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北斗宗家
ほくとそうけ




 かつて天帝の盾として君臨していた集団。またはその血を引きし末裔達。北斗の一族の中において、北斗神拳を創始したシュケンの子孫として神(北斗七星)の象徴として崇められている存在であり、他の者達は北斗宗家の惑星としてそれを補佐する立場に分けられている。血族の者は生まれながらにして拳の才能に秀でた才能を持っており、北斗神拳の伝承者にはこの血脈の中から選ばれるとされているが、歴代の伝承者全員がそうであったのかは不明。北斗の拳では、シュケンの子孫であるケンシロウヒョウがその血族の生き残りだとされていたが、後にカイオウラオウトキの兄弟も、シュケンの従兄弟であるリュウオウの子孫としてその血を引いている事が明らかとなった。その他、ラオウの息子であるリュウや、蒼天の拳の主人公である霞拳志郎、その父霞鉄心、弟の霞羅門(リュウケン)、ゲーム版においては北斗の拳4の主人公リュードセガサターン版ではゼンオウホシムといった者達も血族の者とされている。

 泰聖殿と呼ばれる宮殿が一族の聖地であり、ヒョウやケンシロウもそこで生まれ育ったとされる(ただし蒼天の拳ではケンシロウが生まれたのは日本)。その地下にはオウカ(リュウオウの母)の魂を弔うために建てられた女人像があり、そこには2000年前に起きた北斗宗家の悲話(後述)と、北斗宗家に伝えられる秘拳が刻まれている。また、その周囲には北斗宗家の亡霊たちが彷徨っており、瀕死の状態であったシャチの身体に憑依してカイオウを一方的に攻め立てるほどの強さを与えるなどした。蒼天の拳では中国の寧波泰聖院なる北斗劉家拳の菩提寺があり、泰聖殿のものと形の同じ女人像が登場するが、これが同一の物であるかどうかは不明。


 かつて北斗宗家は、一族に伝わる秘拳を用いて天帝を守護し、その者を時の覇者とすることで、この世の平安を保っていた。しかし宗家の拳が極められた拳であるが故に、その受け技も極められてしまい、やがてその威を消失。それに伴い、時代は天帝を喪失し、漢王朝末期には世は狂乱の戦国時代へと突入する事となった。
 宗家を守護する高僧達は、この戦乱を治めうる覇者の出現を望み、北斗宗家の血を引き、かつ新しき無敵の暗殺拳を創始できる男こそがその救世主になるであろうと考えた。その時代、北斗宗家の血を引く者は、オウカとシュメの二人の姉妹しか残されていなかったため、高僧達は、彼女らが生む男児に救世主の期待を寄せたが、皮肉にも二人は同日に男児を産み落とした。覇者が二人になれば、天が国が二つに割れることになると危惧する高僧達は、この二人の乳児であるリュウオウとシュケンを狼たちの群れに晒し、生き残ったほうを始祖の意を受け継いだ北斗宗家の伝承者とすることを決めた。だがその夜、オウカが我が子シュケンを連れて逃亡を図ったため、高僧達はリュウオウを伝承者とすることに決定。しかしオウカの行為が、自らの命が残り少ないが故にわが子だけには生きて欲しかったという母の愛であることを知ったオウカは、自らの子リュウオウではなく、シュケンを伝承者とするよう懇願。その代償として自ら崖下へと身を投じることで、高僧達に真の天の声を届けた。



◆北斗宗家に関連する用語


泰聖殿
北斗宗家の聖地。かつてケンシロウやヒョウが育った場所。現在は廃殿となっている。
地下にある隠れ部屋には、ケンシロウの封印を解く鍵となる女人像が建立されており、劇中ではカイオウのパンチによって床が破壊されたことで偶然発見された(アニメ版では漏れ出した光に従いシャチが入り口を開けた)。部屋の中には北斗宗家の亡霊がおり、朽ち果てたシャチの体をかりてカイオウを圧倒するほどの力を見せている。ケンシロウが到着した後、女人像の中に隠されていた聖碑が姿を現し、ケンシロウはそこから北斗宗家にまつわる悲話と北斗宗家の拳の見切りを会得した。



