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ハーン兄弟
(バズ・ハーン & ギル・ハーン)



登場:バズ…北斗の拳(145〜148話) TVアニメ版(114〜116話)
   ギル…北斗の拳(145〜160話) TVアニメ版(114〜116話)
   パンチマニア2、真・北斗無双、リバイブ 他
肩書:ハーン兄弟
流派:南斗双鷹拳
CV:バズ/郷里大輔(Tvアニメ版)
      荒井聡太(真北斗無双)
      藤原貴弘(リバイブ)
   ギル/島香裕(TVアニメ版)
      馬場圭介(真北斗無双)
      こばたけまさふみ(リバイブ)

 「ハーン兄弟」と呼ばれる二人。兄がバズ(画像左)、弟がギル(画像右)。二人で協力して戦う南斗双鷹拳の伝承者。

 かつて帝都に逆らった事で中央反逆罪に問われ、ファルコと戦い敗北。アインによって身柄を帝都へと送られ、A級反逆者収容所にある地下の特別房にて、水滴の拷問に処された。その後、天帝軍に対抗するための人材として、ケンシロウとアインがスカウトに訪問。救出された後、アインに復讐しようとしたが、ケンが北斗神拳伝承者である事を知り、協力する道を選んだ。

 北斗の軍を追い詰めたファルコ達の前に、不発弾を持って参上。己達が南斗双鷹拳の伝承者である事を明かし、ファルコに殺された他の南斗の者達の仇をとるため、改めてファルコに勝負を申し込んだ。だが奥義双羽落爪破も通用せず、闘気弾で撃ち落とされ敗北。致命傷を負ってしまったバズは、ギルを残し、不発弾で自爆した。

 残されたギルは、その後、バット等の北斗の軍に合流。中央帝都でのケンシロウとファルコの闘いを見届け、アインの死に涙した。



 TVアニメ版では、地下牢に訪れたのがケン達ではなく、バットだったため、コンクリ詰めのままひきずられていくという話に変更。後に北斗の軍がファルコに追い詰められた際、バット達を救うという約束で、ダイナマイトを使ってコンクリから脱出した。アニメではアインとの絡みは一切無い。
 ファルコ戦においては、結局バズは不発弾を爆発させることが出来ぬまま、全身に槍を受け絶命してしまう。その後、原作では生き残るはずのギルが、代わりに爆破させるというエピソードに変えられた。
 補足として、アニメでは「前科750犯」という経歴が加えられている。





モデルはアメリカプロレスで一世風靡したコンビ、ロード=ウォリアーズ。然程プロレスに詳しくない管理人が、つい最近まで佐々木健介が参加していた新日のコンビ、ヘル・レイザーズと勘違いしていた事は内緒だ。彼らの必殺技であるダブルインパクトは、片方がトップロープに登り、もう片方がそれを肩車し、その上段の方が飛び降りざまに相手にラリアットをかますという、「肩車になんの意味があんねん」とツッコまざるをえない技なのだが、それはハーン兄弟にも双羽落爪破という形で伝承されている。

 兄の名は、原作での登場時は「バズ」で、後半は全て「ハズ」になった。どっちなんだと混乱する声は多かったが、自分の中ではアニメではハズで統一されていたし、「ハズ」でいいんじゃないかという見解になっていたのだが、近年発売された北斗の拳完全版では全て「バズ」で統一されていた。というわけで、バズということにしておきます。
 TVアニメのキャラクター設定図にはケンシロウとの身長対比図があり、ケンの身長を公式設定の185cmとして計算すると、バズの身長は約227cmということになる(フドウが公式で225cmなのでデカすぎる)。


