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魔界
まかい




 北斗琉拳の究極の到達地とされる憎しみの境地。そこへ踏み込んだ者は魔神と呼ばれ、表情は悪鬼の如く歪み、その身体からは魔闘気と呼ばれる禍々しいオーラが噴出する。時にそれは幻魔影霊なる悪魔が如き影として地に映りこみ、魔神の出現を意味する影として人々に畏怖されている。

 魔神となりし者は愛や情といった人の心を失い、肉親の血ですら涙一つ見せずに喰らうと言われるほどの残虐で冷酷な鬼に成り果てる。だが魔界の入り口に立ったに過ぎぬ者であれば、秘孔などによって現実に引き戻す事は可能であり、ジュウケイヒョウはこれによって正気を取り戻している。しかしカイオウのように、魔界に君臨する魔神とまで呼ばれるまでになった者にはもはや手の打ちようはないと言われている。

 魔神が纏いし魔闘気とよばれるオーラは、通常の闘気とは異なる性質を持っており、圧倒的な量をもってすれば、一瞬の無重力状態を生み出したり、周りの空間を歪めたりすることが可能となる。また、その量は通常の闘気よりも遥かに多く、カイオウに至っては静止していても噴出し続ける程であり、彼が身にまとう鎧はその噴出を封じるための物であると言われている。


 北斗の拳の中では、カイオウ、ヒョウ、ジュウケイの三人が魔界へと足を踏み入れている。
 カイオウは、が死ぬ原因となった北斗宗家への憎しみを募らせた結果、魔神へと成り果てているが、魔界に足を踏み入れた正確なタイミングは不明。ただしアニメ版では情を捨てるために愛犬リュウを見殺しにした瞬間に、既に幼くして魔闘気を纏ったかのようなシーンが描かれている。
 ヒョウは、婚約者であるサヤカが殺され、その犯人がケンシロウであるとのカイオウの嘘を信じ込まされた結果、その激しい憎しみによって魔界へと到達した。だが後に、ケンシロウとの闘いの中で哀しみが弾け、泣き哀しみ闘神のオーラが現れると同時に正気を取り戻している。
 ジュウケイは、かつて北斗神拳への憎しみによって魔界へと踏み込んだが、何が要因となって彼の憎しみがそこまで増大したのかは明らかにされていない。彼もまた、リュウケンとの闘いの中で北斗仙気雷弾による秘孔突きを喰らい、正気を取り戻すに至っている。

 『北斗の拳(セガサターン版)』では、次代の北斗琉拳伝承者であるホシムが登場し、カイオウですら勝てなかった魔闘気を押さえ込み、北斗琉拳を完成させたと言われていた。しかし後に魔界へと飲み込まれ、琉拳よりも更に魔闘気を増大させた魔道琉拳なるものを生み出している。

 『北斗の拳4 七星覇拳伝 北斗神拳の彼方へ』では、元斗皇拳の使い手であるサガンが、元斗皇拳に北斗琉拳の魔界の拳を取り入れた元斗琉拳なる拳を創始している。魔界の力を使いこなすことで、魔闘気を自在に操ることを可能とし、魔闘気のバリアを張って道を塞いだり、幻覚の世界を見せたりするという使い方も披露している。



◆用語


魔闘気
北斗琉拳の拳士が魔界に入った際、その者の身体から放出される禍々しい闘気。特異な性質を持ったその闘気は、時に一瞬の無重力状態を生み出して相手に位置を見失わせたり、周りの空間を歪ませて相手の攻撃を逸らせたりするなどの効果を齎す。魔闘気は、その者が抱く憎しみが強ければ強いほど絶えず放出され、カイオウは制止していてもなお噴出する魔闘気を抑えるために全身を鎧で覆っている。


魔神
魔界に足を踏み入れた者の呼び名。肉親の血も涙ひとつ見せずに喰らうと言われる、一片の愛や情すら持たぬ憎しみの化身であり、その体からは魔闘気が溢れ、その影は魔神の影と化す。魔人とも呼ばれる。

幻魔影霊
魔界に入った者に現れる悪魔の影。人ならざる形をしており、その影の出現は、魔神の到来を告げる証となっている。地に映るだけでなく、オーラのように中空に現れる場合もある。当初はカイオウの象徴でもあったが、魔界に入ったヒョウにもこの影が現れ、人々を畏怖させた。