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ジャコウ



登場:原作(150〜160話) TVアニメ版(110〜122話)
   パンチマニア2、真北斗無双、他
肩書:帝都の総督
CV:千葉繁(TVアニメ版)
   竹本英史(真北斗無双)


 帝都の総督。ジャスクシーノの父。

 かつて天帝の村で村人として暮らしていた時、村に侵攻してきたラオウに目をつけられ、その邪な心がいずれファルコに災いをもたらすだろうと予言された。その場ではファルコに殺されなかったものの、身の危険を感じ、保身のために天帝を幽閉。自らを天帝から全権を預かる者と称して帝都を築き、絶大な権力を手に入れた。だがラオウへの恐怖は消えることなく、闇を極端に恐れるようになり、奴隷を使っての発電で帝都を白光に包んだ。

 天帝の命を盾にファルコを操り、北斗、南斗に関わる者を抹殺するよう命令。だがケンシロウの加わった北斗の軍の勢いをとめられず、戦いは中央帝都での最終決戦へ。最後の砦としてファルコを差し向けるものの、実はファルコが帝都を爆破する心積もりであった事を知り、造反者であるミュウサイヤ、そして侵入者のアイン地下の作業場へと閉じ込めた。その後、疲労し切ったケンとファルコを爆弾で殺そうとするが、アインが噴出させた水柱に流されて失敗。天帝ルイを助け出されてしまったため、ファルコを縛る枷を失い絶体絶命に。ファルコを倒せたら見逃してくれとケンに約束を取り付けるも、義足である右足への攻撃も全く通用せず、最期は顔面を掴まれて滅殺された。

 TVアニメ版では息子のジャスク、シーノは登場せず、かわりに元斗皇拳の拳士であるタイガボルツが側近に。また、原作ではハーン兄弟死後に初めて登場したが、アニメでは帝都編開始の頭から登場した。


 「パチスロ北斗の拳 新伝説創造」では、自らと同じ臭いのする男・ビジャマと結託して、中央帝都を建設したという設定が追加。天帝ルイを幽閉する際には、まずミュウを一時的に拘束し、ファルコに「ミュウが拳王に浚われた」と仄めかすことで村を離れさせ、その隙にルイを拉致監禁していた。



[解説]
 北斗の拳初の「弱い敵将」である彼。天帝を幽閉するという無理矢理の権力奪取によってその座を射止めた、時代が変わったんだなというのを印象付けるに成功したキャラと言えるだろう。拳王様存命時に天帝軍が勢力を延ばしていれば即効で潰しにかかられていたことは間違いなく、時期にも大いに助けられた部分があると思う。拳王亡き後に覇権を横からかっさらうつもりでいた聖帝の狙いを、見事かわりにやってのけた人物なのだ。
 