 弟のギルは、アニメでは見事な自爆を遂げた。原作では生きながらえたものの、特に何をするわけでもなく、その実力をまったく披露することなくダラダラと出演する。これはスルーされがちだが、北斗の拳では可也ありえないことだ。用の済んだ拳法家はおしなべて死ぬのが北斗の拳の定石だからである。原作のみならず、アニメを見回しても、カイオウ編終了までに生き残った拳法家などケン、リハクのみだ。そのなかにギルが入るのである。これは異常としか言いようが無い。しかもこの後になにか出番があるわけでもない。アインの遺体に膝枕してみたり、「ふぐっ」と泣いてみただけだ。一緒に帝都に入って大岩を支えて死ぬとか、ファルコをかばって矢に突き刺さるとか、いろいろ死ねるタイミングもあったと思うのだが・・・。それを考えると、アニメでは本当にキレイに殺してもらえてよかったと思う。彼もまたアニメで華開いた一人だといえよう。ただ、彼らのモデルとなったロード=ウォリアーズが、ハズのモデルであるホーク・ウォリアーのほうだけ死んでいることを考えると、ハズだけ生き残っているというほうがマッチしてて良い感じではあるが・・・。 


〜常日頃から修行を怠らなかった努力の二人〜

 ファルコにはあっさり敗北したものの、アニメやその他外伝を含めても六聖拳以外では可也まともなほうの南斗聖拳の使い手であり、五車星辺りとであればまともに戦えそうなほどの実力を感じさせる二人。なのにアインは、個々の力ではオレと五分だという。本当か?本当なのか?おまえそんなに強かったっけ?ベジ&ギジの南斗双斬拳もそうであるように、南斗にはコンビ技を特化させた流派があり、コンビになればその実力は数倍に跳ね上がるのだろうか。しかしそうでもないようだ。アインは、「力を合わせれば俺の倍になる」と言っている。単純に1+1=2になるんだったら普通じゃねえか・・・と思ったのは私だけではないだろう。うーむ、アインは自己評価が高すぎるために、正確な強さの判断が出来ていないのだろうか。

 しかし、案外そうとも限らない。どうもハーン兄弟は、普段は南斗聖拳の使用を控えているような節があるのだ。確かに南斗聖拳抜きでの筋力勝負であれば、アインと互角の可能性もある。

 他の南斗とハーン兄弟には大きな違いがある。それは殺されていない事だ。彼等は何故コンクリ詰めという地獄の中とはいえ、生かされていたのだろう。それはおそらく、彼らハーン兄弟は普段から南斗聖拳を使用していなかったからだと思われる。ファルコも、あの南斗の旗を見せられるまで、彼らが南斗聖拳の使い手であることを知らなかった。彼らと一度戦っているにもかかわらずにである。ファルコクラスの達人であれば、少し戦っただけで彼らが南斗聖拳の使い手であることなど用意に見抜けたはず。なのに知らなかったということは、ハーン兄弟がファルコとの戦いにおいても南斗聖拳の使用を控えたからだという事に他ならない。故に彼等は、「天帝に反逆した南斗」として処刑される事なく、「天帝に反逆した賊」として捕らえられたのだ。いずれはあのゲイラの郡都の囚人達のように、釈放を餌に天帝軍の戦力として利用するために生かされていたのではないかと思われる。

 彼らが南斗聖拳を使っていなかった理由、それは自らに枷をつけることで、戦いに緊張感をもたらすためであったのではないかと思う。南斗聖拳を使えば、天帝軍の雑兵など彼らにとってはゴミ同然。なんの手ごたえも無い。だからあえて南斗聖拳を封じることで敵にハンデを与え、実践の中で修行を行っていたのではないか。しかし、ファルコを相手にしてもその枷をはずさなかったために、本気を出す暇も無く勝負は一瞬にして決着。それが幸か不幸か、彼らが南斗の拳士であることを隠す結果となり、殺されずにすんだというわけだ。その本気を出すまえにやられた二人の姿を見て、アインは彼らが己と同じくらいの強さだと判断したのであろう。

 南斗聖拳を会得しただけでは満足せず、さらに強くなるための努力を欠かさないその向上心。その向上心が生んだ生存への運。水滴拷問にも耐える精神に、あれだけコンクリ詰めされていたのに衰えを見せない筋肉。ジャンケンに負けた者を眠らした上で死地へ赴くその漢気に、自らの拳である南斗への絶対の誇り。そして信念で結ばれた兄弟愛。まさに欠点の無い完璧なブラザーズである。どっかの監獄の双子とはえらい違いだぜ!