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レイア



登場:原作(169〜200話)TVアニメ版(126〜148話)
肩書:シャチの恋人 愛の伝道士
CV:勝生真沙子(TVアニメ版)
   佐藤朱(真北斗無双)
   古川貴子(DD北斗の拳2)

 修羅の国で密かに私塾を開き、子供達に愛を説いている女。シャチの恋人。タオの姉。

 かつて国に置き去りにされたシャチと出会い、恋仲に。いつかは国を出て行くシャチのために船を造り、その船出を見送ったが、シャチが己との愛を選んだため、二人でこの国で生きていくことを決めた。だがその後、シャチは北斗琉拳によって羅刹へと変貌。タオが連れてきた北斗の拳士・ケンシロウに、シャチを倒すよう依頼したが、まだ愛を捨てることは無いとケンに諭された。

 ラオウ襲来を告げる赤い水を見て、ジュウケイの元を訪問。ケンとヒョウの兄弟対決を止めるよう命じられ、再会したシャチにその事を告げた。その後、リンと共に村へと帰ろうとするが、突如現れたカイオウにリンが連れ去られてしまったため、その事をケン達に報告した。

 ヒョウの記憶が戻った後、シャチと合流し、共に泰聖殿へ。しかし既にカイオウによって待ち伏せられており、シャチはカイオウの攻撃によって瀕死に。だが、シャチを助けたいという願いが女人像に届き、北斗宗家の霊をシャチに乗り移らせるという奇跡を起こした。その後、恋人の最期を看取った後、ケンが北斗宗家の封印を解く瞬間を見届けた。


 TVアニメ版では、原作でのシャチとの再会シーンは無し。かわりに村が反乱分子狩りに遭い、その際にボロに扮したシャチの手引きをうけ、ジュウケイのもとへと避難させられた。しかしこの時、ボロの正体がシャチであることを見抜いており、彼の狂気が偽りの仮面である事を知った。
 また、ジュウケイの弔中に赤鯱と出会い、共にカイオウの城へと赴くというシーンも追加。そこでシャチと改めて再会を果たしたが、自分がいてはカイオウから逃げ切れないと考え、イカダに乗らずにシャチを見送った。
 またヒョウの記憶が戻った後、シャチがカイオウに狙われていることを伝えるため、単身彷徨った挙句に砂漠で行き倒れてしまうというシーンが追加。その他、原作でラストバトル時にケンがつけているプロテクターが、レイアがシャチのために作ったものだという設定が加えられた




 シャチの彼女としてのポジションであるレイアさん。愛を失った国で愛を説き続け、結果最後は愛こそが最強である事が証明されたという、本来なら修羅の国編でのキーマンになりえた存在だ。しかしその割には残念ながらそれほど目立つことは出来なかった。もっとジュウケイから愛の布教活動への後押し的な発言があったりだとか、シャチに最後の力を与えたのがレイアの愛の力だとかいうのが強く描写されていたなら、もう少し人気を博していたかもしれない。あと、年齢の割りに若干フケ気味な容姿も原因の一つにあると思う。この時代にどうやってそんな完璧なソバージュヘアーを作り上げているのか。
 そういえばその昔、北斗を知らない知人がカイゼル編辺りをサッと目を通した後に感想を聞いたら、シャチとリン、そしてケンシロウとレイアがカップル同士なのだと勘違いしていた。どうやら見た目の年齢的にはそちらのほうが自然だったらしい。確かに私も先入観なしでこの四者をくっつけるとそうなるかもなあ、とその時納得したのを覚えている。

 まあ容姿や人気はどうでもいいとして、彼女が行ってきた偉業といえば、世紀末の世に愛を説くという事。しかしこれは、リンやユリアだって行動で示してきた事でもある。殊更特筆すべきことでもないように思えるのだが、レイアの場合は環境が違う。シャチも失い、頼る者もいない中、異教とされている教えを説くという、まさに死と隣り合わせの行為なのだ。実際既に一度それで修羅に殺されかけているというのに、それでも挫けることなく己の信念を貫き続けるその胆力たるや、他のキャラクター達の比ではない。
 だが、彼女を突き動かしていたのは本当に愛を説きたいという気持ちだけなのだろうか。ボロの言うとおりこの国では、レイアがいくら愛を説いたところで誰にも届かず、届いたところでママルやモリのように無抵抗のままいたぶられるのが現実。また、シャチが悪魔へと変わったことで、己自身の愛は失われかけていた。この国の未来、シャチの心、いずれも希望は見えず、己の手で変えることも出来ないであろうことを悟ったレイアは、いつか見付かって殺されるその日まで、己の命を省みることなく愛を説こうと決めたんじゃないだろうか。つまりレイアを支えていたのは信念ではなく、絶望から生まれた捨て鉢の精神。死を覚悟することを通り越し、死を受け入れたが故に、あんな薄氷を渡るような行為も平然と行えていたんじゃないだろうか。
 よく考えてみると、彼女はその私塾以外にも危うい行為を幾度も行っている。タオと二人でヒョウの城に特攻してみたり、ジュウケイの弔いのために無防備なまま川を下ったり(その後修羅に絡まれる)、アニメではカイオウがシャチを探しているという事を伝えるためだけに荒野を彷徨いまくって行き倒れていた。流石のリンも、此処が修羅の国だという事を考えればこれほどアクティブに動けるかどうか。うーむ・・・もしかしたらただ単に危険かどうかを判断する思考回路が壊れている天然さんなのかも・・・。