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水影心
すいえいしん



流派: 北斗神拳
使用: ・ケンシロウ(対 シュウ)
 …北斗の拳(84話) アニメ版(59話)
・ケンシロウ(対 ジャドウ)
 …アニメ版(102話)
登場: 北斗の拳/アニメ版/北斗の拳3/SEGA2500/
激打2/パンチマニア/モバイル真・北斗無双


 一度戦った相手の拳を己の分身とし、自在に使うことができるという北斗神拳の奥義。シュウとの戦いの中でケンシロウが使用し、かつてユダが披露した南斗紅鶴拳奥義・伝衝裂波を再現。地の裂ける音で目の見えないシュウの恐怖を誘い、間合いをつかめなくなったシュウを一方的に切り裂いた。ただし、厳密には、ケンシロウはユダとは拳を交えていないため、これは「戦って」修得したわけではなく、「目にして」修得したものであると思われる。

 その他にも、シュウの背転脚を使ってサウザーに傷を与えたり、トキ柔の拳レイ水鳥拳、そしてラオウの拳である天将奔烈をも自らの物としており、これらも水影心を用いた結果ではないかと思われる。


 TVアニメ版では、ジャドウの部下達に対してこの奥義を用い、 南斗白鷺拳奥義 烈脚空舞を使用して一網打尽にするというシーンが描かれた。


 『蒼天の拳』では霞拳志郎も闘いの中で様々な奥義を身につけており、これらも水影心の奥義によるものではないかと思われる。芒狂雲との闘いでは、操気術を用いた天破活殺の奥義を修得し、張太炎との闘いでは、相手を自在に操る北斗曹家拳の秘孔術を修得した。また拳志郎は、闘えば全てを学ぶが故に、北斗神拳は究極の最強拳となりえたのだと語っている。

 『SEGA AGES 2500シリーズVol.11 北斗の拳』では、そのゲーム内でレイが使う事が出来る南斗水鳥拳奥義 舞撃掌を、水影心で使う事が出来る。伝衝裂波とかなり似た奥義である事を考えると、原作でケンシロウが使用した水影心の奥義をレイのものだと解釈したのではないかと推測される。

 『北斗の拳3(FC)』では、ゲームのストーリーを進める中で水影心で使える奥義が増えていき、最終的には、天舞百裂拳(トキ)、闘気守護波フドウ)、飛翔白麗(レイ)、天将奔烈(ラオウ)、元斗天衝舞ファルコ)といった奥義を身につける事が出来る。

 『北斗の拳(セガサターン版)』では、最終ボスであるゼンオウを倒すため、ケンシロウは様々な拳士と闘い、七つの秘拳を体得していくというストーリーとなっており、おそらくこれも水影心を用いたものであると考えられる。七つの秘拳は、最初から覚えている無想転生の他、飛翔白麗ザキ)、天空剣波ギャラン)、黄光刹斬ミッシュ)、暗琉天破ホシム)、呼雲流栄拳ウジョー)、闘勁呼法(トキ)、の六つである。ただしその理屈で行くならば、ケンシロウは北斗神拳の奥義である闘勁呼法も今迄使う事が出来なかったということになる。

 スマホアプリ『モバイル真・北斗無双』では、有情断迅拳(トキ)、烈脚斬陣(シュウ)、北斗剛掌波(ラオウ)、衝の輪(ファルコ)といった技も水影心で修得している。




 ケンシロウは一度戦った相手の拳を見切ることが出来る。それはつまり敵が使った技の特性を完全に把握できるという事。ならば後は、得た拳の知識をを実践できるかどうかだが、北斗神拳の伝承者という時点で世界最高の身体能力を持っているに等しいのだから、それより劣る拳法を模倣することなど然程難しいことではないのかもしれない。
 しかしいくら天性の才能と身体能力を持っていたとしても、そんなすぐに敵の拳をパクれるというのはいささか反則すぎる気がする。ユダだって血の滲むような思いで伝衝裂波を修得したろうに、こうも簡単に我が物とされてしまっては立つ瀬が無いだろう。しかしここで勘違いしてもらいたくないのは、ケンシロウは「一度戦った相手の拳を己の分身とできる」とは言っているが、その「分身とできるまでの時間」は明らかにしていないということ。どうも「見てすぐ使える」というイメージが先行してしまっているようだが、もしかしたら拳の特性を見切った後でもある程度修練は必要なんじゃないだろうか。よく考えてみれば、ケンシロウは他人の技をパクってはいるものの、パクりたてほやほやの技を当人にやり返すなんて使い方はしていない。以前に戦った相手の拳を、後の闘いで使用しているケースばかりだ。その期間にケンシロウがこっそり練習していたとしてもなんら不思議は無い。缶を立てて伝衝裂波を撃ったり、虚空に向かって天将奔烈をぶっぱなしたり、燃焼系アミノ式のCMみたいに背転脚を連発してたりしていているかもしれないのだ。
 ただそうであったとしても、一度見ただけで拳の性質を知識として会得している事には変わり無い。つまり水影心の真の凄みは、「敵の技を使える」ことではなく、一瞬にして拳の全てを丸裸にしてしまう「観察眼」であり「動体視力」であり「記憶力」であり「想像力」なのである。