 
〜昇進?降格?〜

 しかし、ただ狡賢いだけの男があそこまでのサクセスを得られるものなのだろうか。そもそもジャコウには気になる点がある。彼は元斗の村に拳王様が訪れたとき、自らを「村の一員」と名乗る、いち村人であった。しかしルイとリンが生まれたあの日、彼は元斗皇拳伝承者に天帝のどちらかを殺すよう命令を下す、原作と同じ総督、もしくはそれに近い高い役職についている。一体この期間、彼の身に何が起こったのか。
 ジャコウは村人から帝都勤務に出世したのか、はたまた帝都から村人に落ちぶれたのか。ポイントとなるのは、時間の前後関係である。拳王様天帝の村訪問と、ルイ&リン生誕、どちらが先か後かという事だ。
 まず双子誕生→拳王様訪問、の順で考えてみよう。その場合、ジャコウは村人から帝都の役人へと出世したということになるが、知ってのとおり彼が出世したのは天帝を幽閉したからだ。ルイ&リンの誕生時にすでに偉くなっているという事は、ジャコウはルイの幽閉なしであそこまで登りつめたということになる。拳王に災いの元だと言われたような初老の男に、そんな事が可能なのだろうか。可能性があるとすれば、ジャコウが最初に幽閉した天帝というのがルイではなく、先代の天帝だったという可能性だ。つまり、まずジャコウはルイ&リンの母を幽閉し、その後連続してルイをも幽閉したということである。うーむ、可也厳しいが・・・、ジャコウが最初に幽閉したのがルイだという台詞や映像もない為、100%ないとも言い切れない。しかし、やはりこの説は厳しいとするポイントがある。それはリンの年齢だ。原作でリンが初めて登場したときの年齢は、どうみても6〜8歳くらいだ。ということは、拳王様が天帝の村を訪問したのは、北斗の拳第一話から約6〜8年以上前だということになる。リュウケンの死はもっと前だということだ。北斗の拳第一話が、ケンが伝承者になってから6年以上経っているというのは・・・流石に無理があるだろう。
 となると、時間の流れは 双子誕生→拳王様訪問 ということになるのだろうか。しかしそうなると次に問題になるのは、ジャコウの突然の落ちぶれ方である。天帝の生き死にを決める立場から、村の一員にまで成り下がったのにはどういった経緯があるのだろう。だが、上のリンの年齢問題に比べるとこちらの方は実に些細な問題だと言わざるを得ない。ジャコウの性格を考えると問題を起こして帝都を追放されたという可能性も大きくあるし、核戦争によって一時帝都そのものが壊れたという見方もできる。どちらかというと後者のほうを推したい。いち村人に成り下がったジャコウがルイを幽閉するチャンスがあるとすれば、一旦帝都が崩壊したほうが可能性は高そうだからだ。同じ事はファルコにも言えることで、双子誕生時には帝都っぽいようなところにいるファルコが、拳王軍侵攻時には村にいるという事を考えると、帝都は核の被害をモロにうけて完全に崩壊したと考えられるからだ。まあ、帝都はジャコウが築いたってファルコも言ってるしね。
 
