TOP

霞羅門
かすみらもん



登場:蒼天の拳(第9話〜)
   蒼天の拳REGENESIS
肩書:霞拳志郎の弟
流派:北斗神拳
CV:【少年期】
    近藤隆(アニメ蒼天の拳)
    榎木淳弥(REGENESIS)
   【青年期】
    麦人(アニメ蒼天の拳)
    郷里大輔(ドラマCD)
    大塚周夫(パチスロ)

 拳志郎の母違いの弟。197X年、日本で赤子の出産に立会い、兄・拳志郎と同じ北斗七星の痣をもっていたことから、その赤子に「ケンシロウ」と名づけた。後にそのケンシロウ達の師父となるリュウケンと同一人物。

 物語の本編となる1930年代には、まだ10歳前後の子供として登場。中国へと旅立つ兄・拳志郎を見送るために横浜港へと訪れ、北大路綾達に絡む紅華会の男達を撃退。旅立つ兄より、己が帰らなかった場合は次期伝承者となるよう命じられ、もし困ったときは蒼天に願えとの言葉を送られた。

 その後、父・霞鉄心との絡む形で幾度か登場。日本に訪れた兄の嫁・玉玲との対面を果たし、彼女を守るために帰りの船に同乗し、襲ってきた大湖弊の殺し屋を蹴散らした。その際、相手との会話の噛み合わない様を見た玉玲より、兄とそっくりだと評された。

 TVアニメ版では、横浜港へと向かう金藤教頭の車を自転車で抜かしていくシーン等が追加されている。


 『蒼天の拳REGENESIS(アニメ)』では、鉄心に黙って上海へと訪れ、ドイツ軍に襲われていた玉玲とエリカを救出。兄・拳志郎よりエリカを守る使命を与えられるが、天斗聖陰拳のシャムラとの闘いに敗れ、「希望の目録」との交換するための人質とされた。同時に、エリカに恋心を抱く。
 その後日本に戻り、北斗と西斗の勾玉を預かっていたが、それを知った霞拳心が襲来。父・鉄心が敗北したことを受け、せめて勾玉は守らんとインドネシアに渡ったが、追ってきた拳心によって拳志郎までもが敗北。秘孔 新血愁を突かれた拳志郎より、延命の秘孔である心霊台を突く役目を託され、その重責を担った。その後、拳志郎に同行してノハァル・ナハへ赴き、緋鶴と共にエリカを救出した。





 主人公の弟であり、その兄の後を継いで北斗神拳伝承者となる重要人物であるが、本編のストーリーとはほぼ関わりは無いに等しい。どっちかというと、北斗の拳から引き続き登場のゲストキャラ的ポジションと言えるだろう。

 そんなわけで、彼の場合は北斗とのつながりに主点を置いて考えてみよう。まずはオッサン時の197X年。彼は日本の北斗寺院と思われる場所で、ケンシロウが生まれる瞬間に立ち会った。この場面、七星の痣を持って生まれたケンシロウに対し「兄と同じ痣」と彼は言っている。それは裏を返せば、羅門自身には七星の痣はないということ。北斗の拳ではその痣はリュウオウの血族の証とされていたが、ケンシロウにもあることを考えると。おそらくシュケンも含めた北斗宗家の血族全員に顕れる痣なのだろう。それなら宗家の血族の霞鉄心の息子である羅門にも流れているはずだが、おそらく彼はヒョウと同じく北斗の血が薄かったのだろう。故に痣が出なかったのだと思われる。

 続いて幼少期。クソガキ感丸出しの初登場時はともかく、流飛燕が出てきた辺りの約2年後の彼は、実にイケメンの少年へと成長を遂げていた。髪も肩近く伸ばしてちゃってもう色気づいちゃって。でもね、君はここからまさかの毛根死滅ロード突入なのだよ。親父の鉄心も全然ハゲてないから安心しきってたろうけど、完全無欠のズルムケになるのだよ。残念だったねぇ。

 注目したいのは、その実力だ。10歳にも満たぬと思われる年齢で銃を持った上海ヤクザ数人を蹴散らせる実力は相当なもの。北斗四兄弟と比べても、同じ年齢時点でなら上な気もする。流石に秘孔までは突いていないのは、こんなガキに人殺しさせるわけにはいかないという製作側の配慮だろうか。

 そしてそれを踏まえて気になるのが、コウリュウの存在である。リュウケンと北斗神拳伝承者の座を争い、実力では上回っていたものの身を引いたというあの男の姿が見えない。まあ蒼天の物語終了後に門下に入ったのだろうが、先述の通り、既にリュウケンは相当な実力を身につけている。なのに相当後から入ってきたコウリュウの方が最終的にリュウケンより実力を上回っているのだ。コウリュウが余程の天才なのか、それともリュウケンが早熟タイプだったのか。

 性格の変化についても気になるところ。蒼天の拳での羅門は、父鉄心、兄拳志郎と同様、割と陽気な性格の持ち主であった。しかし北斗の拳におけるリュウケンは、ひょうきんという言葉から遠くかけ離れたゴリゴリの厳格親父と化していた。まあ60年以上も齢を重ねればそりゃ性格も変わるだろうが、割かし若い時分からそうなので、きっと20〜30代頃に彼の心が壊れるような何かが起こったのだろう。時期的には日本が敗戦国となった辺りだが、もしやそれが関係しているのだろうか。北斗神拳伝承者の宿命は、時代に平安をもたらす英雄を守護することである。にも関わらず、己の住む国に原爆を投下されたというのは、伝承者の役目を全く果たせなかったということ。そのショックが彼を変えてしまったとは考えられないだろうか。ただ1945年は、蒼天の拳の最終話(1939年頃?)からまだ6〜7年くらいなので、引き続き拳志郎が伝承者をやっている可能性が高いけれども。

 ていうか変わったといえば、もっと大事なものがある。そう、名前だ。一体何が切欠で「羅門」から「リュウケン」となったのだろう。
 その答えは、1986年発売の北斗の拳SPECIALにある。これによると、未来の名前はより記号化しており、混血化も進んでいるだろうからという理由で、北斗の拳には無国籍なカタカナ表記の名前が多いらしい。ならばリュウケンの改名の理由も、時代の流れということなのだろう。その場合、「リュウケン」という名前は、彼自身が決めて名乗っている可能性が高い。一体どうしてこんな大層な名前をつけようと思ったのか。なんとなくだが、「ケン」の部分は、兄・拳志郎の「拳」を貰っているような気がする。だって赤子にそのまま兄の名前つけてたような安直な人ですからね。自分だってあの偉大な兄の弟なわけだから、名前一文字くらい拝借しちゃってもおかしくないっしょ。