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希望の目録
きぼうのもくろく




 『蒼天の拳』の中に登場した、一冊の書籍。ドイツのユダヤ人が、ナチスの強奪から逃れるために隠した2万点に及ぶ美術品の在り処が記されている。もしユダヤ人がナチスに殺されるような事があれば、信頼に足る人物にこれが渡り、ユダヤの国を建設するために役立ててほしいという希望が託されている。だが美術品のコレクターであるヒトラーは、総統美術館の建設に向けてこの目録を血眼になって探しており、数多くの刺客を送り込んでそれを奪おうとしている。

 目録はとある一家に託され、ドイツ国外へ持ち出されたが、一家はモスクワにて惨殺され、ただ一人、幼い少女であるエリカ・アレントだけが生き残った。その後、目録の護衛を仕事として請け負った流飛燕は、目録とエリカをモスクワからハルピンへと護送。到着後、本とエリカはユダヤ人協会のレビ博士へと渡されたが、ナチスの刺客によってすぐにレビが殺されてしまったため、このままでは守りきれないと考えたユダヤ人協会は、上海にいるシャルル・ド・ギーズ大佐の手に目録を託そうとした。だがその時既に目録の中身は料理のレシピ本にすりかえられており、ユダヤ人達は流飛燕がこれを奪ったものと疑うも、実際は本はこの世には存在しておらず、目録の中身は直観像記憶の能力を持つエリカ・アレントの頭の中に全て収められていることが明らかとなった。

 自身が「希望の目録」となったエリカは、ギーズに預けられるために流飛燕と上海を訪問するも、ギーズにはエリカを守りきれる力無しと判断した飛燕はこれを殺害。その後、エリカが希望の目録と知ったナチスに執拗な追跡を受ける事になった飛燕は、ギーズが「エリカを託せる男」と遺言に残した霞拳志郎と闘い、身をもってその強さを体感。更には青幇の御大である潘玉玲の母性を目にし、その者達にエリカを預ける事を決めた。その後、飛燕とエリカは青幇によって匿われ、とある教会にくらす牧師の親子として生きることとなった。その後はユダヤ人移住計画が暗礁に乗り上げてしまったためか、目録の中身が誰かに伝えられ、それが生かされるようなシーンは描かれていない。


 泰聖院の女人像の下に眠っていた勾玉は、北斗や西斗にとっての神(ヤー)であるが、これは古代ユダヤの十支族と共に神殿から消え去ったという伝説の秘宝とされており、希望の目録の中に記されていた中でもヒトラーが最も追い求めていた美術品であるとされている。