 
〜元斗皇拳 白光のジャコウ〜
 
 しかしジャコウが身を落とす原因はいくらでも考えられるが、あそこまで登りつめた方法というのは未だ不明のままである。それこそ先代天帝幽閉という反則技なくして、彼があそこまで出世できる方法などあるのだろうか。いや、ある。要はジャコウが強ければいいだけの話なのだ。ジャコウはかつて元斗皇拳最強の戦士として帝都の将軍を務めていた男だったとすれば、すべてが納得がいく。これは、かつて甲斐の才兵衛様が提唱された白光のジャコウ説に基くものである。無論そのような台詞は原作アニメともに出てきてはいないし、明確な証拠となるべき物もないが、いくつかそう思わせる点がある。
 まずは上記のとおり、ジャコウが出世した理由だ。元斗の将軍というのはファルコはじめ、タイガ、ボルツ、ショウキといずれも中央帝都に配属される上級の将軍である(おそらくソリアも)。そこらの郡都になど一人も配属されていない。元斗皇拳の使い手と言うだけで天帝軍エリートへの道は約束されているのだ。だからといってジャコウが元斗皇拳でのし上がった証明にはならないないが、これを逆に考えてみればある事実が見えてくる。そう、元斗皇拳を使えないのに帝都で出世した人間がいないのである。ジャスク、シーノのようなコネを持つ者達以外で、帝都の官僚に就いている者が見当たらないのである。帝都で出世するには元斗皇拳が必要不可欠なのではないだろうか。
 次に、ジャコウの光に対するこだわり方である。彼の闇に対する怯え方は異常だ。ファルコによると、北斗が闇に光る星であるからジャコウは闇を恐れるらしいのだが、果たしてそれだけでの理由であれだけ怖がるものだろうか。拳王に襲われかけたのが夜だったとかいうのならわかるのだが、昼間であったし、闇を連想させるようなものは無い。もっと直接的に暗闇に対するトラウマがあるのではないだろうか。そこで思い出されるのが、元斗皇拳の性質である。知ってのとおり、元斗皇拳とは極めし者の手に光を纏わせる拳である。ジャコウもかつて元斗皇拳の拳士であったなら、当然その手は眩く輝いていたはずだ。しかし、なんらかの原因でその拳を失い、衰え、光を失ってしまったら。その絶望感は計り知れない。ジャコウにとっての闇、つまり光の喪失とは、自らの拳の終焉をも意味する絶望の記憶なのではないだろうか。かつて全盛を極めた肉体を心のどこかで求めるが故に、ジャコウは今日も帝都に光を灯し続けているのではないかと思う。
 最後に、ジャコウの肉体だ。彼は瀕死のファルコに全くダメージも与えられないほど弱い。にもかかわらず、かなりいい体をしている。一番よくわかるのは、帝都編の頃の、アニメのオープニングである。マントをたなびかせて笑うジャコウの肉体は屈強な戦士のそれに間違いない。あれがきっと全盛期のジャコウの姿なのだ。では何故彼はあんなに衰弱してしまったのだろう。おそらくそこには、ジャコウをダークサイドに落とした原因が関わっているのではないかと思う。ジャコウは知ってのとおり、北斗を代表する下衆である。もしそんな奴が元斗皇拳の使い手であっても、天帝の命を左右できるような位置にまで登りつめられたかどうか疑問だ。つまり、昔のジャコウは総督時代の彼よりも邪心が薄かったのではないだろうか。あの慈しみの塊のようなファルコの母に育てられたのだから、もっといい性格の人間であってもいいはずだ。(以下はかなり妄想はいります。)白光のジャコウとして元斗皇拳最強を誇り、伝承者の座をも射止めようとしたジャコウ。しかし、先代の伝承者は彼をなかなか伝承者とは認めなかった。ジャコウの中に巣食う邪な心が、伝承者にふさわしくないと判断されたからだ。そうこうしている内に、元斗皇拳に新たな天才が生まれた。そう、ファルコである。実力もジャコウを凌ぎ、若干甘い性格ではあるものの、忠義厚き精神をもつ彼が次期伝承者となることはほぼ間違いなかった。ジャコウはファルコを妬む。しかし力では敵わない。そこでジャコウは禁断の秘拳に手を出した。それは二つの拳を融合させた禁断の秘拳、元斗琉拳である。元斗琉拳とは、FC北斗の拳4で登場したゲームオリジナル流派である。ミュウを殺し、偽の元斗皇拳伝承者となった男、サガン。彼によって創設されたその拳の正体は、元斗皇拳が北斗琉拳を制圧し、魔界の拳を取り入れた果てに生まれた拳。魔界に惑わされた北斗琉拳と違い、元斗琉拳は魔界を使いこなすという。その幻の最強拳を、ジャコウは会得しようとしたのだ。だが、その拳が完成するのはこの時代よりもさらに数十年先のこと。ジャコウは何の手がかりも無いまま、その元斗琉拳の創始者となるべく拳の完成を目指した。しかしそれは失敗に終わる。ジャコウの実力では、北斗琉拳の持つ魔界を制圧することが出来なかったのだ。そしてジャコウは魔界に飲み込まれた。しかし、そこで意外な変化が起きた。魔界に落ちたのが北斗琉拳の使い手であれば、魔闘気を纏う魔人と化す。しかし北斗琉拳を極めていないジャコウは、魔界から無限の魔闘気を得られることが出来ず、ただただ己の闘気を魔闘気と変えて発散し続けた結果、ひとカケラの闘気も残らぬ枯れ尾花と化してしまったのだ。こうしてジャコウは元斗琉拳どころか、元斗皇拳をも失った。それどころか、心だけは魔界に飲み込まれた邪悪の塊となり、史上最悪かつ史上最弱の下衆野郎、総督ジャコウがここに誕生したのである。拳王様がジャコウに感じた災厄の匂いとは、北斗琉拳の魔界が放つ残り香であったのだ。
 まあ、最後に一番熱く語った元斗琉拳説は置いておくとして、先の二つである元斗皇拳拳士しか偉くなれないという点と、異常に光を求める姿という点は、元斗皇拳のジャコウを示すものとしてはなかなかのものではないかと思う。加えてジャコウのファルコに対する嫌悪の仕方も相当なものであり、これはやはり伝承者の座を奪われたからだという妬みからくるもののように思えるのだ。ルイとリンを殺せと命じたとき、ジャコウは、それが元斗皇拳の伝承者としての務めだと汚く笑いながら言った。甘く優しい心を持つファルコには辛すぎる仕事だと知った上で命じたのだ。それはまるで、俺が伝承者なら何の躊躇も無くできたと言わんとしているかのように、私には見えた。俺のほうが伝承者にふさわしかったのだと、あの時ジャコウは心の中で叫んでいたのである。