山通臂拳の男は、原作では拳王に極意書を取られた後に妻子もろとも獄中死するが、アニメではウイグルに極意書を奪われた後、ターゲルと戦って殺される。
カサンドラへと向かうケンシロウ達に対し、蘭山紅拳のベラ、黒掌十字拳のターゲル、カサンドラ襲撃隊といった刺客たちが差し向けられる。
ライガ・フウガがケンシロウ達についた事で、ミツが見せしめに殺されるというストーリーに変更
ウイグルの体重が350kgから500kgに変更
広場にて、拳王親衛隊と、ケン達+囚人たちが激しく戦うシーンが追加
ライガフウガの師・ソウジンが登場。拳王側につくが、ライガ達と戦い敗北する。
トキと再会した後、監獄棟が崩壊しはじめ、立ち塞がる拳王決死隊を蹴散らしながら脱出するというシーンが追加。
ライガ・フウガは、原作ではトキの牢への道を守り岩を支えるが、アニメでは監獄塔からの脱出口を守る為に岩を支える。また、彼らを殺すのも拳王親衛隊から拳王決死隊のブルグに変更されている。


≪アミバ編 拳王侵攻隊編