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北斗有情破顔拳
ほくとうじょうはがんけん



流派: 北斗神拳
使用: ・トキ(対 拳王親衛隊)
 …北斗の拳(60話) アニメ版(42話)

・トキ(対 聖帝軍)
 …アニメ版(66話)
登場: 北斗の拳/アニメ版/審判の双蒼星/北斗無双/
真北斗無双/北斗が如く/リバイブ


 相手に痛みを感じさせず、死ぬ間際に天国を見せながら爆死させる奥義。かざした手刀から気を放ち、触れずして秘孔牽正を突くことで効果が発動。拳を受けた者は、手足の関節が本来とは逆の方向に曲がっていくが、全く痛みを感じることはなく、むしろ例えようの無い快感に包まれながらその身を破裂させる。トキ拳王親衛隊の二人に対して使用した。

 この奥義を使用したとき、トキはこれを「北斗有情拳」と言っているのに対し、ケンシロウは「北斗有情破顔拳」と呼んでいる。単にトキが略して言っただけで同じ奥義であるという可能性もあるが、「北斗有情断迅拳」や「北斗有情猛翔破」のように、他にも有情拳からの派生技が存在している事を考えると、北斗有情破顔拳もこれらと同様、「北斗有情拳」というカテゴリに属する技の一つではないかと考えられる。

 TVアニメ版では、ザク率いる聖帝軍のバイク部隊に対しても使用。有情断迅拳のように、敵の横を高速で駆け抜けるようにして秘孔を突き、バイクにのったまま爆死させた。

 『北斗が如く』では、トキの修行を受けることでケンシロウでも使用可能に。原作同様、左右の敵に闘気波を飛ばして秘孔を突く。ケンシロウとの戦いでトキも使用してくるが、この時は横に手刀を振って闘気を飛ばすというスタイルになっている。




 北斗神拳には、死ぬ間際になっても痛みを感じないという技はよくある。牙大王の時のケンの台詞から、それは既に肉体が死に始めているからだということがわかる。つまり秘孔によって、神経細胞がすでに壊されているのだ。だが、トキの場合はそれが当てはまらない。快楽を感じているからだ。神経がなければ、快楽は感じない。つまり、ケン達の拳は「死ぬ間際に神経を破壊して痛みを感じなくなる」が、トキの拳は「神経が残っているのに腕が逆に曲がっていっても快楽を感じる」のである。どう考えても後者のほうが難易度は高い。それを易々とやってのけるのが、トキという男の天賦の才なのであろう。

 おそらくトキの拳の秘密は、エンドルフィンや脳内モルヒネといったものにあるのだろう。痛みをも上回る異常な量の脳内麻薬を分泌させることによって、極楽浄土を味あわせているのだ。トキは、伝承者決定後も医療の道を進んでいた。人体を治すための経絡秘孔に関しては、誰よりも優れているのは明白だ。そして、医療といえば欠かせないのが麻薬。だが当然こんな世に医療用麻薬など十分にあるはずもない。秘孔ではどうにもできない治療のとき、患者は激痛を伴う治療を余儀なくされる。それを補うためにトキが編み出し、会得したのが、有情拳のルーツである、異常な脳内麻薬の分泌を可能とした秘孔術なのではないだろうか。有情拳で葬られる悪党達もまた、邪な生から解放されたトキの患者たちなのである。