女人像
泰聖殿の地下に建立されている、女人を模した像。2000年前に北斗宗家伝承者の座を巡って起こった悲劇によって命を失ったオウカを弔うため、北斗宗家の高僧達が建立した像とされている。この像の中に隠されている聖塔こそが、ヒョウが隠し貫いてきた「北斗宗家の秘拳」の在り処であり、そこに刻まれている文字を秘孔詞宝林によって解読したケンシロウは、秘拳を会得すると共に、2000年前に起こった北斗宗家の悲話、北斗神拳創始者の凄絶なる生涯を知り、その大いなる遺言を伝承した。
像の周囲には北斗宗家の亡霊達が彷徨っており、カイオウは、これらから発せられる音によって力を奪われたり、亡霊が憑依したシャチに攻め立てられたりしている。また、ケンシロウのため、砕け落とされた像の腕がひとりでに動き、カイオウの居場所を指し示すなどという現象も起こっている。

蒼天の拳では、中国は寧波にある北斗劉家拳の菩提寺、泰聖院にも似たような像が御本尊として置かれている。北斗神拳伝承者は、この像の前で北斗劉家拳の伝承者と戦う「天授の儀」に臨み、勝利することで、初めて真の伝承者と呼ばれるとされている。泰聖殿の女人像と同様、この像の中にも「鎮魂の塔」と呼ばれる像が隠されており、天授の儀終了後、霞拳志郎はその姿を現した塔と語らうことで自らの前世たちの生涯を知ると共に、自らの母「月英」が、美福庵主であることを知り、涙の再会を果たした。また、塔の下には北斗や西斗にとっての神である「ヤー」と呼ばれる勾玉が隠されており、その声を聞いたことでヤサカは、ヤーマの過去に隠された真実を知り、北斗への憎しみを消失させた。
作中では北斗の拳の女人像よりも更に不思議な現象をいくつも起こしており、美福庵主が自らが母であることを拳志郎に打ち明けられぬ哀しみを汲み取って涙を流したり、天授の儀においては拳志郎がこの像の幻影を背負い、究極秘奥義 蒼龍天羅を使用している。拳志郎が宗武に止めを刺そうとした際には、像の腕だけが風化し、拳志郎の前に再び形を成して出現。軽く手を添えられただけで、いくら力を入れても全く腕を動かすことができなくなった拳志郎は、とどめの一撃を中断せざるをえなくなった。これは、宗武と拳志郎の意思を組んだ女人像の慈悲の心によるものだと美福庵主は語っている。
天授の儀を終えた後には、鎮魂の塔との語らいの中で拳志郎は奥義を授かり、丹田から女人像の腕を出現させてヤサカを壁へと吹っ飛ばすという技を披露している。


北斗宗家の秘拳
泰聖殿にある女人像の中に隠されているという秘拳。ケンシロウがカイオウを倒すには、この秘拳を会得するより他に無いとされ、そのためにジュウケイやシャチは自らの命を投げ出してその封印を解かんとした。後に泰聖殿へとたどり着いたケンシロウは、女人像の中の聖塔に記された文字を、秘孔詞宝林を突くことによって解読し、秘拳の修得に成功。その正体は、2000年前に生み出された「北斗宗家の拳の完全なる受け技」であり、これを会得したケンシロウは、カイオウが繰り出した北斗宗家の拳の奥義・凄妙弾烈の破孔を無効化してみせた。しかし、その正体が明らかになる以前は、「北斗琉拳を倒しうる秘拳」として作中で描かれており、その秘拳自体が北斗宗家の拳であるかのように語られていた。
 その在り処を知るのはヒョウだけであり、かつてジュウケイは術を使ってヒョウから無理やり聞き出そうとしたが、幼きヒョウは、ケンシロウが帰ってくるまで誰にも話さないという決意の下、自らに自決の秘孔である悶堪孔を突くほどの覚悟を見せてこれを拒絶した。その後、秘拳の封印が解かれる事を恐れたカイオウは、ヒョウの記憶を自らの手で消し去ることによって、その在り処を永久に闇に葬ろうとした。